女王を巻き込んで一大展開中 反ストロー活動

■ 近年叫ばれる海洋におけるプラスチック汚染。海の環境を守る目的で、プラスチック製ボトルやストローの禁止を求める運動が世界各地で加速する中、英国でも、個人レベルから政府・王室に至るまで、その動きが盛んになっている。現状を探った。

使い捨てレジ袋やペットボトル、ストロー、テイクアウェー用のパックなど、海に流れ込む大量のプラスチック・ゴミ。それらを餌と間違えて亀や海鳥などの海洋動物が口にして死にいたる例が相次いでいるほか、「プラスチックの使用を減らさなければ、2050年までに海に漂うプラスチックの数は魚の数を超える」と指摘する専門家の声もあがるなど、海洋汚染が深刻化している。
プラスチックは自然界で分解されるまでに数百年を要するだけでなく、マイクロプラスチックと呼ばれる小さな粒子が、魚やそのほかの動物を通して人間の体に吸収される危険もあることから、活動家らが警鐘を鳴らしている。
なかでもストローは海で発見されるゴミのトップ10に入るほか、ストローが鼻に詰まった海亀の救出動画がネット上で拡散されており、「反ストロー」の動きが活発だ。ピザ・チェーン「Pizza Express」では、「ストローは動物に悪影響を及ぼすから、使うのはやめて」という5歳児からの手紙を受け取ったことから、使用中止を決定。そのほか、パブ・チェーン「Wetherspoon」をはじめとする飲食店や、ホテル・グループ「Marriott」でも、プラスチック製のストロー使用を止めてリサイクル可能な素材のものを使用する、あるいは課金制にする取り組みが進行している。
自然ドキュメンタリーを数多く手がける動物学者のデイビッド・アッテンバラ氏は、テレビ・シリーズ「Blue Planet Ⅱ」の中で「年間800万トンものプラスチックが海に流れ込んでいる」と指摘し、プラスチック問題の重要性を強調した。
こうした動きにエリザベス女王も賛同し、バッキンガム宮殿、ウィンザー城およびホリールードハウス宮殿内の食堂で、陶器やグラス、リサイクル可能な紙コップのみを使用することを発表。「プラスチック汚染対策にしっかり取り組まなければならない」とし、各施設内のカフェでも生物分解あるいは堆肥化が可能な素材のパッケージを用いることを決めた。
イングランドの大手スーパーで、レジ袋に5ペンスが課せられるようになったのが2015年10月(以降、一部では5ペンス袋の販売を停止する動きも進んだ)。テリーザ・メイ首相は不必要なプラスチックを撲滅させる25年計画を掲げており、今後、使い捨てプラスチックを取り巻く環境は大きく変化しそう。
英国で使用されるストローの数は年間85億本(海洋保護活動団体「Marine Conservation Society」より)。この数を減らすことが私たちにできる環境保全の一歩といえそうだ。(文/西村千秋)

週刊ジャーニー No.1025(2018年3月8日)掲載