
■ 2022年のパンケーキ・デーは、いつもよりちょっとだけ遅めの3月1日(火)。そのパンケーキ・デーにちなみ、今号では、ロンドンでパンケーキが楽しめる名店を一挙紹介します。
●サバイバー●取材・執筆/本誌編集部
日本にはない英国ならではの習慣や行事は数え切れないほどあるが、その中でも暗くて長い冬に終わりを告げ、春への第一歩とされる日が「パンケーキ・デー」だ。その名が表す通りに各家庭でパンケーキを焼いて食べる日のことだが、単なる「語呂合わせ」などではなく、イースター(イエス・キリスト復活祭)に関連するキリスト教の歴史ある習慣のひとつである。
その昔、イエス・キリストは十字架にかけられる運命の日までの40日間(日曜を除く)、荒野で断食を行ったという。この断食期間「レント(Lent)」の始まりの日は水曜日と定められており、「灰の水曜(Ash Wednesday)」と呼ばれている。そして「灰の水曜」の前日、つまり断食を始める前日は、これまで自分が犯したさまざまな罪を告白する日「告解の火曜(Shrove Tuesday)」にあたる。
かつて敬虔なキリスト教徒たちは、「告解の火曜」は過去1年の自身の行いを見つめ直し、悔い改めながら過ごした。それと同時に、翌日からの断食に備えて、家に置いてある卵や乳製品といった傷む食材を使い切ろうと一斉にパンケーキを焼いたことから、いつの間にやら別名「パンケーキ・デー」と呼ばれるようになった――というのが由来だ。
英国各地でパンケーキ・デーに開かれる「パンケーキ・レース」の起源も同じで、「告解の火曜」にパンケーキを焼いていて教会の告解時間に遅れそうになった主婦が、パンケーキを乗せたフライパンを手に持ったまま教会まで走ったことが始まりと言われている。そのため、参加者は三角巾とエプロンの着用を義務付けられている場合が多い。
今は宗教的な意味合いはすっかり薄まり、「みんなでパンケーキを楽しむ日」となっている。パンケーキ専門店も増え、英国風のモチモチとした厚めのクレープのようなパンケーキではなく、米国やオーストラリア、日本などで主流のふっくらとしたトッピングたっぷりのものが人気だ。これを機に、お気に入りの店を探してみては?
緑あふれる温室空間で楽しむ
Bourne & Hollingsworth Buildingsボーン&ホーリングズワース・ビルディングズ

クラーケンウェルにある、花や緑のあふれる温室スタイルが特徴的なブラッセリー&バー。キャラメル・バナナとヘーゼルナッツのパンケーキが同店イチオシ。
ロンドン初のヴィーガン・パンケーキも!
Christopher'sクリストファーズ

高級感漂う広々としたアメリカン・バー&グリルのパンケーキは、トッピングを自由に選べるのが嬉しい。ヴィーガン向けもあり。
ナーサリーに併設、花まで食べれる!
Farm Girlファーム・ガール

ブランチ・メニューが人気のオーストラリア系カフェ・レストラン。色鮮やかな花が飾られ、ローズ・メープルシロップが使われるなど、女子ウケ良し。
最寄り駅: Notting Hill Gate
www.thefarmgirl.co.uk
※ソーホー店、フィッツロヴィア店のほか、ベルグラヴィア店、サウス・ケンジントン店もオープン予定
日本式のスフレ・パンケーキ
Fuwa Fuwa Caféフワフワ・カフェ
プレートの上でゆらゆら揺れる、分厚いふわっふわスフレ・パンケーキが名物の専門店。口の中に入れるとすっと溶けるので、ペロリと完食できる。
最寄り駅: Russell Square
※ソーホー店も新オープン
www.instagram.com/fuwafuwalondon
日本で人気の「Bill's」のパンケーキ
Granger & Co.グレンジャー&コー
このオーストラリア系レストランの名物といえば、リコッタ・パンケーキ(Bill'sの英国店名がGranger & Co.)。ハニーコム・バターつきで、ふんわり&もっちり!
最寄り駅: Notting Hill Gate
https://grangerandco.com
※チェルシー店、クラーケンウェル店、キングズクロス店もあり
そば粉のおしゃれパンケーキ
Milk Cafeミルク・カフェ
ロンドン西南部、国鉄バラム駅のそばの「prettiest pancakes」を提供する店として大人気のカフェ。凝ったプレゼンテーションはフランス料理のよう!
オランダの薄いパンケーキで有名
My Old Dutchマイ・オールド・ダッチ

クレープのような薄いパンケーキの専門店。オランダ式はシーフードやラム肉などセイボリー系のトッピングが一般的だが、スイーツ系も充実。
素材にこだわった専門店
Where The Pancakes Areウェア・ザ・パンケークス・アー

イングリッシュ・ブレックファスト風からスイーツ系、熱々の鉄板にのった焼き菓子のようなパンケーキまで、バラエティに富んだメニューがやみつきに。
最寄り駅:London Bridge
www.wherethepancakesare.com
※フィッツロヴィア店も新オープン
ラグジュアリーな朝食で優雅に
The Wolseleyザ・ウォルズリー

アフタヌーンティーでも有名な豪華グランド・カフェ。パンケーキやエッグ・ベネディクトなどの朝食メニューは人気が高く、著名人もよく訪れている。
さすがニューヨーク、ド迫力!
Sundays In Brooklynサンデーズ・イン・ブルックリン

「The best brunch in London 2022」に選ばれたニューヨーク・スタイルの店。おすすめの「Sunday Pancakes」はヘーゼルナッツ・メープル・プラリネが贅沢に!
週刊ジャーニー No.1227(2022年2月17日)掲載