不安定な世の中で若者の支えに!?タロットカード Tarot Card

古くからヨーロッパを中心に人々に親しまれてきたタロットカード。オカルトやスピリチュアルの世界が好きな人だけに留まらず、20代の若者の間で広く注目を集めているという。現状を探った。
ブームの火付け役となったのは、フランスのファッション・ブランド「Dior」。2018年のコレクションの一環として、フェミニズム運動が盛んだった1970年代の米国で発売されたタロットカードをモチーフにしたシリーズを昨年秋に発表した。フェミニズムを芸術的に表現した絵柄を取り入れ、ポップな色合いでデザインしたバッグやスカーフなど、神秘的な世界観は欧米で注目の的に。
「イブニング・スタンダード」紙によると、タロットカードの売上げは過去50年で最も高いレベルに到達。ロンドン中心部のブルームズベリーにあるオカルト系書店「Treadwell's」でも、この2年でタロットカードの売上げが50パーセントも上昇しており、特に30歳以下の若者から求められているという。
こうしたタロット人気は、どうやら「Dior」によるものだけではなさそう。作家のマーク・ピルキントン氏は、同紙のインタビューで「人々は恐ろしい事件が繰り返される現実から逃れる方法や、スマホやパソコンのスクリーンからは得られない想像力に富んだ活動を求めているのでしょう。特にハリーポッターを観て育った世代の若者が、魔術やオカルト世界の魅力を開拓していることが考えられます」と指摘する。
一方、社会学者のマイク・ソステリック氏は、このトレンドを「不安定な社会情勢によるもの」と説明する。同氏はBBCの記事の中で、「世の中が自分の気づかないうちにめまぐるしく変化する現在、タロットを通して、コントロールする感覚が得られます」とコメント。未来を占うというよりも現在の自分や環境を理解するために利用されている様子がうかがえる。さらにロンドンの高級百貨店「Selfridges」でタロット占いを行う「Psychic Sisters」の代表で、この道25年以上のキャリアを持つジェーン・ウォレス氏は、「ブレグジットが現実味を帯びて以降、私たちのところには、バンカーや金融系に携わる人がビジネスのアドバイスを求めて訪れることもあります」と話している。
心に迷いが生じてしまったときや、自分ではコントロールできない状況に置かれてしまったときなど、タロットカードに聞いてみるのもひとつの手かも!? (文/西村千秋)

オカルト系書店「Treadwell's」では数々のタロットカードや関連書籍を販売している。


週刊ジャーニー No.1056(2018年10月11日)掲載