英国の伝統的朝食、復権の兆し!?キッパー

■ かつては英国の定番の朝食だった燻製ニシン「キッパー」。1970年代に入り人気を落とすも、健康志向の高まりを受け復活の兆しがみられるという。現状を探った。

英首相ボリス・ジョンソン氏が首相に就任する前の7月、党首選の選挙集会で魚の開きを高々と振りかざし、「彼らのせいで生産者は苦しんでいる」とEUの規制を非難したのを覚えている人もいるのではないだろうか。これに対してEU側が、ジョンソン氏が指摘した規制はEUによるものではないとあっさり反論したことで、同氏の主張が人の目を引いただけのパフォーマンスに終わってしまったのだが、このときに政治の場に引っ張りだされたのが、今回取り上げる英国名物の「キッパー」だ。
キッパーとは魚の名前ではなく、ニシン(英語でherring)を開いて薫製にしたもののことで、エドワード朝時代以降、主に朝食として食されてきた(今でも朝食に焼いたキッパーを供するホテルやマナーハウスがある)。当時は一般市民に広く浸透したものの、1970年代に北海でのニシン漁獲量が制限されたことでキッパー離れが進み、すっかり影を潜めてしまう。数年前に行われた調査では、キッパーが何かを知らない英国人が増加したことも判明したという。
ジョンソン氏の前述のパフォーマンスが後押ししたかどうかは不明だが、このキッパーが今、じわじわと需要を高めている。スーパー大手のセインズベリーズによれば、過去1年間でキッパーのオンライン検索数が109%増。一方のウェイトローズでは、売り上げが6.5パーセント上昇し、食品担当者は「今後2、3年のうちに一大フード・トレンドになるのでは?」と予想する。この背景として、タンパク質やビタミンD、オメガ3脂肪酸などの栄養価に優れている割にカロリーが低く、さらにコストパフォーマンスも良いことが挙げられている。

肝心の味はというと、ホッケの開きに似た見た目通り、味もそれに似ていて、ホッケが少しぱさぱさした印象。英国ではパンと一緒に供されるが、自宅で食べるのであれば、白米と食べても美味しそう! 値段が手ごろな商品が各スーパーマーケットで販売されているので、これを機に試してみてはいかが?
(文・西村千秋)

週刊ジャーニー No.1106(2019年10月3日)掲載