待ちに待ったパブの再開に気持ちが浮かれる英国人は少なくない。およそ3分の1が再開からの1週間のうちにパブを訪れる計画を立てているとされ、最初の週末だけでも2億ポンドが使われると見られている。
パブのオーナーらはロックダウン前の状態までビジネスを回復することを目指すが、ソーシャル・ディスタンシング・ルールや新型コロナの脅威がまだ残る現在では、その道のりは険しいと言えそう。しかも、大手チェーンならまだしも、個人経営の店となれば、不安はより大きくなるはず。
そんな中、ロンドンでは独立系パブをサポートするためのウェブサイトが立ち上がっている。その名は「Keep Pubs Pumping」。パブ好きの4人のロンドナーが集まって立ち上げたというこのプロジェクトでは、対象となるパブをイメージしたアートワークをコットン100%の白いTシャツにプリントし、サイト上で販売する。価格は1枚24ポンドで、そこから制作費などを除いた10ポンドがパブに寄付されるのだそう。
支援の対象となっているパブを挙げてみると、芸術家フランシス・ベーコンらが通ったと言われるソーホーの有名パブ「フレンチ・ハウス」、メイフェアで最も古いパブのひとつ「ランニング・ホース」、中華街の「ブルー・ポスト」、ハックニーの人気パブ「ザ・ダブ」など。6月29日現在、ロンドンを中心に、シェフィールド、エディンバラのパブおよそ20柄のサポートTシャツが並ぶ。
デザインを手掛けるのはロンドンをはじめ英国各地のイラストレーターらで、ポップで遊び心のあるイラストばかり。その店を知らなくても欲しくなる絵柄がそろっているので、サポートは関係なく、気になるTシャツを買って着るのもあり!
同サイトでは、他にも支援が必要なパブを募集しており、今後も増えることが予想される。Tシャツを1枚買う軽い感覚が支援に繋がるのもいいね!(文・西村千秋)
週刊ジャーニー No.1144(2020年7月2日)掲載