ジャーニー編集部がロンドンの街をぶらりとレポート
ウェス・アンダーソンの新作「Isle Of Dogs 犬ヶ島」の世界を覗いてきた!

「グランド・ブダペスト・ホテル」でアカデミー賞4部門、ゴールデングローブ賞映画部門作品賞を受賞、ベルリン国際映画祭審査員グランプリに輝き、「ファンタスティック Mr. Fox」ではアカデミー長編アニメーション賞にノミネートされた異才、ウェス・アンダーソン監督による新作ストップ・モーションアニメ「Isle Of Dogs(邦題:犬ヶ島)」のエキシビションに行ってきました。

ウォータールー・ブリッジや王立裁判所にほど近いイベント・スペース「The Store X」で3月23日より開催されているエキシビションは、アーティストやクリエーターに絶大な人気を誇るウェス・アンダーソン監督の新作映画の関連展示という話題性と、入場無料ということも手伝って連日大盛況の様子。
日曜の夕方に足を運んだ時は、外に10メートルほどの列があり、10分ほど待って建物の中に入るとさらに列がありましたが、計20分ほどの待ち時間で入場することができました。

物語の舞台は近未来の日本「メガ崎市」。犬インフルエンザが大流行したとされ、犬たちは感染を防ぐためにゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されてしまう。12歳の少年、小林アタリは愛犬のスポッツを捜し出すため、単身犬ヶ島に向かう…というストーリー。
映画は東ロンドンのスタジオで撮影され、撮影に実際に使われた人形と17のセットが展示されています。会場内には映画のセットを実物大に再現したラーメン・バーもあり、Sohoの日本食レストラン「Engawa」のシェフによるラーメンや日本酒などの飲み物が提供されています。

「昭和の日本テーマパーク」のようなセットを進むと、早速映画に使われたラーメン屋のセットが登場。訪れた人は一様にスマホや一眼レフカメラを手に懸命に写真撮影をしていました。

広々とした展示エリアに進むと、メガ崎市の圧巻の夜景のセットがお目見え。日本人の目から見ても「外国人が思い描いた、中国と日本が混ざり合ったおかしなオリエンタル」になっていないところに、作品の舞台に日本を選んだ理由について「狂おしいほど、日本映画、アート、食べ物、文化が大好きだから」「僕の日本映画への想い、特にクロサワ(黒澤明監督)へと関連付けたかったから」と語るアンダーソン監督の日本愛と、細部に至るまでの徹底的なこだわりを感じました。 監督は黒澤明監督の他に宮崎駿監督作品、北斎や広重といった浮世絵の大ファンでもあるそう。

監督の映画に共通する「秩序と無秩序」が交錯するシュールな世界観は、まさに「伝統文化とテクノロジー」「侘びさびと雑踏」が混在する日本を題材とするにピッタリだったのかもしれません。

セットの裏側も覗くことができます。





映画のプロモーションとはいえ、これだけの規模のエキシビションを無料で見られるとは、ロンドンのアートに関する懐の深さに感激するばかりです。

英国での映画の一般公開は3月30日より。見ごたえたっぷりのエキシビションで気分を高めてから映画を見に行くも良し、映画を見てからエキシビション会場へと足を運ぶのも良し。ウェス・アンダーソン・ファンでなくとも十分に楽しめるエキシビションをお見逃しなく!(編集部H)

2018年3月23日~4月5日(木)まで
入場無料
The Store Studios
180 The Strand, London, WC2R 1EA
映画「Isle of Dogs(邦題:犬ヶ島)」(米独・2018年・101分・PG)
監督:ウェス・アンダーソン
声の出演:ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソンほか

※情報は2018年3月26日現在