
ロンドンでぜひ訪れたい!
タイプ別パブ13選
英国文化を知る上で欠かせない存在の「パブ」。日々進化するロンドンのパブ文化を背景に、ロンドン中心部のパブを「クラフト・ビール」「歴史」「ガストロ・パブ」の3つのタイプにわけ、編集部が選んだ13店を紹介する。●サバイバー●取材/本誌編集部
クラフトビール
小規模醸造され、幅広い味と香りを楽しめる「クラフト・ビール」。豊富にそろえるパブで新たな味を探求!Euston Tap ユーストン・タップ
190 Euston Road, London, NW1 2EF
Euston www.eustontap.com(Map②)
時は1837年、ユーストン駅前に石造りの威厳ある入場門がお目見えした。だがその門は約130年と比較的短命で、同駅の再建にあたり壊されてしまう。残ったのは、門の左右に建っていた守衛詰所。2010年、この西側部分を利用して「Euston Tap」がオープンした。「タップ(tap)=蛇口、飲み口」の名がつく通り、足を踏み入れるとビールが注がれるタップと個性豊かなビールのラベルが整列し、目を引く。タップ左右の黒板にメニューがあり、番号が付けられているので慣れない人でもオーダーしやすい。店内は狭く、立ち飲みが基本だが2階と外にはテーブル席が用意されている。

The Craft Beer Co. クラフト・ビア・カンパニー
82 Leather Lane, EC1N 7TR
Chancery Lane http://thecraftbeerco.com (Map①)2011年にクラークンウェルに登場して以来、4年間でロンドンに4店、ブライトンに1店を展開、快進撃を続ける人気パブ。クラフト・ビールを多く取り扱う店では、「ステラ」や「ギネス」といった誰もが知っているような大手ブランドを置いていないことがほとんどで、同店も例に漏れず、ビール通でない限り知らない銘柄ばかりが並んでいる。常設の6種以外は、樽が空になり次第別の銘柄の樽を開けるシステムで、1晩のうちに新しい銘柄が次々と登場することもある。「ラベルを見ただけでは何を注文していいかわからない…」という場合でも心配する必要はなし! 「フルーティーなビールが飲みたい」「普段はギネスを飲むけどおすすめは?」などカウンターで尋ねると、知識豊富なスタッフがアドバイスをくれ、試飲させてくれる。ビールといってもひとつひとつこんなに味が違うのか! ということを実感できる、まさにビールの見本市のようなパブ。数人で訪れて飲み比べできれば、もっと楽しめるはず。

The Earl of Essex アール・オブ・エセックス
25 Danbury St, N1 8LE
Angel www.earlofessex.net(Map④)
Cask Pub and Kitchen カスク・パブ・アンド・キッチン
6 Charlwood Street, SW1V 2EE
Pimlico www.caskpubandkitchen.com(Map③)
歴史
歴史上の人物や出来事を見守ってきた老舗パブは、観光目的だけでなく、在住者にとっても英国を知る絶好の場所。The Viaduct Tavern ヴァイアダクト・タヴァン
126 Newgate Street, EC1A 7AA
St Paul's http://viaducttavern.co.uk (Map⑥)19世紀初期、ビール人気に対抗し、ジンをもっと飲んでもらおう! とジン・メーカーが瀟洒な飲み処「ジン・パレス」を続々とオープンさせた。1869年開業のこの店もそのひとつで、装飾が施された天井、馬蹄型のバー・カウンターなど、今もヴィクトリア朝時代の面影を漂わせている。華やかなイメージの一方、ここは元々、刑務所があった場所で、現在も地下に監獄の一部が残っているといういわく付き。1人部屋としても圧迫感を感じそうな4畳ほどのスペースに、一度に20人が入れられることもあったとか…。近隣では、1868年まで公開絞首刑が行われたという歴史も手伝って、心霊体験談が絶えない。忙しい時間帯でない限り、地下の見学が可能。

The Jerusalem Tavern ジェルサレム・タヴァン
55 Britton Street, EC1M 5UQ
Farringdon www.stpetersbrewery.co.uk/london-pub (Map⑧)
The George Inn ジョージ・イン
75-77 Borough High Street, SE1 1NH
London Bridge http://gkpubs.co.uk/pubs-in-london/the-george-inn-pub (Map⑦)
Cittie of Yorke シティ・オブ・ヨーク
22 High Holborn, WC1V 6BN
Chancery Lane 020-7242-7670 (Map⑤) 初めて店内に足を踏み入れた人は誰しも、歴史を感じさせるその内装に感嘆の声をあげるに違いない。1430年にはすでに宿屋を兼ねたパブ(インinn)として運営され、17世紀には当時流行したコーヒー・ショップとして活躍。古びた木製の樽がバー・カウンターの上に並ぶ圧巻のチューダー建築を前に、6世紀にわたる長い歴史を思うと感慨深いが、実は現在の内装は1920年代に造られたレプリカ。そう聞くと、「だまされた!」と思わずにはいられない。だが、当時アンティーク風と言われ長期にわたる議論を巻き起こした同建築も、もう少しで100年を迎える。

