レイジー?ヘルシー!? ボウル・フード

■ 日本のファスト・フードとも言える、どんぶり飯。どんぶりひとつで1食を済ませる手軽な食文化が、ここ英国でも受け入れられている。

移動屋台「Buddha Bowl Van」のオーナーであるベイリー夫妻が出版する、「Wholefood Heaven in a Bowl」 (16.99ポンド www.amazon.co.uk)。 「Easy-to-eat bowl-food」をコンセプトに、1度に必要な栄養素を簡単に摂るためのベジタリアン・レシピを紹介する。
英国人が新生活をスタートさせようとする時、家財道具として真っ先に必要になるもののひとつがディナー・セット。4人分のシリアル・ボウル、サイド・プレート、ディナー・プレートがセットになった商品が一般的で、これさえあればひとまず食事には事足りるだろう。
そんな英国の伝統的なディナー・セットやディナー・プレートを脇へと追いやり、その売り上げを伸ばしている食器がボウルだ。ジョン・ルイスでは2016年上半期以降、ボウル類の売り上げが急上昇し、ディナー・プレートの売り上げを上回ったという。同デパートのキッチン部門のヘッド・バイヤーを勤めるアンナ・ベリー氏は「デイリー・テレグラフ」紙のインタビューで、「ボウル人気の背景には、ライフスタイルと食文化の変化というふたつの側面があります。私たちのライフスタイルはますますカジュアルになっていて、食卓よりもソファーに座ってボウルで食事をする人が増えています。さらに人々が好んで食すようになったアジアやモロッコ、パスタ料理は、ボウルやクーペ(Coupe、日本でいうパスタ・ボウル)があれば事足りるのです」と分析する。
実際に同デパートの食器売り場に足を運んでみると、従来のシリアル・ボウルやサラダ・ボウルに加え、大小さまざまなボウルが豊富に取りそろえられていた。
セレブ料理研究家、ナイジェラ・ローソン氏もボウル・ファンのひとり。著書「Simply Nigella Feel Good Food」の中に「Bowlfood」のチャプターを設け、「もしそうできるのなら、私は何でもボウルから食べるでしょう。私にとってのボウル・フードは、食事をシンプルにし、簡単でリラックスさせてくれ、同時に元気を与えてくれるものなのです」と記している。
一方で、ボウル・フードのトレンドは家庭内に留まらない。昨年夏にはハワイ生まれの海鮮丼「ポケ(Poke)」を出すレストランがロンドンに次々とオープン。ほかにも、今年話題のフード・トレンドであり、米国からはじまったとされるヘルシーな食材をボウルにカラフルに盛り付けた「ブッダ・ボウル(Buddha Bowl)」がインスタグラムを彩っている。オールド・ストリート駅近くにある「Whitecross Street Market」には移動屋台「Buddha Bowl Van」が出店。同屋台のオーナーが出版したレシピ本「Wholefood Heaven in a Bowl」では、ボウル・フードの魅力を紹介している。
レイジーな生活態度とヘルシーな食習慣の産物として広まったボウル・フード。日本の丼物チェーン店にとっての商機は今、ロンドンにあり!?(文/ネイサン弘子)

週刊ジャーニー No.1014(2017年12月14日)掲載