反ブレグジットのメッセージ セント・パンクラスに新アート登場!

■ ヨーロッパ大陸からロンドンへの玄関口として知られる、セント・パンクラス駅。国際高速列車「ユーロスター」が発着するプラットホームに10日、ピンク色の巨大なネオンサインが掲げられた。現代芸術家、トレイシー・エミン氏(Tracey Emin、54)が作品に込めた思いとは…?

© Piers Allardyce
弧を描くガラス張りの天井、男女が抱き合う高さ9メートルの銅像「The Meeting Place」、時間の流れを伝える「Dent」社の時計。セント・パンクラス駅を象徴するこれらを背景に掲げられたのは、「I Want My Time With You」と書かれたネオンサイン。英国を代表する現代芸術家のひとり、トレイシー・エミン氏=写真下=が、自身の手書き文字を型取って制作した。
ユーロスターが発着するこのプラットホームには、2012年のロンドン五輪の際に大きな五輪マークが吊るされた。これ以降、アート作品を展示する絶好の場所として認識されるようになると、2013年に同駅はパブリックアート・プロジェクト「Terrace Wires」をスタート。毎年、新しいアートワークが期間限定で飾られ、今年で6年目を迎える。過去4年間はロイヤル・アカデミー・オブ・アーツと共同で作品展示に取り組み、今年はエミン氏が選出された。これまでにもネオン管メッセージ作品を手がけている同氏にとって、長さ20メートルにおよぶ今回の文字作品は過去最大となる。
エミン氏は作品について「愛する人と駅で会って抱きしめられ、『I Want My Time With You』と語りかけられる。これ以上にロマンティックなことはありません」とコメント。だが、これは特定の個人にあてたものではなく、来年には英国がEUから離脱するという現実を受け、EUの人たちに向けた言葉でもあるという。
ショッキング・ピンクに輝く文字は、日の高いうちに訪れても構内で一際目を引く。歴史的建造物が醸し出す重厚感とのギャップはあるが、「愛」のメッセージは年間4800万人が利用するというこのスペースにぴったり合っているようにも感じられる。
ヨーロッパ大陸から訪れる人々を迎える場所で、この作品が利用客にどのように受け止められるのだろうか。年末まで展示予定。(文/西村千秋)

週刊ジャーニー No.1031(2018年4月19日)掲載