ジャーニー編集部がロンドンの街をぶらりとレポート
ブリッジ・シアターで公演中のジュリアス・シーザーに参加(!)してきた

「ブルータスよ、お前もか」のセリフで知られる、古代ローマを舞台にしたシェイクスピアの政治劇・悲劇「ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)」。現在、英俳優ベン・ウィショー主演、観客参加型で上演中の本作を観賞してきました。

ジュリアス・シーザーが公演されているのはタワー・ブリッジの足元に2017年10月にオープンした「The Bridge Theatre」。ロンドン市庁舎の横にある芝生の広場「Potters Fields Park」に面した劇場です。

エントランスを入ると洒落た雰囲気の広々としたカフェ・バーエリアで、多くの人がプレ・シアターの軽食やドリンクを楽しんでいました。

今回の公演では、観劇者は座って観賞するだけでなく、劇に参加することも可能。チケット購入の際に選べます。 劇に参加する(座席なし)チケット保持者は、手荷物を一切持ち込めないので、ポケットに携帯を入れてクロークに荷物とコートを預けます。 ワクワクしながら場内に入ると、ロック・バンドの生演奏中。お酒を片手に体を揺らす観客でリラックスした雰囲気。 本作では、ストーリー設定は古代ローマのまま、演者の服装や戦闘シーンなどを現代のものにし、縦横無尽にステージの位置が入れ替わるスリリングで飽きの来ない演出がされています。

開演前には甘く炒ったアーモンドを売る小さな屋台があったり、ジュリアス・シーザーの名前入りキャップなどの「シーザー・グッズ」を売り歩く人、シーザーを支持するプラカードを掲げている人がいたりと、すでに政治劇の世界観が演出されています。そしてバンドの演奏が終わると同時に本編の幕開け。

ポンペイの残党を討ったヒーロー、シーザーのローマ凱旋からスタート。観客は、シーザーを熱狂的に迎え入れるローマの群集となり、観客の中に紛れている演者の自然な誘導によって手をたたき、シーザー・コールを上げ、シーザーの凱旋を祝います。 圧倒的な支持と権力を手に入れたシーザーに恐れと不満を抱いたカシアスは、シーザー暗殺を企て、シーザーが権力を独占することの危険さを雄弁に語り、ベン・ウィショー演じる高潔な政治家ブルータスを仲間に引き入れます。 ブルータスは葛藤しながらも、「すべてはローマのため」とカシアスら仲間と共にシーザー暗殺を決行します。

エレキギターで奏でられる鎮魂歌、シーザー派とカシアス派の戦闘では鉄条網やジープが登場し、激しい銃撃戦が繰り広げられるというパンクな演出に観客は釘付け。
ローマの群集として観劇した筆者も、ブルータスやシーザー派のアントニーの演説に聞き入り、「run! run!」と移動を急き立てられ、「get down!」としゃがみこみ、会場にばら撒かれたチラシを拾い、ベン・ウィショーとの初共演!? を果たした気分になりました。
高度な英語を喋り倒すシェイクスピア演劇は私には敷居が高いのですが、日本語の資料はネットに数多くあり、容易に予習できるので話についていけました。
そして今回は、公演2日前に急きょチケットを予約したにも関わらず、最高のロケーションで、最高の役者たちの演技を自分も参加しながら至近距離で拝めるという、文化やアートが身近なロンドンに暮らしていることに改めて感謝した一夜となりました。(編集部H)

4月15日(日)まで
チケット:座席有 15~65ポンド、座席なし・観客参加型スタンディング 25ポンド
The Bridge Theatre
3 Potters Fields Park, SE1 2SG
※情報は2018年3月14日現在
