あったら便利が実現!?

早歩き専用レーン

 

 

■友達とおしゃべりしながら、ウィンドー・ショッピング。
目抜き通りを歩く楽しみのひとつだが、目的の場所に急ぐ人やさっさと買い物を済ませたい人にとって、人混みの中をゆっくりと歩く集団は邪魔に感じられ、「もっと早く歩いてよ!」と言いたくなるもの。こうしたストレスを解消するための策が、各地で練られている。

 


小規模醸造所のメッカといえば、ロンドン南部バーモンジーと、東部ハックニー。同ブリュワリー=写真=のほか、醸造所、専門店などが点在する。
昨年11月、カタログ販売チェーンのアルゴスが導入して話題を呼んだのが、英国初となる「早歩き専用レーン(Fast Lane)」。イングランド北西部リヴァプールの店舗前の歩道に、赤い線で対向2レーンが描かれた。冗談でしょ!? と疑いたくなるような出来事だが本当の話だ。
快適なショッピング生活を提供すべく日々試行錯誤を重ねるアルゴスは、英国の買い物事情について調査を依頼。英国人が抱える買い物時の不平の対象として、ショッピング街をぶらぶらと歩く人や、歩道の大部分を占拠して移動するグループを挙げており、英国人の約半数がこうした人々の行動を苦々しく思っていることがわかったという。
この結果を受け、1週間限定で試験的に設置されたのがこの専用レーン。周囲の反応はというと、「イングランドの大都市は人が多すぎるから、とてもナイスなアイディア!」「空港にも設けてほしい」というポジティブな意見がネット上に並ぶものの、「こんなわかりにくいサインには誰も従わない」「そのうち、ファスト・レーン使用のライセンスが必要になるんじゃないの」といった批判的な声も目に付く。
オックスフォード・ストリートの人混みに日々ストレスを募らせている筆者としては、ロンドンにもあったら便利だろうなぁと期待したくなる。しかし、通りに立ち並ぶショップ群をキョロキョロと眺めながら歩く人たちが、このレーンに気づくとは思えないので、現実的ではないのかも。

 


米国、ベルギーには携帯専用レーンも

一方、歩道に現れた変化は英国だけのものではない。
2014年7月に米ワシントンで導入されたのが、「携帯電話レーン」。忙しい現代人の生活の中で、移動時間も効率よく使って、メッセージを作成したり、調べ物をしたりする姿など、もはや当たり前の光景になりつつある。しかし、携帯を見ながら歩いていると、人にぶつかり、他人に迷惑をかけることもしばしば。こうした現状を踏まえ、設置されたようだ。早歩き専用レーンの発想とは異なり、こちらは遅い人用と言えそう。携帯電話レーンの中でも対向2レーンが記され、使用者同士がぶつからないよう配慮されている。
似たような光景は、ベルギー・アントワープでも見られる。昨年6月、繁華街の歩道に白い線が引かれ、「テキスト・ウォーキング・レーン」のサインが登場。携帯電話会社「MLab」によるもので、画面に集中してノロノロと歩く人が迷惑だから…という、他人を気遣ってのことかと思いきや、実は、携帯利用者のためのもの。 スマホを使いながら歩行し、人にぶつかって携帯を落としたり、スクリーンを壊したりする人が多いことへの改善策という。携帯会社ならではの心配りといえるだろう。スクリーンの文字に集中するあまり、電灯や車止めのポールなどにぶつかる危険も潜んでおり、こうした安全面も考慮していると、担当者は語る。とはいえ、携帯に夢中になりすぎて、引ったくりに遭ったら元も子もない!? (文/本誌編集部 西村千秋)