
精神分析学や心理療法、さらには人工知能の技術とも関わりながら学問として独自の発展を続ける英国式占星術。
今号では12星座の起源を探りつつ、2025年の展望を星座ごとにお送りする。
●サバイバー●取材・執筆/ホーリー・グレイル、本誌編集部
■そもそも「12星座(zodiac sign)」とは?
星占いの12星座をなにかの暦のようなもの、あるいはその月ごとに太陽が通過する星座の名前、と考えている人は多いのではないだろうか? どちらもハズレではないものの、正確ではない。占星術の起源は古代メソポタミア、12星座の原産地はバビロニアと言われている。今号では12星座がどのような工程を経て今の形になったのか、その歴史をたどるとともに、2025年の運勢を星座ごとにお伝えしたい。
粘土板にオーメンを刻む!?
古代エジプトと言えばパピルスに書かれたヒエログリフ。一方、同時期のメソポタミアでは粘土板に楔形文字を刻んでいた。メソポタミアは現在のイラクに流れるチグリス・ユーフラテス川沿いに位置する。紀元前539年のアケメネス朝ペルシアによる征服、その後の紀元前330年のアレキサンダー大王による征服以前は、北のアッシリアと南のバビロニアに分かれ勢力を争っていた。楔形文字は最古の文字であり、およそ50万点の粘土板を世界の博物館が保存。最多の約13万点を大英博物館が占める。
その中に、「エヌマ・アヌ・エンリル」(Enuma Anu Enlil)という名称の、70枚程の粘土板からなる全集がある。これは吉凶を占う占星術による予兆(オーメン)解釈の書で、7000ほどのオーメンが記されている。紀元前16世紀から12世紀の間に編集され、紀元前2世紀まで複製が続いた。その原形は紀元前20世紀から16世紀まで遡るというから、4000年前のもの。こう聞くと、いかに昔から人類が、自分たちの力ではどうしようもないことを予測することに関心をいだいていたかがわかるだろう。

ムル・アピン(Mul. Apin)という上下2巻セットの粘土板もある。紀元前10世紀頃に編纂され、紀元前3世紀頃まで複製されている。この天文学の集成には、西洋占星術の12星座の起源となる星座も記されている。その数は初期の段階では17〜19あったが、時代が下り、紀元前5世紀頃には12に絞られる。当時のバビロニアの文化や生活習慣、神話にちなんだ星座の名は、そのままギリシア語訳され、さらにラテン語訳されたものが現代に伝わっている。
12星座は仮想の宇宙!?
月と太陽の航行を時間の単位として、四季の変化を数値化する線が暦。これに対して、星座は座標系という抽象概念の発達と関連する。「月、太陽、惑星は天球を移動するが、星座は位置も形も変えることがない。移動する星の位置を記録に残すための座標として星座を利用しよう」と、バビロニアのカルデア人は考えた。占星術と天文学がまだ渾然一体となっていた時代の話。物事を抽象化して考える能力の芽生えと言ってもいい。
見かけ上、太陽は1年で天球の12星座を周回する。この太陽の通り道が黄道。しかし星座の大きさにはバラツキがあるので、必ずしもひと月毎にひとつの星座を通過することはない。
そこで紀元前5世紀頃に、星座の座標を暦と一致させる加工が始まる。黄道を30度ずつ等間隔に12の宮に区切り、各宮に位置する星座の名を付けた。12星座の名は各月の宮を示す記号(sign)となった。占星術で扱う12星座の原型だ。日月惑星が周回する黄道の南北8度の帯を獣帯(zodiac)とも呼ぶ。天体観測も単なる記録からデータ計算による未来予測へ進歩した。この技術はなによりも占星術にとって必要不可欠だった。
アレキサンダー大王による征服後、バビロニアの天文学と占星術はギリシアとエジプトに流出する。紀元前2世紀、ロードス島のヒッパルコスは、本来ならば動かないはずの乙女座の恒星スピカが移動していることを、過去の天文データとの比較から発見した。地軸の傾きによる歳差運動(注*)で、天動説の宇宙では、およそ2万6000年かけて天球全体が西から東へ回転する。恒星や星座の位置で決めていたバビロニアの黄道12宮は、時間の経過とともに黄道上を見かけの上で西から東へ移動してゆく。これでは座標や暦として用をなさない。
紀元2世紀、アレキサンドリアのプトレマイオスは、地球の赤道を天球に投影した天の赤道と黄道の交点を12宮の起点(春分点)として30度ずつ黄道を区切ることを提唱。12宮の開始点を固定することで、宮の移動を止め、天の赤道と黄道の2つの座標軸をもつ座標系にアップグレードした。

