ロゴで遊ぶ ブートレグファッション Bootleg Fashion

■ ブランドのロゴ・マークやアイコニックな代表作を模倣したり、企業のキャッチフレーズをもじったフレーズを作ったり…。ブートレグ(bootleg=海賊版)と呼ばれる遊び心とメッセージが入り混じったファッションが、インスタ世代の若者にうけている。
昨年流行した政治的メッセージやフェミニズムなどの主張を込めたスローガン・Tシャツなどのファッションが記憶に残る中、次なる潮流がブートレグ・ファッションだ。一目である特定の企業だと認識されるロゴやフレーズを模倣したものだが、もじりのセンスがないと安っぽさだけが強調されてしまうので、着る人のセンスとデザイナーのスキルが試されるトレンドと言えるだろう。
この潮流の先駆けとなったのは、バレンシアガのデザイナーを勤めるデンナ・グバサリア氏。同氏は昨年「IKEA」の50ペンスの青いショッピング・バッグ「Frakta」にそっくりな皮製バッグをデザインし、およそ1600ポンドで販売すると、ファッション界のみならず各界で賛否を巻き起こした。バレンシアガのパロディ熱は今年も継続中。2018年春夏コレクションに登場したのは、ドイツのスーパーマーケット「Edeka」のショッピング・バッグにそっくりの皮製バッグ。自動車メーカー「ホンダ」のキャッチ・フレーズ「The Power of Dreams」の文字が躍る。ブランド力に物を言わせて、「Edeka」の700倍もの値段で販売すると「尊敬を失ったブランド」「このデザイナーは解雇すべき」など、賛辞よりも批判的なコメントがネット上にあふれた。
一方でグッチは自らのブランド名を「Guccy」「Guccify」ともじったロゴを入れたジャケットやバッグを発売。これらは「Chanel」を「Channel」、「Adidas」を「Addidas」ともじるなどした、80年代後半に流行したちょっと笑える海賊版ファッションのリバイバルの流れも汲んでいるようだ。
高級ブランドが巨利を得る傍ら、若いブランドはセンスとメッセージ性で勝負。英デザイナーのクリストファー・シャノンは、スポーツ用品店の「Sports Direct」をもじった「Lovers Direct」、アウトドア・ウェアの「Timberland」をもじった「Tumbleweed(回転草)」など、クスッと笑ってしまうような企業ロゴの商品を多数販売する。
ブートレグ・ファッションで社会貢献に取り組むのは、ロンドン東部を拠点にする「Sports Banger」だ。「NIKE」のロゴ・マークの上に「NHS」のロゴをプリントした「NHS Tee」の商品説明には「僕はNHSで生まれた、僕の母はNHSで働いた、NHSは僕の兄弟の命を救ってくれようとした、NHSは僕の命を救った、NHSは僕の父の命を救った…」とつづられており、売上金の一部を過酷な勤務形態が度々社会問題として取り上げられるジュニア・ドクターのために寄付しているという。
見る人をクスッと笑わせるブートレグ・ファッションで明るくきめてみる?(文/ネイサン弘子)

A: Sports Banger NHS Tee/19.99ポンド www.sportsbanger.com
B: Gucci Mystic Cat and Guccy Print T-shirt/420ポンド www.gucci.com
C: Balenciaga Supermarket Shopper L/ 715ポンド www.balenciaga.com
D: Christopher Shannon Constant Stress iPhone 6 6S Case/23ポンド www.shopchristophershannon. com
E: Gucci Dionysus Small Shoulder Bag/3,590ポンド www.gucci.com
F: Sports Banger Raving Jumper/48.99ポンド www.sportsbanger.com
G: Sports Banger Wimbledon X Sports Banger /22.99ポンド www.sportsbanger.com
H: Design0151 Classic T-Shirt/15.53ポンド www.redbubble.com

週刊ジャーニー No.1022(2018年2月15日)掲載