ホンネで語る!英国の出産事情★第3回★出産について

ホンネで語る!
英国の出産事情

3

出産について

英国で妊娠したら―。国際結婚をして英国で暮らす日本人女性たちの生の声を聞くべく、3名の主婦による座談会を開催。「妊娠が分かったら」「妊娠中」「出産」「出産後」をテーマに、熱く語っていただいた(全4回シリーズ)。
※全発言はあくまで個人の体験にもとづくものです。疑問点、不安に思われる点については必ず医療専門家にご相談ください。
参加者のプロフィール
Aさん (39歳)/在英6年。
夫は英国人。子どもは女の子2人(6歳と10歳)。ロンドン在住。
Bさん (48歳)/在英20年。
夫はイタリア人。子どもは男の子2人(15歳と16歳)。ロンドン在住。
Cさん (45歳)/在英18年。
シングルマザー、元夫は英国人。子どもは男の子1人(12歳)。ベッドフォードシャー在住。

まずは病院へ電話

― 病院へ行くタイミングはどうやって知るのでしょう?

B
陣痛が始まった時点で病院に電話することになっています。陣痛が起こる間隔を伝えて、病院へ向かうタイミングを教えてもらうんです。
C
英国は「45秒から60秒くらい続くコントラクション(今回のキーワード参照)が5分に1回、起こる状態になったら病院へ」というのが目安ですね。
B
とはいえ、そこまで待つのも、痛みが強くなってから車に乗るのも、かなり辛いですよね…。
C
正確な間隔なんて、よくわからないし!
A
私は、一応、計っていましたね。
C
とりあえず病院に電話してみたら「じゃあ、来て」と言われたので、私はかなり早めに病院に向かってしまったんです。でも、病院では「ダイレイト(今回のキーワード参照)が充分でないから一度帰宅してはどう?」と言われ、焦りました。
A
行くのが早過ぎると、追い返されることもあるそうですね。NHSらしい話ですけど。
C
そうなんです! でも、当時の夫は車の免許を取得したばかりで、運転が危なっかしくて(苦笑)。「あの運転でまた、家に帰るなんてとんでもない!」と、病院に頼み込んで、そのまま大部屋にいさせてもらいました。

― それは良かったですね!

C
夜8時に入院しましたが、やっと出産体勢に入ったのが翌朝6時。産まれたのはその4時間後でした。
B
私は、二人の息子のどちらも、いきなり破水から始まりましたね。長男の時は、睡眠中の朝4時頃、パンッと風船が割れるような音がして、目覚めたら水が出てました。
C
破水したらもう、病院に行くしかないですよね。破水するとバイ菌が入りやすくなるとも言いますし。
B
それに、出産前に羊水をたくさん失ってしまうと出産が辛いんです。だから、陣痛より先に破水が始まった場合はなるべく羊水が漏れないような体勢を保つように言われていましたね。病院に電話したら、すぐに来いと言われて家を出たのですが、病院への道中で車のタイヤがパンクしたんです!
AC
ええ~!?
B
もう、笑い話です! 破水はしていたけれど痛みはなかったので、夫のタイヤ交換を眺めながら、陣痛を起すためにひたすら車のそばを歩いてました(笑)。

― 破水=陣痛じゃないんですか?

C
ケース・バイ・ケースですね。
B
私の場合は病院に到着しても、まだ痛みはなくて。そこからひたすらに病院内を歩き回りました。やっと陣痛が来た時にはもう、羊水が残り少なくて、きつかったです。

出産は北ロンドンのRoyal Free病院だったという
Bさん=写真手前。
北ロンドンのWhittington病院で出産し、
後にベッドフォードシャーへ移ったCさん=同奥。

出産は個室の分娩室で

― 家からは何か用意していきましたか?

C
事前に準備リストがもらえます。汚れてもいいような古いTシャツとか、タオル、シャワー用品、産褥パット、新生児用のオムツなどなど。

― 他になにか、特別なものはありますか?

