■ 大掃除といえば、日本では年末恒例だが、英国の大掃除は「スプリング・クリーニング(Spring Cleaning)」と呼ばれるように、春先が一般的。長く暗い冬が終わり、使っていたストーブや暖炉などのすすを払ったことから、春に大掃除をする習慣が生まれたとも言われている。少しずつ日が長くなる今、窓を開けて家の中の大掃除をすれば気分もすっきり。今回は、スプリング・クリーニングに役立つヒントをいくつか取り上げてみよう。(文/名取由恵)
キッチン
シンク

キッチンシンクの排水口が詰まると流れが悪くなったり、悪臭の原因になったりする。その主な原因は、排水口内で固まった油汚れ、そして食材のカスやぬめり。「Mr Muscle」シリーズなど市販のパイプクリーナーを使って洗浄しよう。また、普段から調理器具や食器に大量の油が残っていたら、スポンジで洗う前にキッチンペーパーなどで吸い取ることを心がけたい。
ガスコンロ
ガスコンロ 油汚れの掃除には、水に溶かすと弱アルカリ性の性質を持つ重曹が効果的。アルカリ性は、酸性の油汚れを分解することが出来るためだ。重曹水スプレーや重曹ペーストを使用しよう(コラム参照)。
電子レンジ
電子レンジ 耐熱ガラス製ボールにホワイトビネガーと湯を入れて、レンジ内に約5分放置。湯気がなじんだところを乾いた柔らかい布で拭き取ろう。
ゴミ箱・生ゴミ用のゴミ箱
意外と忘れがちなゴミ箱の掃除。ゴミ箱の悪臭を防ぐためには、底に重曹かネコのトイレ用猫砂などを敷くとよい。
バスルーム

ライムスケール(石灰質の水垢)
英国暮らしで悩まされるのがライムスケール。キッチンやバスルームなどの水回りでは、一度水垢がつくと、なかなか取れにくいので、こまめに掃除することが大切。市販の「ライムスケール・リムーバー」のほか、ホワイトビネガー、クエン酸、レモン汁を使うなど、いろいろな方法があるので試してみよう。

湿気対策
バスルームの湿気はカビや雑菌の原因にもなるので、浴室内の水気をなくして湿度を下げることが重要。使用後は換気扇を使う、または窓と浴室のドアを開けるなどして対策したい。また、石鹸カスや人間の垢はカビの大好物になるので、入浴後はシャワーでバスタブや壁をさっと流し、さらに水切りワイパーやタオル、掃除用スポンジを使って水滴をふき取るとよい。市販のカビ取りスプレー(写真)も活用したい。
リビングルーム
カーペット

カーペットに付着した食べ物や飲み物の汚れが水性の場合は、雑巾に薄めた中性洗剤やクエン酸、または重曹液をしみこませ、汚れた部分に水分を含ませるようにトントンと叩いて汚れを落とす。汚れがある程度落ちたら、乾いた雑巾で水分を吸い取るように叩く。油性マジックなどの油性の汚れは、ベンゼンを含ませた雑巾で汚れた部分をトントンと叩いて汚れを落とす。市販のカーペットクリーナーを使ってもよい。スーパーやドライクリーニング店などで、業務用カーペットクリーナーを貸し出しているところもあり。

ソファ
布製とレザー製で手順は異なるが、洗剤を使用する際には、あらかじめ目立たないところで使ってみて問題がないかチェックすること。布製の場合は、① 掃除機でほこりをとる ② シミを取る(カーペットを参照)③ ファブリック・クリーナーを使う ④ 自然乾燥させる。レザー製の場合は、① 掃除機をかける ②濡れ雑巾やマイルドな石鹸とぬるま湯でシミをとる。またはレザークリーナーを使う ③ 乾いた雑巾で乾拭き ④ 自然乾燥。
ベッドルーム
マットレス
イエダニを防ぐためにも、マットレスの掃除は欠かせない。① 取扱表示ラベルをチェック ② シミをチェック ③ ふとん・ソファ用のノズルをつけて掃除機をかける ④ 両面マットレスの場合は、裏返して再度掃除機をかける ⑤ 窓を開けて数時間空気にさらす。ベッドの下に掃除機をかけるのも忘れずに。なお、シーツの下にマットレス・プロテクターを敷いて使うと、ホコリや汗からマットレスを守ってくれる。ちなみに、マットレスを8年以上使用している場合は買い替えも検討しよう。

ワードローブ
古くなった服、サイズが合わなくなった服の断捨離をしよう。不要な衣服はチャリティーショップやリサイクリング・バンクに持っていく。古いTシャツは、掃除用の雑巾として再利用できる。
\これがあると便利!/クリーニング「3種の神器」
重曹/Sodium Bicarbonate(Baking Soda)

自然素材なので、小さな子どもやペットがいる環境でも安心して使える。油汚れや皮脂汚れを落とす際におすすめ。アルミや銅、漆器や宝石にはNG。重曹は一般的に2種類あり、店頭でよく見かけるのはSodium Bicarbonateよりも少し強力なSodium Carbonate(Soda Crystals)。重曹水スプレーは、水100mlに対し、小さじ1杯程度の重曹を溶かしてつくる。しつこい汚れには、重曹を大さじ2杯に対し、水を大さじ1杯混ぜてよく練った重曹ペーストを使用。肌が弱い人は、ゴム手袋を着用して使用すること。
クエン酸 /Citric Acid

柑橘系のフルーツや梅干しに含まれる酸味成分の一種。重曹と同様に、ナチュラル・クリーナーなので安心して使える。キッチンやお風呂の水垢、トイレの尿石などの水まわりで発生する汚れにおすすめ。漆器、鉄、アルミ、大理石や金属などには注意。水1カップ(200ml)とクエン酸小さじ1/2を混ぜたクエン酸水をスプレーする。塩素系漂白剤と混ぜると有毒なガスが発生する恐れがあるので気を付けて。

ホワイトビネガー/White Vinegar
ケトルやシャワーヘッドのタイムスケール除去、オーブンの掃除などにおすすめ。鏡、スチームアイロン、グラナイト製の調理台、洗濯機、食洗機の掃除には不向き。
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週刊ジャーニー No.1334(2024年3月21日)掲載