スペインの前に立ちはだかる
難攻不落の要塞

 

 近年、領土問題といえば、島を巡っての争いや、隣接する国同士による土地の奪い合いが一般的といえるが、この地は北側がスペインと陸続きで、英国からすれば飛び地。スペインにとっては、身体の一部を他人に掴まれていることになる。それは推し量るまでもなく気持ちのいいものではないだろう。国の威信をかけ、奪還を胸に反撃が繰り返される。
なかでも最大となるのが、1779年から始まるジブラルタル包囲戦と呼ばれるものだ。闘志満々のスペイン・フランスの連合軍によってわずか6・8平方キロのこの小さな半島は完全包囲された。いつ終わるとも知れぬ砲撃の中で英軍は、陸地にいる敵軍に側面から攻撃を加えられるよう「ザ・ロック」に地下トンネルを掘り、銃眼用の穴と大砲を設置した。
地形を活かした巧妙な計略を巡らせて耐え抜いた英国は、4年近い歳月を経た1783年、ついに包囲を解くことに成功し、スペインのジブラルタル奪還は失敗に終わった。
「ジブラルタル」と言えば「難攻不落」という言葉が浮かぶ人も少なくないだろう。それは、攻撃を繰り返されても一度も落ちることのなかったこの出来事に起因する。
余談だが、この際に作られた包囲戦トンネル(Great Siege Tunnels)と呼ばれる英軍の知恵の結晶は、その後も拡充されている。そしてその一部は、現在も見学することができ、ジブラルタル観光の目玉となっている。