冷たく甘~い体感型エキシビション SCOOP: A Wonderful Ice Cream World


© Marcus Peel

■ 夏らしい天候が続く今夏のロンドンにぴったりの「アイスクリーム」がテーマのエキシビションがキングズ・クロスにオープン。晴れ渡る空の下、絶好のアイスクリーム日和に早速『体感』してきた。
1718年に英国で初めてアイスクリームのレシピが掲載された料理本「Mrs. Mary Eales's Receipts」の出版から今年で300年。この間人々を魅了し続けてきたアイスクリームのエキシビションが開催されていると聞き、アイスクリーム好きの筆者は期待に胸を膨らませながら会場へ向かった。
手掛けたのは英国人ユニットのボンパス&パー(Bompas & Parr)。これまでにも「霧の中を歩いて味わうカクテル」が話題となった「Alcoholic Architecture」をはじめとする、五感を刺激するユニークな体感型インスタレーションやエキシビションを生み出してきた。
テーマごとに仕切られた展示室を移動しながら見学するスタイルで、今回のエキシビションを企画するきっかけとなった歴史家でアイスクリーム・グッズ収集家、『アイスクリーム・マン』ことロビン・ウィアー氏夫妻が40年以上に渡って集めたアイテムの中から厳選された品が紹介される。
まずはじめの部屋でウィアー氏が出演するビデオによるウェルカム・メッセージを見た後、次の部屋へと続く分厚いドアを開けると、何とそこはキンキンに冷えた冷凍コンテナ! 本物の氷の中に展示品があり、参加者はまさにアイスクリームの気持ち(!?)を『体感』しながら歩を進める。
18~20世紀のヨーロッパのアイスクリームの歴史を紹介する部屋では、18世紀のローマで使用されていた魚やフルーツなどの大小可愛らしいシャーベット型が並び、19世紀の英国の屋台で、アイスクリーム・コーンが発明される前に使われていた小さな足つきグラス「penny licks」がシャンパンタワーのように積みあがる。ひとつひとつ異なる可愛らしいデザインは見ているだけで楽しい。ポップ・アートの巨匠、アンディ・ウォーホルが描いたアイスクリームのオリジナル・プリントもあり、幅広い展示品は見ていると時間を忘れてしまうほど。
ほかにも、ヴィクトリア朝時代に『クィーン・オブ・アイス』と呼ばれた料理家アグネス・B・マーシャルの料理学校を現代風に再現した部屋でアイスクリーム作りに挑戦したり、天井から降り注ぐバニラの香りのミストを浴びたり、濃厚なミニ・ソフトクリームをほおばったりと、すっかり甘~い気分になってエキシビションは終了。「アイスクリーム」をここまで掘り下げるとは、英国人らしい探究心と収集癖の賜物と関心するばかり。
会場はキングズ・クロスの再開発エリアで、カナル沿いのガスタンク跡に建つ都会的なフラット「Gasholders」の地上階。散策がてら出かけてみては? (文/ネイサン弘子)

SCOOP: A Wonderful Ice Cream World
2018年9月30日まで
Gasholders, 1 Lewis Cubitt Walk,
Kings Cross, London N1C 4BX
チケット:一般13.23ポンド、3~15歳11.19ポンド
www.bmof.org


▲ヴィクトリア朝時代のシンプルな製造法でアイスクリーム作りに挑戦!


▲科学に焦点を当てた部屋では、頭に脳波計測器を装着。アイスクリームを食べたときの脳波の動きが壁に映し出される。


▲様々な年代のアイスクリーム製造器やおもちゃ、絵葉書の展示のほか、アイスクリーム・バンにまつわる暗黒のドキュメントを紹介する映像もあり。

週刊ジャーニー No.1044(2018年7月19日)掲載