夜の闇に浮かぶ奇妙な物体!? CHIHULY nights

■ ロンドン南西部の王立植物園「キューガーデン」で現在開催されている「Chihuly Nights」。日没後の植物園で暗闇の中に浮かび上がるのは、植物? 未知の生物? それとも…?

夜のキュー・ガーデンが異様な雰囲気に包まれている。その理由は、米国人彫刻家デイル・チフーリ(Dale Chihuly)による、ガラスの彫刻の数々。現在、カラフルなチフーリ作品が各所に展示されている同園では、木~土曜の一般開園を終えた後、午後7時半に再びゲートが開かれ、昼間とは異なる夜の世界へと、来場者をいざなってくれる。

商業施設の電気で明るいロンドン中心部や、街灯が光る住宅地とは異なり、日が沈めばあたり一面は闇。都市部で生活する人であれば、こんな暗闇に包まれたのはいつぶりだろう…と考えるに違いない。花火大会に向かうようなワクワク感を胸に、あらかじめ決められた鑑賞ルートをスタート!

温室「Waterlily House」に『咲く』、ガラスの植物。

道しるべとなる仄かな照明を頼りに歩くと、大小異なる作品が植物と一体化するようにして姿を現す。日本庭園に配置された色とりどりの球体、温室にぶら下がる巨大な作品など、初めの方は光が照らされたガラス彫刻の美しさにテンションが上がったが、次第にそれらが植物のようにも、命が宿った生き物にも見え、感動!

「炎、引力、遠心力…。自然の要素を用いてグラス作品を作る。その結果として、作品が自然によって創造されたもののように見え始める」とのチフーリの言葉通り、彫刻と自然の境界線が消えていく…。

チフーリといえば、ロンドンではV&A博物館のエントランス・ホールの彫刻が有名だが、自然の中で見る作品はひと味もふた味も違って見えるから不思議。

2018年に5年の修復期間を経て再オープンした温室「Temperate House」には、あちこちに作品が隠れている。隅々まで探してみると、絵本に出てきそうな果実を発見!

作品をめぐるルートは所要50分とされているが、ゆっくり歩くと1時間半以上かかるので、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめ。秋の夜長に、チフーリ・ワールドをご堪能あれ!(写真・文/西村千秋)

Chihuly Nights

Kew Gardens, Victoria Gate entrance, London, TW9 3AE
木~土:午後7時30分~午後10時30分(最終入場午後9時)
大人18ポンド、子供6ポンド/2019年10月26日まで
www.kew.org/kew-gardens/whats-on/chihuly-nights

週刊ジャーニー No.1102(2019年9月5日)掲載