■先月から英国でも上映が続いている東宝の「ゴジラ―1.0(マイナスワン)」。制作費はハリウッドの10分の1以下と言われる1500万ドルとされるが、全世界興行収入が先月末の時点で140億円を突破する大ヒットとなっている。繰り返し映画館に足を運ぶ人も多いという同作品の魅力とは? 予備知識を持ってから出かけたい方のために、あらすじを掲載しておく。かなり「ネタバレ」なのでご注意いただきたいが、結末には触れていないことはお伝えしておこう。
あらすじ※かなりネタバレ
機体の不調を訴え、大戸島という小島に帰還した特攻隊員の敷島少尉(神木隆之介)。敷島が乗るゼロ戦に不備が見つけられない整備士たちは、敷島が特攻から逃げたのではないかと疑う。その夜、大戸島に恐竜サイズのゴジラが上陸。敷島は恐怖から同胞の整備士たちを見殺しにしてしまい、終戦後も罪の意識とPTSDを抱えながら焼け野原となった東京で新生活を始める。
敷島は空襲の中で託された孤児、あきこを抱えながら懸命に生きる典子(浜辺美波)と出会い、一つ屋根の下で暮らし始める。戦争末期に日米両軍がばら撒いた機雷の掃海という危険だが、高収入の職を得た敷島。手にした金で物置のような小さな家を建て、3人で暮らし始める。
しかし敷島は大戸島でゴジラに殺されていった同胞たちの亡霊に毎晩のように苦しめられる。その間、米国はビキニ環礁で水爆実験を強行。ゴジラは放射線を浴びて巨大化し、熱線を吐く機能を獲得し、東京に上陸し銀座を粉砕する。
敗戦でゼロとなった日本がゴジラの登場でマイナスの世界となる。この時、日本は連合国によって武装解除された上、自衛隊はまだ存在しない。頼みの米軍は冷戦下、ソ連との軋轢を警戒して手を貸さず、日本政府に自助を促す。GHQにも日本政府にも見放された日本人は民間主導でのゴジラ退治を決意する。
集められた元海軍の乗組員たちは「せっかく戦争を生き延びたのに」と作戦への参加を逡巡する。大戦時、人命を軽視してきた日本軍部。それに抗うかのように「今度の闘いは死ぬための戦いではなく、未来を生きるための闘いだ。1人の犠牲者も出さず、ゴジラを駆逐する」との決意が語られる。
一方、特攻の生き残りである敷島は破壊を免れて保管されていた最新式戦闘機を探し出してもらい、大戸島で唯一生き残り、確執を抱える整備士の橘に修復を依頼。密かに独自の作戦実行を決意する。
ゴジラを相模湾の最深部に引きずり込んで水圧で殺す「わだつみ作戦」の最終準備中、予測より早くゴジラが再び上陸。「ワダツミ作戦」開始が宣言される。そんな中、敷島の乗る戦闘機が離陸する。生き残ったもののトラウマを抱えた人たちがそれぞれの戦争に終止符を打つため、一丸となってゴジラに闘いを挑む。そして映画はクライマックスへと向かう。By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)