
英国写真文化の新たな中心地になるべくオープンしたギャラリーがあるのは、地下鉄グリーンパーク駅とピカデリーサーカス駅の中間あたり。ピカデリーの大通りから一本入った裏道に次々と人が吸い込まれていく。
地下1階、地上2階からなる真新しいギャラリーは、著名なアートディーラーのジェームズ・ハイマン氏によって設立され、同氏のコレクションをはじめとした1900年代初頭から現代までの英国の写真作品が展示される。
記念すべきオープニング・エキシビションとして地上階で開催されている「Headstrong: Women And Empowerment」展では、英国を拠点に活動する女性写真家やアーティストのユニークなセルフポートレートをフィーチャーした。上階では、個性的な3人の女性写真家を特集。地下の「The English At Home」展では、英国を代表する唯一無二の写真家であるマーティン・パーをはじめとする写真家らによる、20世紀の英国の姿をありのままに切り取った写真の数々が展示されている。自然体の写真を見た時も、作り込まれた写真を見た時も、「写真は撮るものではない、つくるものだ」という米国の著名写真家の言葉を思い出した。
同館では今後も外部キュレーター、地域の美術館とのコラボレーションやイベントなど、写真を軸にしたあらゆる企画が行われるという。写真好きや写真を学んでいる人、ちょっと時間を潰したい人にもオススメ。上記のエキシビションはいずれも4月23日(日)まで。(写真/文・ネイサン弘子)
Headstrong: Women And Empowerment


Jo Spence. Fairytales And Photography

Natasha Caruana. Fairytale For Sale

Heather Agyepong. Wish You Were Here

The English At Home


20世紀を代表する写真集で、世界の写真史にその名を刻むビル・ブラントの『The English At Home』(1935年)にちなみ、ギャラリー創設者のジェームズ・ハイマン氏のコレクションから、英国における20世紀の家庭環境をテーマにした写真を紹介している。英国をありのままに描写した写真から始まり、1970年代以降の写真家による、よりコンセプトを重視したシリーズ写真などを紹介する。1930年代の大恐慌下における英国人の生活の一端を垣間見る歴史的な写真や、階級制度を批判した連作など幅広い。
Information

49 Jermyn Street, SW1Y 6LX
開館時間: 水曜~金曜: 午前11時~午後6時 / 土日: 午前11時~午後4時
入場無料
https://britishphotography.org
週刊ジャーニー No.1279(2023年2月23日)掲載