今年は日本人建築家・石上純也 サーペンタイン・パビリオン

■ ケンジントン・ガーデンにある現代美術館「サーペンタイン・ギャラリー」前に、毎年夏限定で登場する大注目の建築パビリオン。今年は日本人建築家・石上純也氏が担当した。

同ギャラリーでは毎夏、まだ英国内に作品がない建築家を招集してパビリオンを設置し、カフェ・休憩所、イベントスペースとして利用している。担当者は毎年異なり、2000年の英建築家ザハ・ハディド氏を皮切りに、中国人芸術家アイ・ウェイウェイ氏(建築家ユニット「ヘルツォーク&ド=ムーロン」と共同、2012年)、建築家ユニット「SANAA」(2009年)など錚々たる建築家らが手がけてきた。
19年目を迎えた今年のパビリオン設計に大抜擢されたのは日本人建築家の石上純也氏(45)。ヴェネチアビエンナーレ国際建築展で金獅子賞を受賞したほか、昨年、カルティエ現代美術財団(パリ)において大規模個展を成功させ、世界でも高い評価を受ける建築家だ。

今回、石上氏が着想を得たのは、建築要素の中で最も一般的な「屋根」。ギャラリー前の広場には、地面から押し上げられたような岩を思わせる建造物が設けられている。近づいてみるとそれらはスレートを重ね合わせて作ったひとつの大きな屋根であることがわかる。緩やかな曲線を描く屋根は、細い柱で支えられ、その下は「熟考のための場となりうる洞窟のような空間」(石上氏)なのだそう。足を踏み入れてみると、急に日差しを失ったせいかひんやりとした空気に包まれた。ゆっくり思考を巡らすためには人が少なそうな日時を選ぶ必要がありそうだが、暑い気候が予想される今夏にはぴったりかも。
「人が集まる場所」として設けられた一昨年のパビリオンとも、「中庭」を想定した昨年のものとも異なり、毎年訪れている人も(もちろん初めての人でも)建築の面白さを実感できるだろう。日差しが苦手な人は屋根の下に腰を下ろし、太陽の光を浴びたい人は外から眺めながら、思い思いの時間を過ごしてみては?
(写真・文/西村千秋)

Serpentine Galleries

Kensington Gardens, Lonson, W2 3XA
2019年10月6日まで
www.serpentinegalleries.org

週刊ジャーニー No.1092(2019年6月27日)掲載