イギリス人で看護師と言えばフローレンス・ナイチンゲールを思い浮かべる人がほとんどでしょう。敵味方の区別なく看護した戦場の天使とイメージされている方も多いと思います。しかし敵味方の区別なくという部分は実はナイチンゲールのことではなく、今回のイーディス・カベルの話がミックスされて広がっているのだと思います。イーデスは第一次世界大戦勃発直前のブリュッセルでベルギー初の看護師養成校の婦長として抜擢され多くの看護婦を世に送り出しました。
しかし大戦がはじまり、ベルギーはドイツに占領され、その中で臨時に赤十字病院となった養成校で敵味方の区別なく、看護にいそしみました。やがてレジスタンス組織とつながりを持ち、逃げ遅れた連合国の兵士をかくまい、中立国オランダに脱走させる手伝いをしました。救った兵士の数は200人を超えます。しかしスパイ容疑でドイツ軍に捕らえられ、裁判の末に死刑判決を受けて銃殺されました。イーデスは戦後、命を賭して看護師の義務を果たし、同胞の命を救ったヒロインとしてイギリスの人々に記憶されました。しかしそれから100年を経て、人々の記憶から消えつつあります。ロンドン中心、トラファルガー広場から徒歩2分のところに1920年に建立されたイーデスの立派な銅像が立っています。近くにお越しの際はぜひ、訪れてみてください。心にぐっと迫るものがあります。

イーデス・カヴェルの生まれたスウォーデストン村で、ボランティアでカヴェルの生涯を後世に伝える仕事をしているニック・ミラーさんと偶然お会いし、ご自宅にも呼んでいただき、写真や資料のご提供をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

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