■ 英国の家庭で大人気のエアフライヤー。調理時間を短縮・光熱費を節約できるうえに、油をあまり使わずにヘルシーに揚げ物が楽しめるので、ここ数年で売り上げが急上昇、さまざまな機種が販売されている。その一方で、エアフライヤーに変わり、1台でさまざまな料理がつくれるマルチクッカーも注目を集めている。今回は、この2つの調理用家電を徹底比較してみたい。(文/名取由恵)
\エアフライヤー/
COSORI Air Fryer Lite £99.99
容量は3.8リットルでコンパクトながらも、使い方や使用後の掃除も簡単。チップス、チキン、野菜、ローストなど7種類の機能を持つエアフライヤー。アプリを使ってスマホからも操作可能。比較的リーズナブルな値段設定も嬉しい。
www.cosorishop.co.uk
\マルチクッカー/
NINJA Foodi MAX 15-in-1 SmartLid Multi-Cooker £319.99
これ1台で何でもOKの頼もしいマルチクッカー。スロー調理から圧力鍋、エアフライヤー、グリル、スチームまで、15種類ある調理プログラムを選んだら、あとはお任せという優れもの。7.5リットルの容量で、6人分の調理が可能。
https://ninjakitchen.co.uk
\エアフライヤー/
NINJA Foodi MAX Dual Zone Air Fryer £249.99
エアフライヤー、ロースト、再加熱など6種類の機能。デュアルゾーン・テクノロジーにより、2種類の料理を同時進行で調理して同じ時間に完成できるという賢いマシーン。9.5リットルと容量もたっぷりで、8人分の調理が一度にできる頼もしさ。
https://ninjakitchen.co.uk
\エアフライヤー+マルチクッカー/
Instant Pot with Air Fryer Pro Crisp £249.99
エアフライヤー+マルチクッカーの両方を兼ね備えた万能機器、インスタントポット。圧力鍋、スロー調理、蒸し、ロースター、ミニオーブン、グリルなど、11種類の機能を持つ。用途に合わせて2種類あるふたを使い分けることで、調理がさらに便利になった。
https://instantpot.co.uk
エアフライヤー
高温の熱風を循環させて調理する小型オーブン。油を使わず、食材の余分な油も吸収せずに調理できるので従来の料理方法よりヘルシーで、なおかつ揚げ物をサクサク、カリカリに仕上げてくれる。チップスはもちろん、野菜、肉、魚などいろいろな食材にも対応できる。ほとんどの機種でエアフライのほか、ロースト、グリルなどが使用可能。高価なタイプはベイクや解凍、再加熱もできる。
【 長所 】
・リーズナブルなものもあり、予算に合った機種を選べる。
・オーブンに比べて光熱費を節約でき、調理時間も短い。
・カロリーや脂肪の摂取を抑えてくれる。
・使い方や手入れが簡単。
【 短所 】
・カレーやシチューなど、煮込み料理には不向き。
・大人数の料理には不向き。
マルチクッカー
「蒸す」「煮る」「焼く」「揚げる」など複数の機能が搭載されているので、これ1台でさまざまな料理ができる。モデルによって機能は異なるものの、大抵はエアフライ、ロースト、ベイク、圧力鍋、スロー調理、蒸しなど、6つ以上の機能を持つ。忙しくて料理に時間がかけられない人には便利な家電。料理が苦手な人でも、これがあればレパートリーや料理の幅が広がる。容量が大きめなので、大家族でも対応可能。
【 長所 】
・用途が広い。
・エアフライヤーにはできない、煮込み料理も可能。
・オーブンに比べて光熱費を節約できる。
・調理時間を短縮できる。
【 短所 】
・エアフライヤーより高価であることが多い。
・エアフライヤーより使い方が複雑。
・サイズが大きいので場所を取る。
どちらがおトク?
英消費情報サイト『Which?』が、モーフィ・リチャーズ社のエアフライヤーとニンジャ社のマルチクッカー(設定はスロー調理)を使って、ジャケットポテト、ケーキ、ローストチキンをつくり、調理時間、エネルギー消費量、コストなどを比較したところ、ジャケットポテトとローストチキンでマルチクッカー、ケーキではエアフライヤーが勝り、2−1でマルチクッカーに軍杯が上がった。一方、料理の仕上がりの質については、3種類すべての料理でエアフラヤーが最高点を記録。
どちらが手入れしやすい?
エアフライヤーはマルチクッカーよりもサイズが小さめなことから、洗いやすく、水切りカゴにも収まりやすい。手入れのしやすさという点では、エアフライヤーの方が優れていると言える。ただ、大手ブランドのエアフライヤーとマルチクッカーは食洗機にも対応しているので、購入の際には食洗機対応か、丸ごと洗えるかなども確認しておくといいだろう。
どちらが置きやすい?
購入の際には、機器の大きさとキッチンのどこに置くかも重要なポイントになる。とくにマルチクッカーは場所を取るので、キッチンに十分なスペースがあるか注意したい。一方で、エアフライヤーは幅広いサイズ展開をしているため、キッチンが狭くても安心。フレキシブルに選べるところが魅力だ。
どちらのコストが安い?
選ぶ際には購入価格に加えて、買った後の使用コストについても考えたい。ブランドにこだわりがなければ、エアフライヤーもマルチクッカーも50ポンド程度、大手ブランドの商品は100ポンドくらいから購入できるが、マルチクッカーの方が高額であることが多い。使用コストは、何を料理するか、料理にどのくらいの時間がかかるかにもよるが、従来のオーブンよりはコストが安く上がる。購入の際にはワット数のチェックも忘れずに。
さて、アナタはどちらを買う?
エアフライヤーとマルチクッカーのどちらを購入するかは究極の問題だが、どんな機能が必要か、どんな料理をつくりたいかが一番の焦点になる。
一般的には、チップスやフライドチキンなど揚げ物をよくする家庭ではエアフライヤー、煮込み料理などいろいろな機能を使って幅広い料理をつくりたい、または家族の人数が多い家庭ではマルチクッカーがよいとされる。
エアフライヤーは使用方法が簡単かつ収納しやすいことから、どちらも使ったことがなくて初めて買う場合は、まずはエアフライヤーから試してみるのもよいだろう。用途、目的、家族の人数、予算に合わせていろいろ比較してみよう。
週刊ジャーニー No.1340(2024年5月2日)掲載