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鬼才の独創性に迫る! キューブリック展 Stanley Kubrick: The Exhibition

スタンリー・キューブリック
■ 数々の名作を世に送り出した映画監督スタンリー・キューブリック。1928年に米国で生まれ、1961年に英国に移住した同監督の没後20年を迎え、その独創性に迫る回顧展がロンドンで開催されている。会場となっているデザイン・ミュージアムへと足を運んだ。
スタンリー・キューブリック
「時計じかけのオレンジ」(1971)の衣装。

会場に到着すると、入り口から向かって左奥に据えられたオレンジ色の絨毯が一際目を引く。見覚えがある人もいるに違いない幾何学模様のその絨毯は、「シャイニング」(1980)の舞台となった「オーバールック・ホテル」に敷かれていたもの(レプリカ)だ。この絨毯に迎えられ、映像が流れるスクリーン=写真上=に導かれるようにして進むと、「Stanley Kubrick: The Exhibition」がスタートする。
展示の前半では「The Story」「Filming」「Editing」にわけてキューブリックの仕事ぶりを紹介。キャスティングやセリフ、カメラレンズ、衣装、小道具など細部にまで目を光らせた様子が各資料を通して伝わってくる。後半では、「突撃」(1957)から「アイズ ワイド シャット」(1999)まで作品毎にスペースが区切られ、一流デザイナーらが手がけた今なおスタイリッシュに感じられる小道具や衣装などを見ていく流れとなる。
全体を通して感じられるのは、完璧主義者と呼ばれたキューブリックの作品に対するこだわり。たとえば、ジャック・ニコルソンとオードリー・ヘプバーンの出演が決まっていた「ナポレオン」(制作中止)の資料本(276巻にのぼったのだそう)やメモ書きの膨大さに、作品を誕生させるまでの労力の大きさを知ることができる(そしてそれが未完となる場合があることも…)。

スタンリー・キューブリック
写真左:「ナポレオン」(制作中止)のために行ったリサーチの詳細がわかるメモ
同右:「シャイニング」の衣装

ロンドン在住者であれば、ベトナム戦争を題材にした「フルメタル・ジャケット」(1987)で、ベトナムの戦場をロンドン・シティ空港近くのベクトン・ガス工場に、「アイズ ワイド シャット」で、ニューヨークの街並みを宝石街ハットン・ガーデンにどのようにして再現したかなどは、興味をそそられるに違いない。
さらに、増え続けるフィルムのアーカイブを収納するため、箱会社「G. Ryder & Co」に「フタはきつすぎず、ゆるすぎず、完璧でなければならない」と、わざわざ特注したエピソードなど、監督のこだわりを挙げるときりがない(この箱は現在も同社で販売中。完璧な箱とやらを一度試してみたい!)。
展示は9月17日まで。映画を観直して出かけるとより楽しめるはず。
(写真・文/西村千秋)

Stanley Kubrick: The Exhibition

2019年9月17日まで
14.50ポンド
The Design Museum
224 - 238 Kensington High Street London W8 6AG
https://designmuseum.org

週刊ジャーニー No.1085(2019年5月9日)掲載