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エコロジーのモデル都市へ

一方、テクノロジーと並んでオリンピック・パークが押し進めたのが、エコロジーへの取り組みだ。会場設備建設において様々な資源再利用が実行に移されたほか、資材の運搬には車両ではなく鉄道をできる限り使うといった徹底振りだったが、新たに建設中の住宅地にも数々の試みが為されている。
例えば、電力の供給はオリンピック・パーク内に建設された高さ18メートルの「キングズ・ヤード・エネルギーセンター」が担っているが、天然ガスとバイオマス(ウッドチップ)を燃料とする冷却熱電併給(CCHP)技術を使用し、炭素排出量を抑えている。発熱・発電の際の排熱で吸収式冷凍機が冷房用の冷水を生成、空調装置を稼働させるのだという。 また、住宅は家庭ゴミのリサイクルが楽に出来るようにデザインされている。
自家用車の利用を極力抑えるため、パーク内のどこにいても350メートル以内にバス停に辿り着けるようにし、駐車場は少なめ。替わりに電気自動車のための充電スタンドを増設する。 さらに、オリンピック・パークと周辺地域とを結ぶウォーキングやサイクリング道路の改修も実施する予定だ。2018年以降は、現在建設中の新たな鉄道「クロスレール」が本格始動するはずで、これが全開通すると、東ロンドン、シティ、ウェストエンド、ヒースロー、メイデンヘッドが一気に結ばれ、オリンピック・パークとロンドン中心部の接続性もさらに改善されることになる。
近未来スタイルの都市としてあるべき姿に、日々変貌中のオリンピック・パークとストラットフォード。
最終的な完成は2030年が目標だといい、現在はまだ整備途中で、工事現場エリアも多い。しかしながら、今しか見られない姿をしっかりと目に焼きつけに、訪れてみるのもいいのではないだろうか。  

 

へぇ~!
数字で知る オリンピック・パークのトリビア

◆現地視察に来たロンドン市長ボリス・ジョンソンが、「遠くからも見える、オリンピックのシンボルのようなものが必要なのでは?」と言ったことから建設されたのが、インド出身の現代アーティスト、アニッシュ・カプーア(60)=写真=がデザインした「アルセロールミッタル・オービット」。115メートルの高さのこの塔は、英国内で最も巨大な「立体芸術」である。

◆オリンピック・パークの労働者の23%、オリンピック村の労働者の29% は、オリンピック開催地となった区(ニューアム、ハックニー、タワー・ハムレッツ、ウォルサム・フォレスト)の住民たちだった。

◆敷地内で使用されるエネルギーの75%は、太陽熱その他によるクリーン発電。

◆オリンピック・パークを中心とする「ストラットフォード・シティ」は、「E20」の郵便番号を新たに割り当てられた。これは人気長寿ドラマ「イーストエンダーズ」の舞台である架空の街、ウォルフォードと同じ。

約8000本の木と30万以上の湿地性植物が植えられ、リー川の一帯は今後鳥の生息地にもなるように、750の鳥箱が設置された。

◆このように大規模な公園が新たに都市の中に建設されるのは、欧州内を見ても約150年ぶり。