エスニック・マイノリティのための本屋さん「#ReadTheOnePercent」

肌の色や宗教・文化が異なる多様な人種が暮らす英国。ところが英国で出版される児童書にいたっては、少し事情が異なるようだ。ロンドン南部に期間限定で登場したエスニック・マイノリティのための本屋さんを覗いてみた。
#ReadTheOnePercent 406 Coldharbour Lane, SW9 8LF
12月23日まで。現在、クラウドファンディングを通じて、プロジェクト拡大のための資金を調達中。
www.crowdfunder.co.uk/readtheonepercent

店の名は「#ReadTheOnePercent」。子供向けの本を出版する「Knights Of」が、カリブ系英国人を中心に多様な人種が暮らすブリクストンに期間限定でオープン(12月23日まで)。エスニック・マイノリティを主人公に据えた本を販売する。でもこの「The One Percent」って一体何のこと?
小学生の文芸教育を支援するチャリティ団体「The Centre for Literacy in Primary Education(CLPE)」の調査によると、英国で2017年に発行された子供向け書籍の数は9115冊。そのうち黒人、アジア人および少数派(Black, Asian or Minority Ethnic: BAME)を主人公とした本はわずか1パーセントで、BAMEを登場人物に描いた本は4パーセントだったという。ロンドンで暮らしていると日常的にさまざまな人種と触れ合うだけに、この数字にはちょっとびっくり。
これに対して、英教育省が発表したイングランドにおけるBAMEの生徒は全体の32.1パーセント。「CLPE」では、このバランスの悪さを指摘し、子供たちの読み物として、「本には多様性のある社会の姿が正しく表現されるべき」と指摘した。
この1パーセントを重く受け止めた「Knights Of」は、10月に5日間限定で第1弾となるブックショップを開設。短期間ながらも需要の高さを実感したばかりか、店を訪れた多くの人々から期待の声が寄せられ、今回2度目の実施へとつながった。

白を基調としたガラス張りの明るい店内には、言葉遊びを楽しませる絵本や、友情を描いた物語、歴史を紹介する小説やフィクション小説など、エスニック・マイノリティの枠組みを越え、身体障害者を主人公としたものや、フェミニズム、LGBTを題材としたものなど、多様性を軸にした書籍が並ぶ。来場者の中には「本の中に自分がいる!」と、自分と主人公の姿を重ねて喜ぶ子供もいるのだそう。
営業は23日までだが、同出版社ではこの動きを英国全土に広げるべく、現在クラウドファンディングで3万ポンドを目標に資金を集めており、ポップアップ・ショップの売上と合わせた資金で、英国各地に同様の書店をオープンすることを計画している。(写真・文/西村千秋)

週刊ジャーニー No.1066(2018年12月20日)掲載