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ぶらりんぐロンドン

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ヘンドン日本人墓地 完成80年記念慰霊祭

■ロンドン北部にヘンドン・セメタリーという静かな霊園がある。この一角に御影石の立派な碑が立つ。そこに刻まれている文字は「皇国同胞之墓」。文字通り、英国に骨をうずめた先人たちの霊を慰めるためのものだ。同碑が完成したのは1936(昭和11)年10月3日。それからちょうど80年という節目を迎えるにあたり、7月30日、百名余りの在英邦人、そして日本からの来賓などが集い慰霊祭が営まれた。

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挨拶を述べる、英国日本人会会長、佐野圭作氏=右端=と、来賓の方々(前列左よりバーネット区長のデビッド ・ロングスタッフ氏、駐英国大使の鶴岡公二氏、副総理兼財務・金融担当大臣の麻生太郎氏)

現在、この日本人墓地の所有責任者は、「英国日本人会」(会長 佐野圭作氏)とヘンドン・パーク墓地管理事務所。定期的に清掃も行われるなど、大切に維持されているこの墓地には、1910年 ~ 20年代に亡くなった邦人39人が実際に埋葬されているほか、遺灰を預けた164人の名が碑の両脇にしつらえられたパネルに記されている。
このほど、同墓地で催された慰霊祭は、完成80年を記念するもの。佐野会長を中心とする英国日本人会の働きかけにより、同墓地完成時に英国に大使として駐在中だった吉田茂氏の孫である、副総理兼財務・金融担当大臣、麻生太郎氏を来賓に迎えての式典が実現した。

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右はヘンドン墓地除幕式(1936年10月3日)の様子を伝える記事。「日英新誌」より(大英図書館所蔵)。

当日は、鉛色の空が一面に広がるきわめて英国的な天候。しかし、幸い雨は降らず、午前11時より予定通りに開始の運びとなった。
麻生氏に加え、来賓として、駐英国大使の鶴岡公二氏、バーネット区長のデビッド ・ロングスタッフ氏も列席。佐野氏、麻生氏、鶴岡氏のスピーチのあと、三輪精舎主管の佐藤顕明氏による読経、英国国教会牧師のトム・プラント氏による日本語での祈りも厳かに墓地に響いた。
さらに、来賓の手による、桜の苗木の植樹が行われ、最後は、出席した在英邦人100人余りによる「故郷」の斉唱で、慰霊祭は幕を閉じた。
「こころざしをはたしていつの日にか帰らん」
1914(大正3)年に発表された「故郷」の歌を、36年当時、どれほどの在英邦人の方々が知っておられたかは定かではないが、この歌詞を聞いて様々な思いをめぐらさぬ人はいないだろう。
こころざしをはたした人も、また、こころざし半ばで、この異国の地で最期を迎えた人も、等しくここでは安らかに永眠されるよう祈りたい。

ヘンドン・セメタリー 
Hendon Cemetery and Crematorium, Holders Hill Road, NW7 1NB
■ミル・ヒルMill Hill駅から徒歩12分。または、車で行く場合は、セメタリー内の通路(車道兼用)に沿って駐車することが可能。
■日本人墓地は、同セメタリー内の入口から50メートルほど入った左手に7段ほどの石のステップがあるので、そこを上がり、2つめの細道を左に曲がった所にある。
■8月14日(日)11:30頃より、日本人墓地の清掃が行われる予定。
お問い合わせ先:墓地管理部 藤田氏 (このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 / 020 8208 0408)
※墓地清掃については英国日本人会のウェブサイトに情報が掲載される。www.japanassociation.org.uk