■イタリア料理界のゴッドファーザーと呼ばれ英国で愛されたアントニオ・カールーチォ氏=写真=が8日朝亡くなった。80歳だった。英各メディアが報じた。
写真:カールーチォ氏の数多いレシピ本のうちの1冊。
1937年、イタリアのカンパニア州サレルノで生まれたカールーチォ氏は75年に来英。ワイン商のビジネスを経てレストラン事業に参入した。
80年代には、後に人気シェフのジェイミー・オリバーが修行を始めることとなるコベントガーデンの「ニール・ストリート・レストラン」でフロアマネージャーを務め、89年に同店のオーナーとなった。
91年には自らの名前を冠した惣菜店を、そして99年には「カールーチォズ・カフェ」1号店をオックスフォード・サーカス近くのマーケットプレイスにオープン。その後も順調にビジネスを拡大し、やがて英国全土に100店舗を構えるまでに成長させた。BBCの人気料理番組「サタデー・キッチン」に何度も出演したことで英国人の間でもよく知られる存在となった。
「最小限の食材で最大限の美味しさを」をモットーにシンプルなイタリア料理を紹介し続けた。その功績が認められイタリア政府から騎士の称号を授かり、英国でも2007年にエリザベス女王から大英勲章(OBE)が与えられた。
かつてのボスの訃報に触れジェイミー・オリバーは「カールーチォ氏は25年前、ニール・ストリートで私にとってロンドンでの初めてのボスだった。当時ニール・ストリートはワイルドマッシュルームを使った料理の草分け的存在だった。彼の下で働くのは本当に楽しかった。彼はカリスマであり、魅力的なイタリアのドンだった。あの白髪で、太い葉巻と何か美味しそうな飲み物の入ったグラスを持っていつもドアにもたれかかっていたっけ。彼がいなくなってとても寂しい」とツイートした。
by 週刊ジャーニー(Japan Journals Ltd, London)