スポーツ体験・ピクニック・アート散策…
オリンピック・パークへ行こう!


■オリンピック会期中は、当日の競技チケットまたはパーク専用のチケット所持者以外の一般客は、入場することができなかったが、現在は工事中の箇所を除き、周囲の垣根は取り払われ、誰でも自由に歩くことができる。広大な敷地には、プレイグラウンドやカフェ、アート作品などが新たに設けられ、スポーツ施設の利用者以外も楽しめる「英国最大級の都市公園」に変身。大会当時の活気と新たな息吹を感じながら、歩いてみることにしよう。

Start

最寄り駅であるストラットフォード/ストラットフォード・インターナショナル駅に到着したら、サインを目印に、ウェストフィールド・ショッピングセンターを通り抜ければ、オリンピック・パークはすぐそこ。まずは入口の右手にある「インフォメーション・ポイント」=写真=に行ってみよう。ここで地図やガイド冊子を入手してから出発すると便利だ。
大会期間中のパークは、広く平坦な敷地に、競技施設とスポンサー企業のパビリオンなどが立ち並び、人、人、人の光景であったが、パビリオンや世界最大規模だったマクドナルドがなくなり、起伏に富んだ緑地帯と川の流れるのどかな姿に生まれ変わっている。当時よりも建物が減ったため、パークの広さがより際立つ。

すぐ左手に、流線型の屋根を持つエレガントな建物が目に飛び込んでくる。オリンピック・パークに先立ち、3月に再オープンした「①アクアティクス・センター」だ。メダリストらが泳いだ競泳用プールは、現在開放されている施設の中でも、一番利用しやすいのではないだろうか。泳ぐ予定のない人も、見学者用のギャラリーがあるので中に入ってみよう。木の葉からインスピレーションを得てデザインされたという屋根を内部から見ると、波打つ天井に開けられた照明用の穴は、青い海の中から水面に浮かぶ泡を見ているよう…。

橋を渡っていると、楽しそうな歓声が聞こえてくる。そこには地面から立ち上がる噴水でずぶ濡れになって遊ぶ子供たちの姿が! コンピューターで制御され、次々と吹き上がる195本もの水柱に、子供たちは夢中だ。

噴水から左手に進むと、カフェやギフトショップなどが入った新施設「②ポディアム」が建っている。そして、その目の前には彫刻としては英国一の高さを誇る「③アルセロールミッタル・オービット」がそびえ立つ。この展望台から見下ろすオリンピック・パークと360度のパノラマは「壮観」の一言。晴れていれば、遠くロンドン中心部のランドマークまで見える。上りはエレベーターで、下りはらせん階段から景色を眺めつつ下りるのがおすすめ。上りは階段を使えず、エレベーターのみ。
オービットから運河を挟んで対岸にあるのが「④スタジアム」。今も尚、改装工事が続くスタジアムの中に入ることはできないが、オービットの展望台から工事中のスタジアムの中の様子が伺える。 

スタジアム周辺の牧歌的な河畔はのんびりと散歩をするのに最適だが、子供連れの家族は、プレイグラウンドなどがある「⑤プレジャー・ガーデン」へ。このエリアには売店が4軒あり、サンドイッチやホットドッグなどが買えるが、ピクニックを計画している人は、ウェストフィールド・ショッピングセンターでランチを購入しておくといいかも。

プレジャー・ガーデンを北上し、オリンピック・パークの北エリアを進む。まず左手に見えてくるのが、「⑥コッパー・ボックス・アリーナ」だ。その名の通り、コッパー(銅)色をした四角い箱のような建物の外には、『RUN』の文字の巨大な鏡ばりのオブジェがある。まるでスポーツメーカーのテレビコマーシャルに使用されそうなスタイリッシュなデザインは、オリンピック・パークの中でも恰好の撮影ポイント。

工事中の「⑦アイ・シティ」を背にして芝生のエリアへと入り、リー川にかかる橋を渡ると、目線の先に屋根の形がポテトチップスの『プリングルス』に似ていることから、『プリングル』の愛称で親しまれる屋内自転車競技場「ヴェロドローム」が見えてくる。その近未来的な外観とは対照的に、木製で暖かみのある外壁を下から見上げると、巨大な船の船底のよう。自転車競技にあまり興味はないという方も、ぜひ中を覗いてみて欲しい。傾斜のきついスピード・トラックを自転車が滑走する様は大迫力であろうことが想像できる。ヴェロドローム一帯は様々な自転車スポーツが楽しめる「⑧リー・バレー・ヴェロパーク」となっており、屋外にはロードバイクのサーキットやマウンテンバイクのコースもある。競技場に入らずとも、広々としたパーク内をサイクリングするのも良さそう。

取材班が最後に辿り着いたのは、「⑨タンブリング・ベイ・プレイグラウンド」と「⑩ティンバー・ロッジ・カフェ」。カフェ内にはコミュニティ・センターもあるので、歩き疲れた体を一休みさせたい。

オリンピック当時そのままの競技場や、新たなエリアを見終え、ストラットフォード駅へと歩いていると、左手に選手村であった「⑪イースト・ビレッジ」が見えてきた。オリンピック選手団が宿泊したアパートは、現在分譲・賃貸マンションに改装され、絶賛販売中。ちなみに、どの部屋に陸上のウサイン・ボルト選手やテニスのロジャー・フェデラー選手らが宿泊したのか記録がないわけがあろうはずもないが、買い主には知らされないとのこと。

取材班がパークを訪れたのは平日だったが、ハーフターム中であったためか、多くの家族連れで賑わっていた。
オリンピックで使用された競技施設でスポーツを体験してみたい人、自然溢れる河畔や緑地で散歩やピクニックを楽しみたい人、子供たちを一風変わったプレイグラウンドに連れて行きたい人、オービットに上ってみたい人、はたまたこれから開発される不動産に興味のある人など、様々な目的を持った人々すべてを受け入れてくれる、大きな懐を持ったクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク。ぜひ足を運んでみてほしい。


Finish

 

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