世界最大級の音楽の祭典 BBC Proms、今年の見どころは?

8週間で150以上のイベントが開催されるBBC Proms。125回目を迎える今年は、創設時からPromsに携わってきた英国名指揮者ヘンリー・ウッド卿の生誕150年にもあたる。マエストロの「すべての人へ最高峰の音楽を届ける」という志は健在で、今年も老若男女問わず誰もが楽しめる内容となっている。今年注目の公演をピックアップした。
期間:7月19日~9月14日
会場:下記公演の会場はRoyal Albert Hall
チケット:公式サイトやボックスオフィスで購入可能(すべての演奏はBBCラジオ3にて超高音質HDサウンドで放送され、公演によってはテレビ放映もあり)
公式サイト:www.bbc.co.uk/proms

Prom 40: Queen Victoria's 200th Anniversary
8月16日(金)19:30

Stephen Hough © Jiyang Chen

ヴィクトリア女王生誕200年を記念して、女王がお気に入りだった作曲家メンデルスゾーンの「ピアノ協奏曲第1番ト短調」を、女王が使ったピアノで演奏する贅沢なプログラム。長い歴史を重ねたピアノの音色は必聴! また、女王に献呈された「交響曲第3番イ短調スコットランド」も同時上演。同作曲家がスコットランド滞在時にメモに残した10小節程のメロディーは、交響曲の冒頭に憂愁を帯びた主題として登場する。

英国人気随一! 大迫力のカンタータ
Prom 44: Belshazzar's Feast
8月20日(火)19:30

Sir Simon Rattle
© Oliver Helbig

大音量! ド迫力! の演奏をお探しなら、英作曲家ウィリアム・ウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」。合唱団300人に加え、オーケストラにはゴング(銅鑼)やスラップ(鞭)を含む10人以上のパーカッショニストも加わり、(こんなこと言うとウォルトンに怒られそうだが)クラシックの大運動会のような興奮を味わえるだろう。壮大な曲だが、演奏される機会は多くはないので、世界的大指揮者サイモン・ラトルが振る本公演は見逃せない。

チケット即完売! ニーナ・シモンナイト
Prom 45: Mississippi Goddam: A Homage to Nina Simone
8月21日(水)19:30

Nina Simone
© Ron Kroon

歌手、作曲家、ピアニスト、そして公民権運動の活動家でもあったニーナ・シモン。彼女が残した数々の名曲とともにその功績を称える一夜。チケットが即完売したことからもその人気が窺える。彼女の魂に敬意を表するのは、グラミー賞受賞歴もあるオランダのメトロポールオーケストラと、実力派R&B、JAZZシンガーたち。名曲「Feeling Good」を含むソウルフルな2時間半を堪能あれ。

2019年の「今」を切りとったプログラム
Prom 46: City of Birmingham Symphony Orchestra
8月22日(木)19:30

Sheku Kanneh-Mason
© Lars Borgesn

ハリー王子とメガン妃の結婚式で注目を浴びた、今を時めく若手チェリスト、シェク・カネー=メイソンが、エルガー「チェロ協奏曲ホ短調」で悲しくも美しい調べを奏でる。また、1919年のPromsで初演され大好評を博した女性作曲家ドロシー・ハウウェル「交響詩ラミア」も演奏される。近年は女性作曲家の作品を積極的に取り上げ、2022年までに実行委員の男女比を平等にする公約も掲げたProms。「今」にふさわしいプログラムだ。

異色のコラボ!クラシック×HipHop
Prom 64: The Breaks
9月6日(金)20:00

Graffiti Art
© Phil Pegum/BBC

現代の欧米ポピュラー音楽のメインストリームを席捲するヒップホップ。その源流ともいえる70年代のストリートカルチャーが、フルオーケストラと出会ったら…!? こんな冒険的なプログラムがあるのはPromsならでは。DJやラッパー、ブレイクダンサーが、オーケストラと共演する珍しいプログラムは一見の価値あり。ジャンルの異なりは対立ではなく協調を生む…今の時代にぴったりの試みといえるだろう。

Radiohead J・グリーンウッドの新作初演
Prom 70: Jonny Greenwood
9月10日(火)22:15

Daniel Pioro
© Hugh Carswell

ロックバンド「レディオヘッド」のギタリスト、ジョニー・グリーンウッドがPromsに参戦! 映画音楽作曲家としてアカデミー賞にもノミネートされた経歴を持つ彼が、作曲家兼キュレーターとして多彩なジャンルのプログラムを構築。パッサカリア(舞踏曲)といった典型的なバロック音楽から、スティーブ・ライヒのような現代作曲家の作品まで、幅広い音楽の世界へと聴衆を誘う。プログラム の終わりには、ジョニー新作の世界初演も!

英国中が大盛り上がりのラストナイト
Prom 75: Last Night of the Proms
9月14日(土)19:15

Jamie Barton
© FayFox

Promsのクライマックスで夏の風物詩ともいえる一大イベント。英国が誇る大作曲家エルガー「威風堂々」の大合唱は、毎年恒例とはいえ感動必至! またクラシックに留まらず幅広いジャンルの音楽を取り上げた今年のProms8週間分のハイライトを一夜に凝縮した豪華プログラムにもなっている。この公演だけは、大人気ゆえにチケット購入のプロセスが通常とは異なり入手は至難の業。

【ラストナイトのチケット入手方法】
(A)ラストナイト以外の5公演を購入するとラストナイトチケットの権利が手に入る(既に受付終了)
(B)公式webサイト、もしくは公式パンフレットで入手可能な申込用紙に必要事項を記入し郵送で応募、抽選(7月4日必着)
(C)徹夜も辞さない勢いで早朝から会場に並んで当日券をゲットする
(D)万が一チケットが残った場合は、7月12日午前9時~電話またはオンラインにて受付(1人2枚まで)
詳しくはウェブサイトにて
https://www.bbc.co.uk/programmes/articles/2rPWYtVGJ0v7McXqWLjRCSg/last-night-tickets-information

誰もが1度は聞いたことがある超有名曲を生で鑑賞しよう!

Prom 27: The Sound of Space: Sci-Fi Film Music
8月7日(水)22:15
SF映画音楽を大迫力のオーケストラで!「ゼログラビティ」や「インターステラー」など人気作が目白押し。
Prom 54: Duke Ellington's Sacred Music
8月29日(木)22:15
「A列車でいこう」でおなじみ、デューク・エリントンへのオマージュ。ビッグバンドにタップダンスも加わり、聴けば体は勝手に動き出す!
Prom 67: Sakari Oramo conducts Sibelius
9月8日(日)19:30
初回Promsで指揮を執ったヘンリー・ウッド生誕150年を記念して、ムソグルスキー「禿山の一夜」など彼が英国に初めて紹介した有名曲のプログラムを再現。

週刊ジャーニー No.1090(2019年6月13日)掲載