英王室のお財布事情ハリー王子とメガン妃の将来は?

世間の注目を集めるハリー王子とメガン妃が「経済的な自立」を宣言してから、2ヵ月が過ぎ、いよいよ正式に英王室から離脱。彼らが今後どう生計を立てていくかはまだ明らかになっていないが、ふと気になったのは、英王室でのお金の流れ。公式発表のデータやメディアの分析をもとにまとめた。

●サバイバー●執筆/本誌編集部

英王室を取り巻くお金の歴史 ざっと解説!

普通に暮らす私たちが収入を得る場合、労働の対価としてお金を手にすることになる。しかし、英王室は一般人とは異なる。君主たる女王(英王室)は政府からの王室助成金を主な財源のひとつとして、日々の公務をこなしている。

歴史を振り返ってみると、現在の形になったのは名誉革命(1688~89年)以降だ。英国の議会政治の基礎が確立すると、「王の好き勝手にはさせません」と、国王の権限が制限され、王室関連費が国家の支出と分けて考えられるようになる。1760年には「Civil List Act 1760」が施行され、時の王ジョージ3世所有の土地クラウン・エステートの世襲的収入が国庫に納められるようになり、代わりに「Civil List」という名で議会の運営費・王室費が賄われるように。毎年決まった額が英王室に支払われた。1830年には「Civil List」が完全に議会の費用と切り離され、王室費だけを指すようになり、この制度はつい最近の2011年まで続いた。

同年、「Sovereign Grant Act 2011」が施行され、「Civil List」やそのほかの助成金がひとつにまとめられ、エリザベス女王は翌年から「王室助成金(Sovereign Grant)」を受け取るようになった(詳しくは以下参照)。毎年、2年前のクラウン・エステートの収益をもとに計算され、王室運営費となっている。王室では透明性とわかりやすさを掲げ、毎年支出などに関する報告を発表している。

英王室の収入はどこからやってくる? 代々受け継ぐ不動産

1ポンド=130円換算

女王陛下の財源の主なものは、①王室助成金。クラウン・エステートによる収益が一旦国庫に納められたのち、15%が女王に支払われて公務に使われる(2017年からの10年間は、バッキンガム宮殿の改修工事のため25%にアップしている)。

クラウン・エステートが所有する土地の広さは、フォレスティー・コミッション(森林を管理)、ナショナル・トラスト、国防省に次いで4番目。リージェント・ストリート=写真=はそのひとつ。

最新レポートによると、2017-18年の王室助成金は8220万ポンド(約106億8600万円)。公式ウェブサイトによれば「国民1人当たりに換算すると1.24ポンドに相当します」とのこと。

他に、ランカスター公(=君主)が所有する土地や物件、金融投資からなる資産②ランカスター公領(Duchy of Lancaster)での収入があり、①で賄われない王室の必要経費に使われる。同年度は2170万ポンド(約28億2100万円)の収入があったとされる。

これに加えて、③ロイヤル・コレクション(女王所有の絵画や宝石を展示するエキシビションの入場料などがここに含まれる)、④女王が個人的に所有している宝石や物件、馬からの収入がある。

 

また次期国王チャールズ皇太子の財源となっているのは、国王の長男に与えられる私有領コーンウォール公領(Duchy of Cornwall)。同年度は2160万ポンド(約28億800万円)の収入があり、ここから息子たち(ウィリアム王子夫妻、ハリー王子夫妻)の生活費が賄われている。

支出は? 不動産メンテナンス費、約49億円
次いで人件費、約30億円

王室助成金からの支出で大部分を占めるのが不動産メンテナンス費用。最新レポートによれば、3780万ポンド(約49億1400万円)がこれに使われたという。

女王がハリー王子夫妻にプレゼントしたウィンザーの新居フィグモア・コテージの修繕・改装費もここに含まれるが(ちなみにウィリアム王子夫妻がケンジントン宮殿に越したときには4000万ポンド超が改装に使われている)、ハリー王子らの王室離脱によってこの改装費が槍玉に上がり、王子らは返済すると申し出ている。また今後は家賃を払うことになる可能性もあるという(ただこれは珍しいことではなさそうで、ハリー王子のいとこで2018年に結婚したユージェニー王女はフルタイムの仕事を持ち、家賃を払ってケンジントン宮殿で暮らす)。

このほか、王室スタッフの給与2320万ポンド(約30億1600万円)、移動費460万ポンド(約5億9800万円)、光熱費290万ポンド(約3億7700万円)、IT費380万ポンド(約4億9400万円)など。

© Diliff
不動産メンテナンスに含まれる出費としては、3億6900万ポンドに及ぶバッキンガム宮殿の改修工事も進行中。

ハリー王子&メガン妃 これからどう稼ぐ? 勝手に分析!

© Northern Ireland Office

ハリー王子夫妻の公的支出の5パーセントは王室助成金で賄われており、離脱後はこの受け取りがなくなる。残りの支出の95%をカバーするのはチャールズ皇太子の資金(コーンウォール公領)によるもの。

ハリー王子には故ダイアナ妃から受け継いだ遺産もあり、総資産は3000万ポンド(約39億円)といわれている。一方のメガン妃の資産は推定380万ポンド(約4億9400万円)。相当な資産を有するだけに、一般人からすれば豊かな生活が送れるように思うが、未だに解決策が見出されていないと思われる警備費(年間100~800万ポンドともっぱらの噂)、これまでのライフスタイルを維持しよう思うと心許ない。

そんな中(?)、ふたりは2019年夏に「サセックス・ロイヤル」の商標を得て、ビジネス展開を目論んでいた。しかし「『ロイヤル』の名の下に金儲けをしようとはなんたることですか!」と言わんばかりに女王からのお叱りを受け、こちらは失敗に終わりつつある。思った通りに物事が進まないのは、一国の王子も一般家庭の子も同じ!? とはいえ、明るいニュースも。メガン妃の最初の仕事としてディズニーのドキュメンタリー番組で声の吹き替えを担当し、4月3日にオンエア予定。

メガン妃がチャリティへの寄付を目的に吹替を担当した「Disneynature's Elephant」のトレーラー。

 

引退後に本の出版、トークイベント出席などでお金を稼ぐ政治家らのキャリアをモデルに、同様の道が考えられる。今後も慈善活動に力を入れる姿勢を見せているだけに、家族幸せを模索しつつ、影響力のあるふたりだからこその道を歩んで欲しい。

週刊ジャーニー No.1131(2020年4月2日)掲載