さらなる加工を遂げて、黄道12宮は暦にも正確に対応。結果として、占星術の12星座(zodiac sign)は、実際の星座(constellation)と位置が異なる「仮想空間」にある宮となり、その表示記号(sign)となった。英語でも誕生星座を尋ねる時には、"What is your sign?"という言い回しを使い、"What is your constellation?"とはあまり言わない。
こうしてプトレマイオスは、『テトラビブロス』でプラトンとアリストテレスを下敷きに西洋占星術を体系化した。さらに『天文学大全』(アルマゲスト)では、国際天文学連合が定める全天の星座88のうち48星座を目録表に載せている。
駆け足で12星座が今の形になるまでをご紹介したが、以下で各星座の2025年の運勢についてお届けしよう。
【注*】歳差運動…地軸の傾きにより、駒と似た首振り運動が生じて、地軸は公転軸を一周する。地軸の延長上にある天の北極付近に位置する北極星は、現在ポラリス(こぐま座α星)だが、地軸の首振り運動に伴い、他の星へ長い年月をかけて移動する。それに伴い、天球も移動する。
2025年の運勢 byホーリー・グレイル
大きな転換期を迎える年! この1年をどう過ごすか?
■2025年は、全惑星が宮を変える。詳しい説明は誌面の都合で掲載することが叶わないが、これは滅多にない事象であること、そして時代の大きな転換期となることだけはお伝えしておきたい。
ホーリー・グレイル プロフィール
占星術のチャートリーディングとバッチフラワー療法を組み合わせたコンサルテーションを行っている。著書に Astrology of the Dwarf Planets: The Galactic Dimension of Creation Mythology (American Federation of Astrologers (AFA))。 神話学博士。1964年生まれ、水瓶座。★=絶好調 ◎=好調 ○=まずまず ▲=要注意

牡羊座 3月21日~4月20日 Aries アリエス/Aries エアリーズ
拠点を広げる!の安定運
総合運 ○
本年前半は、語学習得やスキル・アップに良く、良い指導者に巡り会えます。資格取得や専門的な知識を学ぶチャンスもあります。後半は、ベースとなる拠点の拡大拡張あり。ビザ申請や引越しなどは、楽観視せず慎重に。
仕事運 ○
商取引や地域活動の拡大に良く、各種申請は、専門家の信頼できるサービスが見つかります。本年後半に入ると、文化や習慣の違いから学ぶことが多くなり、移転や移住、事業や不動産関連の事柄は、発展に向けて一層の努力が必要。
恋愛・対人運 ◎
本年前半は、好感度がアップして愛情豊かになる一方、恋愛問題も発生。カップルは関係に変化変動あり。結婚に良い時期は、10月から11月にかけて。春先に始まった恋愛は、1年かけてゆっくりと成長してゆくでしょう。

牡牛座
4月21日~5月20日 Taurus タウルス/Taurus トーラス
凶運は牛歩で跳ね返せ!の漸進運
総合運 ○
本年前半は堅実に地道な努力を続けるスローな展開。資産管理や予算編成が焦点。6月に主護星のヴィーナスがこの宮に入り、ようやく本来の進むべき道が見えてきます。後半は、各種申請やスキル獲得で可能性を開く時。
仕事運 ○
前半は、顧客からの人気や需要、収入に変動あり。労働やキャリアの価値を検討する時期。転職などを考えることも。後半から本来のペースが戻り、有益なネットワーク拡大。語学の習得、飲食店、食品関連、不動産は好機。
恋愛・対人運 ▲
前半は幸福満足度が移ろいやすくなり、不安定な運勢。ライバル争いや倦怠感に注意。6月から7月にかけて、魅力度アップ。失いかけていた自信も戻ります。10月は考え方の不一致に注意。11月は対人関係全般が好調。

双子座
5月21日~6月21日 Gemini ゲミニ/Gemini ジェミナイ
今ならフォーチュンクッキーが付いてくる!の上昇運
総合運 ★
本年前半は海外運上昇。チャンスに恵まれる好機到来。学位や資格取得、移民法関連の手続きの通過、キャリアアップが起こる運勢です。後半は前半の飛躍を活かして、実力を蓄える時。不動産関連で資産増大の可能性あり。
仕事運 ◎
前半はビジネス面でも好機。2月と5月は、商業、通信ネット関連、出版メディア関連や教育産業は、成長期。9月は難所。頭の回転の速さで神経戦を突破。11月以降、迷いが生じやすくなりますが、話し合いやリサーチが解決の手段。
恋愛・対人運 ◎
7月は魅力度アップ。夏のイベントでの出会いが美しい英国の夏を飾ります。10月中旬から11月初めは、フィーリングのマッチする相手が出現。12月は結婚に良く、カップルは旅行やクリスマス行事でヒートアップ。

