
■英国でもコアなファンが多い日本の写真家、森山大道の写真展がロンドン中心部のギャラリーで開催中だ。彼のキャリアのさまざまな瞬間に焦点を当て、200点以上の作品と大規模な映像インスタレーション、写真集や雑誌の数々を一堂に展示している。世界で最も影響力のある「ストリート・フォトグラファーのひとり」と称される写真家の記憶を回顧する旅に出かけてきた。(文/ネイサン弘子)

「外に出なさい」。森山大道が写真についてのアドバイスを求められた時にまず言う言葉だ。その言葉通り、路上を愛し、旅を愛し、散歩中、旅の途上で彼の目にとまり、心に響いた人や風景をスナップする。国道を長時間移動することは、彼にとって長い本を読むに等しいとインタビューで語った。
現在ロンドンの街角で開催中の「森山大道:回顧展」には、街中にありふれた何気なくも心を惹きつけてやまないスナップに、彼の写真に溢れる混沌とした雰囲気に憧れる人々が続々と流れ込んでいく。
ストレートにエロティックだが映画のような奥行きのある写真、『激動』という言葉そのものの昭和のワンシーン、刹那と力強い生命力を湛える野良犬の写真に釘付けになる。






英各メディアの評価も高い、本エキシビション。最上階の5階から階下に降りながら巡り、最後は森山氏の最も知られる作品のひとつである野良犬がプリントされた写真展のポスターや、英語版の作品集が並ぶ森山大道コーナーが特設されている地下のショップも、お見逃しなく。


The Photographers’ Gallery

16-18 Ramillies Street, W1F7LW
月~水: 10am~6pm
木・金: 10am~8pm
土: 10am~6pm、日: 11am~6pm
チケット:£6.50(事前予約)、£8(当日)
※金曜5pm以降は入場無料
https://thephotographersgallery.org.uk
週刊ジャーニー No.1315(2023年11月2日)掲載