スコットランドのブレイマーで、イースター・デーに最低気温マイナス12.5度を記録したのをはじめ、観測史上もっとも寒い3月を英国にもたらした気圧の状態は、まだしばらく続く見込みであると伝えられている。この厳しい寒さの中、死亡者の数が例年より10%も多くなっていることが明らかになった。「デイリー・テレグラフ」紙が報じた。
英統計局の発表によると、3月の前半2週間の死亡者数は2万2425人となり、過去5年間の平均である1万9861人と比較すると、約1割も増加。特に85歳以上の高齢者について死亡者数の増加が顕著で、75歳から84歳の年齢層でもこれに近い増加率が見られたとされている。他の年齢層では目だった増加は指摘されておらず、体の弱い高齢者が長引く寒さの犠牲になった形という。
エネルギー相のエド・ディヴィー氏は天然ガスなど、供給量は十分であることを強調するとともに、電気会社に便乗値上げをしないよう強く申し入れている。
低温と雪による犠牲者が出ているのは人間界だけでなく、自然界でも被害は深刻。約6メートルにも達する豪雪を記録した北アイルアンドの一部では、農場が完全に孤立。空軍のヘリコプターが飼料を空から落とすなどの緊急措置がとられたものの、飼料不足で何千頭という家畜が餓死したと見られている。
また、やはり豪雪に見舞われたウェールズでは、生まれたばかりの子ヒツジが凍死するケースが相次いでいるという。さらに、スコットランド東岸では、厳しい寒さによりエサが極度に不足し、餓死したと考えられるパフィン(ヒガシツノメドリ)が何百羽と打ち上げられているのが見つかるなど、各地で被害が報告されている。
気温が例年並みにもどるのは4月半ば以降という気がめいる予報も流れている。