蟹座
6月22日~7月22日 Cancer カンケル/Cancer キャンサー
スペースを広げて幸運を呼び込もう!の前進運
総合運 ★
12年に1度の好機到来。海外運急上昇。本格的な動きは本年後半からになります。ビザ申請、学位資格取得、キャリアアップ、不動産関連など、海外生活は全般に好調。家庭にも明るい話題が増えるでしょう。旅行運良し。
仕事運 ★
オフィスの拡張や事業拡大があるでしょう。経営は楽観的すぎる傾向がある一方、有力者や富裕層からの支援、親族経営の会社と連携の可能性あり。学生は良い指導者が見つかり、問題解決には信頼できる専門家の手助けあり。
恋愛・対人運 ◎
文化や宗教、家庭環境の違いが問題になりやすい時。一方で、苦手意識にとらわれないで、ユーモアの精神を忘れなければ、楽しい出会いが増えるでしょう。国際結婚のチャンスもあり。6月と8月は恋愛と結婚に良い時期。

獅子座
7月23日~8月23日 Leo レオ/Leo リオ
ドント・ディスターブ!の待機運
総合運 ○
年初はパワー不足で意欲減退。焦りや苛立ちを感じますが、春の訪れとともに活力もみなぎるでしょう。作戦会議の後、ようやく行動開始。本年は、野心的に前進するより、国際交流の輪を広げ、想像力を働かせると良し。
仕事運 ○
本年前半は、本業よりも趣味や関心領域での交わりが盛んです。夏場は迷いが生じやすいものの、目標設計に良い時期。ホリデーを取り、寛いだ環境で秋以降の準備を進めましょう。後半は、長い周期でのやり残しを整理する時期。
恋愛・対人運 ◎
冬の間は気持ちが不安定になり、自信喪失気味。心身に栄養を取り、英気を養う時期。5月は恋愛運上昇。結婚まで至らずとも、一挙に話が進みます。11月と12月は、行動範囲が広がり、ドラマ性ある表現豊かな時期。

乙女座
8月24日~9月23日 Virgo ウィルゴ/Virgo ヴァーゴ
ジグゾーパズルを完成させて認証パス!の成功運
総合運 ○
本年前半は経験と実績を活かして、堅固な業績を築く時。これ以上の進展は望めないので、力の及ぶ限りで一層の努力を重ねましょう。キャリアや進路、移民法関連で到達点が見えてきます。後半はグループとの関わりあり。
仕事運 ◎
前半は働き過ぎの傾向。5月下旬から6月上旬は回転が速くなります。6月はグループ運営で良い指導者が現れ、有益な助言が得られます。9月の誕生月は、動きが多く快調なスタート。情報収集やゴール設定、商売に良し。
恋愛・対人運 ○
前半は不安定ながら、恋愛へ発展する可能性あり。一方で、恋愛問題も起こりやすい運勢。8月は、友人関係やグループ間の交流から発展あり。アプリやサイトの活用も可。本格的な動きがあるのは年の瀬から新年のホリデー期間。

天秤座
9月24日~10月23日 Libra リブラ/Libra リーブラ
上昇気流に乗る、このチャンスをお見逃しなく!の快調運
総合運 ★
好調な運勢が続きます。本年前半は海外運、旅行運に良く、ビザ申請や移民法関連は難なく進展。学位や資格の取得、グローバルなビジネス展開に良い時。後半には結果が出て成果が表れ、到達点が見えてくるでしょう。
仕事運 ◎
前半は、セールスや金融、広告や通信、教育や学芸などの職種に良く、最盛期。スキルや知識のレベルアップ、キャリア上昇あり。後半も発展の一方、文化や習慣などの違いから、英国社会の多様な人間関係に苦労することも。
恋愛・対人運 ◎
前半は主護星のヴィーナスが逆行、天秤の目盛りが微妙に揺れる時。不安定な関係になりやすく、人間関係全般に振り回されがち。5月半ばから恋愛運は劇的に回復。夏と秋は、恋愛と結婚ともにムードが上昇する良い時期。