Ye Olde Mitre Tavern イ・オールド・マイタ・タヴァン
1 Ely Court, Ely Place, EC1N 6SJ
Chancery Lane http://yeoldemitreholborn.co.uk (Map⑩)
The Sherlock Holmes シャーロック・ホームズ
10-11 Northumberland Street, WC2N 5DB
Charing Cross www.sherlockholmespub.com (Map⑨)
ガストロパブ
「パブでもやっぱりご飯は大事!」という人にはガストロ・パブ。レストランに負けず劣らぬ情熱で、日々パワーアップ中!The Anchor & Hope アンカー&ホープ
36 The Cut, SE1 8LP
Southwark www.anchorandhopepub.co.uk (Map⑪) 「パブはレストランよりカジュアルで安いから」。そんな気持ちで訪れたらきっと目を丸くするに違いない実力店の数々が、レストランと銘打つことなく、あえてパブとして営業している。その代表格として挙げられるのが、ウォータールーで2003年から営業する同店。ミシュラン星レストラン「St. John」、ガストロ・パブの草分け的存在「The Eagle」で修行を積んだシェフ、ジョナサン・ジョーンズ氏が創業当初から現在もキッチンで目を光らせている。伝統的英国料理をモダンにアレンジした料理が提供され、「食材にリスペクトを」と話すスタッフの言葉通り、日常的に食されることの少ない豚の頭部を使ったメニューなどもある。客からの信頼は厚く「8割がリピーター」とのこと。だが、初めての場合でも、スタッフがフレンドリーに対応してくれるので心配無用。

写真は左から「Salt beef stovey, spinach, a fried egg and mustard sauce」「Smoked cod's roe on toast, cucumber and dill」。
The Pig and Butcher ピッグ・アンド・ブッチャー
80 Liverpool Rd, N1 0QD
Angel www.thepigandbutcher.co.uk (Map⑫)その名が示すように、食肉とのつながりは深く、1800年代中頃に建てられたこの建物は、かつて肉市場スミスフィールドで肉を売る人々が、市場に向かう途中で立ち寄り、休憩しつつ、家畜に餌を与えた場所とされる。そうしたつながりからか、精肉への思い入れは強く、丸ごと生産者から仕入れて解体する。燻製にしたり、塩漬けにしたりする作業も行われ、「各部位を余すことなく使える」とスタッフは胸をはる。たとえば牛ハツ、鶏肉のレバーを使ったスターター=写真下=は、クリーム系に味付けされたレバーの上に淡白な牛ハツのスライスが添えられ、好相性の一皿に仕上がっていた。また、魚料理にも手を抜くことはない。毎日届けられる鮮魚の、仕入れ内容に合わせた料理が、スターター、メインのそれぞれに2品ずつ並んでいるのも嬉しい。

写真左は、スターター・メニューから「Grilled ox heart & chopped liver on toast」。
The Jugged Hare ジャギッド・ヘア
49 Chiswell St, EC1Y 4SA
Barbican www.thejuggedhare.com (Map⑬)ハンティング(狩猟)が伝統文化のひとつである英国で、秋冬の味覚といえば「ゲーム(ジビエ)料理」。キジやウサギなど、野生の鳥獣が脂肪を蓄え『食べ頃』になる季節に狩猟が行われ、それを食すという習慣だ。ゲーム料理に力を入れる同パブでは、秋冬だけでなく、年間を通して四季折々のゲーム料理を用意。1月を例にとると、mallard(マガモ)、pheasant(キジ)、woodcock(ヤマシギ)などがラインアップされていた。自然の中で育ち、野性味あふれる鳥獣は、身が小さくギュッと締まっており、フォークとナイフで食すのが難しいこともある。そんなときは「手を使ったほうがいい」とスタッフ。食べる側にも『ワイルドさ』が必要!? 大量に獲れる食材ではないので、多少値ははるが、英国ならではの食体験をしたいという日本からの来客をもてなすにはぴったり。経営は定評のあるガストロ・パブを数店舗有するETMグループ。他の店舗も要チェック!

