■第一次・第二次世界大戦等での戦没者を追悼し、平和を祈る「戦没者追悼式典」が12日、ホワイトホールの戦没者追悼記念碑の前で行われ、エリザベス女王(91)は1952年の即位以来、妊娠・外遊での不在時以外では初めて赤いポピーの花輪を捧げず、外務省のバルコニーからほかの王室メンバーとともに式典を見守った。さらに、公の場で感情を表に出さないことで知られるエリザベス女王が、式典の途中で涙を拭うしぐさを見せたことも、驚きをもって大きく報道された。英各紙が伝えている。
写真:Daily Mail
昨年90歳を迎えたのを機に、少しずつ公務を減らしているエリザベス女王。即位65周年を迎えた今年、「君主」が担う重要な公務のひとつをチャールズ皇太子(68)へ譲り渡した。
その公務とは、「戦没者追悼記念の日曜日(Remembrance Sunday)」と定められている毎年11月第2日曜に行われる、戦没者追悼式典での献花。
午前11時からの2分間の黙祷の後、君主は追悼の意を込めた赤いポピーの花輪を、記念碑の下に最初に捧げることになっている。君主に続き、その配偶者や王位継承順位の高い王室メンバー、英首相などが順番に献花していく。
伝統を破った女王
これまでエリザベス女王、夫のフィリップ殿下(96)、チャールズ皇太子、ウィリアム王子(35)という順番で献花を行ってきたが、女王は今回初めてその伝統を破り、チャールズ皇太子を最初の献花者に指名。自身はフィリップ殿下やチャールズ皇太子の妻カミラ夫人(70)らとともに、ホワイトホールに面した外務省のバルコニーから観覧した=写真。
また、エリザベス女王は式典を見守りながら、零れ落ちる涙を右手でそっと拭うといった珍しい姿を見せ、様々な憶測を呼んだ。
英各紙は、式典でチャールズ皇太子がエリザベス女王の役割を担ったことについて、「王位を継承するのはチャールズ皇太子」との意思を女王が示したと分析。順当にいけば王位継承順位1位のチャールズ皇太子が次期国王となるはずだが、まもなく70歳を迎える皇太子の体力面への不安やカミラ夫人に対する国民の反感などから、順位2位のウィリアム王子が王位を継承するのではないかと囁かれていた。
皇太子は、女王が公務でケニアに滞在していた1989年、同じく公務で南アフリカに滞在していた1999年など、戦没者追悼式典にて君主代理として最初に献花を行っている。しかしながら、女王の不在時以外では初めてのことだった。
by 週刊ジャーニー(Japan Journals Ltd, London)