蠍座
10月24日~11月22日 Scorpius スコルピウス/Scorpio スコーピオ
曇りのち晴れ!の復活運
総合運 ◎
本年は後半から海外運上昇。前半は休息期、ワークストレスによる体調不良に注意。夏場は盛大なイベント豊富。旅行運も良く、予算内で期待以上の成果が見込めます。各種申請や手続き、法律関連、学位取得や研究調査は後半が有利。
仕事運 ◎
前半は職場の人事異動や所得の変化が起こりやすく、仕事上の悩みを抱えがち。一時的なものなので、スポーツ観戦やフィットネスでストレス発散を。後半は、就労関連の法的な手続きに良く、良い指導者に恵まれます。
恋愛・対人運 ★
カップルは、結婚による永住権や国籍の獲得、資産の共有などが起こることもあります。恋愛に関しては、異なる文化やモラルを共有することで、学びの機会があるでしょう。旅行やパーティー、夏のイベントなど盛り沢山。

射手座
11月23日~12月21日Sagittarius サギッタリウス/Sagittarius サジテイリアス
スピード全開で、コーナーに来た〜!の急進運
総合運 ◎
本年前半は、対人面での交流が強調されます。文化や宗教の壁を超えて、学ぶものが多い年です。良い指導者からの教えや専門家の有益な助言に恵まれます。後半は、モラルや信条の変化が心の成長の機会となるでしょう。
仕事運 ◎
6年前のゴール設定が、紆余曲折や修正を経て、実現に近づく年。2月は語学やスキルの習得に良い月。5月は、採用面接や契約、プレゼンテーションなどで多忙です。9月は書類提出など、ビジネス全般が勝負どころ。
恋愛・対人運 ★
国際結婚の起こりやすい年。移民法関連の手続きに進展。晩春から夏にかけては、恋愛関係も躍進。美しい季節を飾る楽しいイベントに恵まれます。旅先での出会いや野外フェスティバル、恋愛アプリで関係が始まるかも。

山羊座
12月22日~1月20日 Capricornus カプリコルヌス/Capricorn カプリコーン
バルーンに乗って世界を旅する!の飛翔運
総合運 ○
本年前半は、海外生活で文化や習慣の違いを学ぶ機会が増えるでしょう。就労法関連に問題がなければ雇用の機会あり。後半は、良い指導者が見つかり、専門家から有益な助言が得られます。対人関係から世界が広がります。
仕事運 ▲
前半は仕事量が多く、ストレス上昇。3月は迷いが生じやすく、狙いを外さないように注意。後半は、契約や海外パートナーとの連携が起こりやすく、ビジネスは拡大傾向。専門家の協力を仰ぐことも。9月は売買に良し。
恋愛・対人運 ◎
国際結婚もありで、恋愛パートナーに関して拡大傾向。移民法関連の手続きに進展。夏のイベントが豊富で、予算超過。オープンで自由な関係を求める相手との間に開きあり。年の瀬から新年にかけて、価値観に見合うパートナーが出現。

水瓶座
1月21日~2月19日 Aquarius アクアリウス/Aquarius アクエリアス
活躍の舞台を広げよう!の発展運
総合運 ◎
本年前半は各種申請、移民法関連の手続きに良く、創作や研究の舞台を海外に拡張する時期です。後半は、雇用や生活面でチャンスに恵まれやすく、専門家からは有益な助言を受けるでしょう。収入アップや事業の拡大あり。
仕事運 ★
追い風に乗るでしょう。突然の良い変化が起きたり、改革の必要性を感じたりすることも。オフィスを拡張したり、転職のチャンスを探るのに良い時。後半は、仕事量が増えるので、ダイエットやフィットネスで健康管理を。
恋愛・対人運 ○
本年は自分磨きの年になります。国際感覚を養い、個性的な演出ができれば、パートナーから信頼されます。7月と10月中旬から11月初めは、対人関係全般が好調。夏場は、職場での結婚やデートの誘いがあるかも。

魚座
2月20日~3月20日Pisces ピスケス/Pisces パイシーズ
いろいろ問題があっても、なんとかなる!の楽観運
総合運 ◎
本年前半はキャリアや進路、収入などの実績を出す、重要な年。語学の習得や資格取得、ビジネス旅行や海外取引でチャンスを開きましょう。後半は、遊びから表現力や創造性が身につく時。舞台・芸能・芸術関連は人気拡大。
仕事運 ○
厳しい一方で、努力と才能が形になって表れる年。5月から6月に難所があり、これを越えれば後は楽。夏場は、個性発揮で注目が集まる時。ゲームや投機の運も良く、クリエーターは事業拡大の好機。不動産関連も好調。
恋愛・対人運 ○
前半は控えめながら、後半は活動的。家庭や育児、出産で忙しくなることも。夏場は魅力度アップ。豪奢なパーティーや野外フェスティバルでハッピーな盛り上がりあり。パートナーと旅行したり、結婚式を挙げたりするカップルも。
週刊ジャーニー No.1375(2025年1月9日)掲載