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人生の締めくくり
英市場調査会社「Mintel」の調査によると、2007年の英国の葬儀費用の平均額は2269ポンド。どんなに質素な葬儀でも、火葬代の500~600ポンドを含め、最低でも800ポンドはかかるという。これは馬鹿にならない金額だ。納得のいくような葬儀にしたいものである。
生前に指示を記した場合を除き、故人は葬儀について選り好みを述べることはできないが、残された者としては可能な限りのことをして、故人を送り出したいと思うのが人情。故人らしさを伝える葬儀、思い出に残る葬儀にすることで故人を偲ぶ。それが残された者から死者への愛情表現であり、それによって残された者の悲しみも少なからず和らぐ。冒頭のアウグスティヌスの言葉のように、葬儀とは残された者の心を癒す、リチュアル(儀式)なのかもしれない。
また、この機会に自分の葬儀について考えておくのもいいだろう。もちろん、すぐに現実になって欲しくないことではあるが、残された家族や友人の負担を減らすべく、このような葬儀にしたいというプランをあらかじめたてておき、遺言のなかに含めておくのもひとつのアイディアだ。葬儀までもが自分の人生の一部と考え、自分好みの演出を計らうというのは、なかなか潔くも美しい人生の締めくくり方といえるかもしれない。最後に、エジソンのこの言葉を送ろう。
「私は、自分の葬式の日をもって、人生からの引退の日とする」
トーマス・エジソン(19~20世紀米国の発明家、GE社創業者、1847~1931年)