
ジャーニー編集部がロンドンの街をぶらりとレポート
チェルシーで開催中、深瀬昌久氏の写真展に行ってきました。

ロンドンのチェルシー地区にあるMichael Hoppen Galleryで、日本の写真界を牽引した写真家のひとり深瀬昌久氏(1934ー2012)の写真展が開催されています。「自分とは何か」を追求し続けた写真家として知られ、世界的に高い評価を受ける日本人写真家のひとりです。同氏の作品の中から、今回は「鴉(からす)The Solitude of Ravens」を中心にヴィンテージ・プリント、約30点が展示されています。

長年撮り続けた前妻と離婚した後、やりどころのない寂しさや孤独を抱えながら撮影されたシリーズ「鴉」は、同氏の代表作。暗闇の中に浮かび上がる鴉の群れや、鴉の仕草などは、暗く、ちょっと不気味でもあります。
特に印象深かったのは、日中、電線にとまる鴉を写した3枚。激しく鳴き叫んでいたかと思うと、今度はまるで思考するかのようにじっと構える姿などが写し出され、被写体である「鴉」が何かを語りかけてくるような錯覚に陥りました。

暗い…。それが最初の素直な感想でしたが、じっくり見ていくと、生命力や、美しさも感じられ、気づけば、フレームの中の世界に引き込まれていました。
Michael Hoppen Galleryではこれまでに石内都氏や川田喜久治氏など、多くの日本人写真家を紹介しており、グランド・フロアの入り口を入ってすぐ右手には、写真家・西野壮平氏の「Diorama Map Tokyo, 2014」が展示されていました。膨大な数の写真をコラージュして、東京を俯瞰した地図が描かれています。近づいてみると、人物のスナップ写真なども街を構成する一部となっていて、見ごたえあり。ギャラリーを訪れた際はこちらもお見逃しなく。
MASAHISA FUKASE
'SOLITUDE OF RAVENS'
4月23日まで/入場無料
Michael Hoppen Gallery
www.michaelhoppengallery.com
編集部 C