現代社会における 独立の価値とは?

 この1707年の合同法から300年余り。18世紀には、ジャコバイトの反乱(右頁のコラム参照)が起こるなどしたが、スコットランドは独立するまでに至らず、今日を迎えている。そして、この間、忍耐を重ねてきたスコットランド人が悲願を達成する可能性を秘めた住民投票が、18日にいよいよ行われようとしている。
しかし、何のための独立なのか。
英国国教会対カトリックというような宗教的対立は、その背景には見られない。また、独立推進派は、エリザベス女王をそのまま元首として戴くことを主張しており、スチュワート朝復活を望んでいるわけでもない。
一番の理由は、経済上の不満の解消と見るのが妥当であるようだ。独立推進派を支えているのは、アバディーン沖にある北海油田である。この油田から得られている富が不当にイングランドに吸い取られている、独立すればスコットランド人はもっと恩恵にあずかることができ、暮らし向きは良くなるはず―。
しかし、反対派は懐疑的だ。北海油田の埋蔵量は推測するしかなく、しかも、無尽蔵でないことは明白。この北海油田にスコットランドの子孫たちの未来を託すのはあまりに無謀だと主張する。
また、独立推進派は、英政府を構成する保守党、自民党のみならず、野党労働党からも、通貨同盟を拒絶されているにもかかわらず、英ポンドを使い続けると言って譲らない。
さらに、バスクやカタロニア地方の独立問題を抱えるスペインなどは、前例を認めると、独立推進派が勢いづくことは目に見えているため、独立国スコットランドのEU加盟には頑固に反対するだろう。EUへの新規加盟には、現加盟国すべての承認が必要とされる。では、EU加盟が成らないとすれば、小国スコットランドは世界経済の中で、どのような立ち位置を確保し、生き抜いていこうとするのかという点も、争点になる。 
こうして書き連ねると、筆者が独立反対派の勝利を予測しているかのように響くかもしれないが、選挙は、ふたを開けてみなければわからない。
投票権は、スコットランド在住の16または17歳以上のスコットランド人およびイングランド人にあり、その数400万。イングランド在住のスコットランド人には投票権がないことで物議を醸したが、大勢を変えるほどの影響はないと見られている。
『ハリー・ポッター』の作者J・K・ローリング氏が独立反対派のキャンペーンに100万ポンドを寄付して、激しい批判を浴びたが、心情的な理由で、独立推進派を応援する有権者も数多くいると思われる。経済上の不公平感を是正したい、あるいは、心情的な恨みつらみをはらして自由と独立を勝ち取りたいといった、有権者の思いを独立推進派がどこまで実際の投票につなぐことができるかが、勝敗を決するカギとなるのではないだろうか。
『勇敢なスコットランド(Scotland the Brave)』はどちらに進むのか。最後の最後まで目が離せそうにない。

 

※上の数字は2012/13年、または2013年のも