写真は、「Wild game birds, roasted whole woodcock」。同右上は、「Roast whole snipe, lentils, roast chanterelles, game jus」。
パブ豆知識
知っておくとより楽しめる!
■英国文化に触れながら、美味しいビールを飲み、楽しいひと時を過ごすことができれば、それで十分。だが、より知識が深まると、パブでの時間がさらに濃厚になるはず!1 なぜ同じ名前のパブが多く存在するの?
現在英国で営業するパブはおよそ5万4,000軒といわれるが、屋号の数はぐっと減り、同じ名前を掲げるパブがいくつも存在する。 人気ナンバー・ワンは「The Red Lion」で、およそ600軒超とされる。その多さに目をつけた英国人一般女性が、「すべてのThe Red Lionに足を運ぶ!」という風変わりな目標を掲げてパブ巡りをしていることが昨年メディアで取り上げられるなど(2011年4月にスタートし、現在で520軒超を制覇したとのこと)、「The Red Lion」の多さは周知のこと。他には、「The Crown」「The King's Head」などもよく聞かれる名前だが、これらは系列店と思いきや実はそうではない。ほとんどの場合、パブ名は歴史上の出来事や伝説に由来し、経営者が代わったとしても、そのまま屋号を引き継ぐことは珍しくなく、古くから親しまれてきた名が今もあちこちに残っている。2 ロンドンに醸造所が急増中!

そんな中で近年活況を呈しているのは、小規模醸造ビール「クラフト・ビール」市場。若手醸造家が独自のビール造りに精を出しており、ロンドン各所に醸造所(ブリュワリー)が増加中だ。ビールを造るばかりか、パブを兼ねたり、醸造所ツアーを定期的に開催したり、あるいは醸造教室を開いたりしている。
3 「Cask」と「Keg」って何のこと?
ビールのメニューを見ると、「カスク(Cask)」「ケグ(Keg)」と分けて書かれていることがある。どちらも樽を意味するが、保存法に違いがあるばかりか、飲み味、温度、1パイントの価格設定も異なる。ラガー・ビールなどに使われるケグには、醸造後、不要な物質を取り除き、殺菌処理したビールが詰められる。グラスに注がれる際にガスが利用されることから、炭酸の効いた飲み口となる。基本的に冷やして保存されることからも、日本人にはケグの方が馴染み深い。
一方のカスクは英国で古くから親しまれてきたもので、パブに並ぶビール・サーバーのうち、主にハンドポンプを引いて注がれるのがこれにあたる(ケグはレバーを引く)。カスク・ビールは醸造された後、酵母をろ過したり、殺菌処理したりされることなく樽に詰められ、パブへと出荷される。その間も樽内で発酵が進み、飲み頃と判断されるとサーブされる。冷えて炭酸の効いたビールに慣れていると、「ぬるくて気が抜けたビール」という印象を持つ人もいるだろうが、カスクの場合、自然発酵による独特の風味を味わうことができる。また、ケグよりも必要な設備が少ないため、1パイントの値段は低めに設定されていることが多い。
人気のパブ名とその由来
The Red Lion…諸説あるうちのひとつが、17世紀にスコットランド王ジェームズ6世がイングランド王に即位した際、スコットランドの国章の一部である赤獅子をパブを含む主要な建物につけることを命じ、それが現在にも残っているとするもの。また、ヘンリー4世の父、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの副紋章が赤獅子だったことにも由来するとされる。The King's Head, The Nag's Head…17世紀に国王軍と議会軍が衝突した清教徒革命の際、国王軍の宿舎となったパブ(宿屋を兼ねたインinn)がThe King's Head、議会軍の宿となったパブがThe Nag's Headと呼ばれたことに由来する。
Let's go on a Pub Crawl !
※2015年2月5日現在
「パブ・クロール(pub crawl)」という言葉を聞いたことのある人は多いだろう。数軒のパブを『はしご』するときに使われる言葉で、「飲んで酔っ払い、道を這いずりまわる」という意味が込められているという。酔っ払うまで飲む必要はないけれど、パブ・クロールしながら街を歩き、英国のパブ文化に触れてみてはいかが?① The Craft Beer Co.
② Euston Tap
③ Cask Pub & Kitchen
④ The Earl of Essex
⑤ Cittie of Yorke
⑥ The Viaduct Tavern
⑦ The George Inn
⑧ The Jerusalem Tavern
⑨ The Sherlock Holmes
⑩ Ye Olde Mitre Tavern
⑪ The Anchor & Hope
⑫ The Pig and Butcher
⑬ The Jugged Hare
⑭ The Kernel Brewery
⑮ Ye Olde Cheshire Cheese 145 Fleet Street, EC4A 2BU 020-7353-6170
⑯ The Princess of Shoreditch 76–78 Paul Street, EC2A 4NE www.theprincessofshoreditch.com


















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