C
陣痛を和らげるグッズとか、リラックスできる音楽とか?
B
でも結局、音楽なんて、どうでもよかったですよね。
C
私なんてマッサージ用のアロマ・オイルを調合していったんですよ! でも、1滴も使わなかった…。そんな余裕はなかったですね。
A
私の分娩室には大型テレビがありましたけど、電源を入れる気にもなりませんでした。それなのに、夫はそれで「ランボー」を見始めたんです!
BC
あはは!
A
機関銃の音がうるさくて、消して欲しかったんですが、文句すら言えないくらい、陣痛がつらかった(笑)。
C
英国では夫が出産に立ち会うのが当たり前の感覚ですよね。母親や友達の立ち会いもアリですが。Aさんは日本でもご主人は立ち会われたんですか?
A
そうですね。
B
私の夫も立ち会ってくれましたが、外国映画の1シーンのように手を握ってはくれなかったですね!
C
私も握ってもらわなかった!
A
痛すぎて、「私にふれないで!」という感じでした。

― 出産後は分娩室にどのくらい、滞在できるのですか?

B
産後の分娩台で紅茶とトーストが出されて、「まだしばらくはここにいていいよ」とは言われるんですが…。
C
産後はヘトヘトなので、時間の感覚があまりないですよね。
A
分娩室を出るタイミングは、混み具合にもよるのでしょうね。私が入った完全個室は、ベッド脇の壁から痛み止めのガスが出せ、産後の縫合もそこでやって、トイレやシャワーも室内完備。全てがひと部屋で済み、入院から退院までずっと同じ部屋でした。
C
それはうらやましい。
A
でも、昼ごはんに出たグレービーつきのマッシュポテトは、とても食べられたものではなかった…。
B
私は、次男は夜中に生まれたので朝まで分娩室にいましたが、昼に生まれた長男の時は早く出て行って欲しかったらしく、1時間ほどでシャワーを浴びるように言われました。
C
私もまだ立ち上がるのも苦労する状態の時に車椅子に乗せられて、シャワーまで連れて行かれました。よろよろしながら浴びましたよ(苦笑)。
B
産後は全身ドロドロだからお風呂は嬉しいけれど、タイミングが問題ですよね。もう少し休ませてくれたら良いのにとは思います。シャワー・ルームで卒倒してしまう人もいるそうですよ。シャワー後には大部屋へ移されました。

― 退院までは何時間くらいですか?

C
私は午前10時に産み、退院は翌日の医者の回診が終わってからだったので、比較的ゆっくりの滞在でしたが、最短なら6時間で出られるとか。
B
私も1泊しましたが、実は早く出たかったです。
A
自宅の方がゆっくりできますよね。
B
6人の大部屋で、それぞれの隣にそれぞれの赤ちゃんがいて。眠っていてもしょっちゅう、起こされました…。

― 退院のお迎えも車ですか?

B
はい。私の病院は駐車場がいつも混んでいる上に、駐車代も高かったんです。それを病院に相談したら「レイバー(今回のキーワード参照)と紙に書いて、車に貼っておいて!」って。出産・退院の送り迎えはそれで助かりました。
A
英国は退院時の手続きが日本と比べて簡単で、それは戸惑いましたね。

北ロンドンのWhittington病院の
バース・センターで
2人目を出産することを選んだAさん。
至れり尽くせりの分娩室で、陣痛に耐えるため、
様々なポーズにトライ。
写真は、天井から釣り下がっている「ひも」に
つかまりながら、
痛み逃がしのバランスボールの上で
バランスをとっているところ。

わからないことは積極的に聞いた方が良い

― ところで、退院までの間、新生児は隣に寝ているわけですか?

C
そうなんです。だから、赤ちゃんの世話も自分です。新生児用グッズが入ったキットをもらえたのですが、その中に入っていたオムツの替え方すらもわからず、自分で聞きに行きました。待っていても何も教えてもらえません。
A
こちらから聞かない限り、放置ですよね(笑)。もし母乳が出なかったら、このまま赤ちゃんが餓死しちゃうんじゃないかって、不安になりました。
B
私はお風呂の入れ方などを教えてもらいましたねえ。

― 日本との比較はどうですか?

A
私の場合、英国では入院から出産して退院するまで16時間半でしたが、日本では5泊6日!
BC
おお~!
A
日本では新生児室で赤ちゃんを預かってくれて妊婦はゆっくり休めるし、部屋は静かだし、母乳教室、粉ミルク教室、おっぱいマッサージ教室などのいろんな講習が毎日、盛りだくさんでした。しかも、食事が豪華です。
B
夢みたい。
C
英国の病院は紅茶とトーストが定番なのにねえ…。
今回のキーワード
■コントラクション contraction…陣痛
■ダイレイト dilate…子宮口が開くこと
■レイバー labour…分娩

次回予告
英国の出産事情」第4回のテーマは、「出産後について」です。
どうぞご覧ください!
今後のテーマを募集中!