6日に民放「チャンネル4」が放映した、ドキュメンタリー「Diana: in Her Own Words」。故ダイアナ元妃が、パリで悲劇的な死を遂げてから今夏で20年であるのにあわせて制作されたこの番組は、当時元妃のボイスコーチを務めていた俳優のピーター・セッテレン氏が録画した、いわゆる『ダイアナ・テープ』をもとにしたもの。英国の長寿テレビ・ドラマ『コロネーション・ストリート』などに出演して人気を博していた同氏は、元妃の住まいであったケンジントン宮殿で、1992年9月から1993年12月まで元妃のボイストレーニングに携わっていた。
この番組が広げた波紋の大きさを、各メディアが伝えている。
エリザベス女王の元広報担当、ディッキー・アービター氏は「元妃はこのテープが世に出るなど夢にも思わなかっただろう。その内容が公になることは元妃の家族にとってきわめて辛いもの」と述べた。また「テレビ局は視聴率ではなく、これによって傷つく人たちのことをよく考えるべきだ」と当該局を非難した。
しかし、セッテレン氏側の弁護士は「ダイアナ元妃もメディアを利用することがままあった」として、今回の放送について擁護している。
テープの内容は赤裸々なもので、1984年にハリー王子が誕生した後、チャールズ皇太子との性交渉は、それまで3週間に1回程度だったものが徐々になくなりセックスレスとなったことや、皇太子が当時愛人だった現夫人のカミラさんと浮気していることを責めた際、「英国の王室史上、唯一の『愛人をもたなかった皇太子』にはなりたくない」と、言われたことなどが含まれている。
さらに、元妃がエリザベス女王に皇太子との不仲について嘆いた時に「何もしてあげられない。チャールズはしかたない子だから」と告げられ、「それだけだった。その後(チャールズ皇太子との仲について)女王に何か相談することはなかった」と語ったことなども記録されていた。
「デイリー・メール」紙では、風刺画を担当するマック氏が、チャールズ皇太子が執事に「テレビの修理人を呼んでくれ。この週末に突然、調子が悪くなった」とバツの悪そうな顔で告げるイラストを掲載。同皇太子の背後には、派手に壊されたテレビが横たわる居間の様子が描かれており、カミラ夫人も冷ややかな視線を同皇太子に向けている。さらに、その居間のコーヒー・テーブルの上には「チャンネル4が、『ダイアナ』の番組を放映」といいうタイトルの踊る新聞が置いてある―。
日本で皇室メンバーをこのような形で風刺することは、100%考えられない話だけに、英王室とメディアとの関係との違いには驚くばかりだ。
なお、この番組について、ダイアナ元妃を愛してやまない2人の息子、ウィリアムとハリーの両王子は沈黙を貫いている。