ポルトガル生まれの素朴なお菓子 パステル・デ・ナタ Pastel de Nata

Pastel de Nata
■ パリパリの生地と卵の風味たっぷりのとろけるカスタードが絶妙にマッチした、シンプルなポルトガルの伝統菓子が今、ロンドンの街角やスーパーで人気を博している。

日本では「エッグ・タルト」の名で1999年に流行したこのシンプルなお菓子。ブーム到来中の英国では、ポルトガル語の「パステル・デ・ナタ」、または「ポルトギーズ・カスタード・タルト」などと呼ばれている。
ポルトガル語で「パステル」は小麦粉の生地と各種具を合わせて作られた料理を指し、「ナタ」はクリームを意味し、18世紀のポルトガルで修道女によって作られはじめたとされている。 英国での人気に火をつけた立役者のひとつがドイツ系格安スーパーの「リドル」。ベーカリー設備のある店舗で「Pastel de Nata」の名で1個49ペンスで販売されている同商品は、焼き立てが棚に並ぶとチェーン全体で1時間に2000個を売上げることもあり、あっという間に売り切れてしまうほどなのだとか。時間が経つと多少パリパリ感が失われ、底がしんなりしてしまうのがたまにキズだが、焼き立ての風味を復活させるにはオーブンで数分温めるのがおすすめ。ウェイトローズでも同名商品が販売されている。
冷凍食品として参入したのは「テスコ」。店舗で配られている無料マガジンの3月号で新商品として紹介された「Portuguese Custard Tarts」は、4個入りで2ポンドとお得感満載。いつでも好きな時に家で焼き立てを味わえるとあり、発売当初から品切れが相次いだ。筆者もテスコの大型店舗で購入を試みたが、値札はあるものの売り切れ状態が続いた。通うこと数回目でようやく購入できた同商品を試してみると、外はパリッパリ、中は甘すぎないカスタードが熱々とろ~り! すっかりリピーターになってしまった。

コヴェントガーデンに登場した専門店。焼き立てを気軽に美味しく食べられる!Santa Nata
17 Russell St, WC2B 5HP=写真右、7 New Row, WC2N 4LH=同左

コヴェント・ガーデンに今年4月にオープンした持ち帰り専門店「Santa Nata」(https://santanata.com)は、早くも同エリアにイートイン・スペースを備えた2号店をオープンさせた。フード・メニューはオリジナルのパステル・デ・ナタ(1個2ポンド)のみの一本勝負。ショーウィンドウに並ぶ可愛らしいタルトたちに心奪われながら早速注文しほおばってみると、シナモンの風味が香り、焼き立てではなかったものの、時間が経っても底までパリパリ。
2016年にハマースミスに1号店をオープンした「Cafe de Nata」(www.cafedenata.com)は、2017年にはサウス・ケンジントン店(今ではデヴィッド・ベッカムも常連客という)、2018年にはソーホーに3号店をオープン。同店ではオリジナルのパステル・デ・ナタに加え、甘いクリームにフルーツの酸味がアクセントになったイチゴやブルーベリー入りも人気なのだそう。

ホールフーズ・マーケット、ピカデリー店に並ぶナタ、1.50ポンド

ほかにもオーガニック食品を豊富に扱う「ホールフーズ・マーケット」、健康系ファストフードの「レオン」、老舗百貨店「フォートナム&メイソン」などでも丸く可愛らしい姿のこのお菓子が並んでおり、人気の高まりを実感。
食べればたちまち病みつきになってしまいそうな素朴なお菓子。この機会に味わってみては?(写真・文/ネイサン弘子)

週刊ジャーニー No.1095(2019年7月18日)掲載