
比較解剖学の教材を保管陳列する施設として、1828年に設立されたグラント動物学博物館は、絶滅した動物や現存する動物の骨やホルマリン漬けの標本、剥製、ガラスや蝋で作成された模型、化石、昆虫など、約6万8000点の動物学標本を収蔵。UCLで教鞭をとったロバート・エドモンド・グラント氏により創設され、1996年からは一般公開されている。
UCLの建物の一角にある、ごく小さな博物館だが、床から天井まで広がる美しくユニークな展示と、重厚感あるキャビネットや展示物そのものに歴史を感じる。と同時に、世界的に知られる英国人のコレクター気質に圧倒される。
再オープン前と後では、一見大きな変化は見られないが、随所に新しい解説が加えられ、生物の多様性、人間が生物や自然界に与える影響などを紹介している。また、セイシェルガエルやノコギリエイの鼻など、これまで公開されていなかったいくつかの標本が加えられた。
入場無料で予約も不要。好奇心旺盛な子どもたちを連れて、学校の春休みに訪れてみてはいかが? (写真・文/ネイサン弘子)
African Rock Python アフリカニシキヘビ

まるでローラーコースターのようにくるくるとうねった骨の標本製作には、細心の注意が必要になりそう。
Jar of Moles ジャー入りのモグラ

博物館内で最も人気のある展示物のひとつという、モグラの薬液漬け。以前はこれに似せたぬいぐるみが販売されていた。
宝石のように美しい海の生物たち

様々な種類のヒトデやイソギンチャク、サンゴ類などの海の生物の標本は、色形が美しく、まるで宝石店のショーウィンドウを見ているよう。

Sawfish Rostra ノコギリエイの鼻
絶滅危惧種のノコギリエイの鼻の標本は、現存するノコギリエイの遺伝的健康状態を分析する国際プロジェクトに役立てられたのだとか。

Grant Museum of Zoology

University College London,
21 University Street, WC1E 6DE
火~金:午後1時~午後5時
土曜:午前 11時~午後5時
日・月:休み
※3月28日(木)~4月3日(水)は休館
www.ucl.ac.uk/culture/grant-museum-zoology
週刊ジャーニー No.1335(2024年3月28日)掲載