Q. 起業するってどんな感じですか?

平原和剛 氏

Walf株式会社 / Walf Ltd
www.walf.co.uk
起業年月:2006年日本で起業、2010年英国法人立ち上げ
事業内容:日本の中小企業の海外進出支援

「起業にデメリットはなし」

日本で大学卒業後、英国に音楽留学してミュージックビジネスや音楽理論などを学んだ平原氏は、母親を看病するために日本に帰国。看取った後、音楽に関わるビジネスを思いつき、500円玉貯金でコツコツと貯めた資金をもとに26歳のとき東京で起業した。時代の移り変わりとともに、日本の中小企業の海外進出支援事業へと舵を切り、2010年に日本法人の系列会社として英国にも法人を設立した。

日本と英国を比べてみると、「英国ではオンラインで簡単に会社が設立できる上に、新しいことに挑戦する人を応援する文化があるように感じます」。一方で、「日本人が英国で現地の人に支持されて成功するというのは、日本で成功するよりも難しい印象です」と指摘する。

英国最大規模の日本人向け異業種交流会となった「ロンドン水曜会」を2018年2月に発足させ、延べ1300名のビジネスパーソンが参加。営業もナンパも禁止の交流会で日本人ビジネスネットワークを作る活動も。

■ 起業したいと思う人への一言

「具体的なアイディアがなければ起業は勧めません。今の職場が嫌だから、何となく起業して金持ちになりたいからと思っていると起業自体が目的になってしまい、その先を見出だせなくなることもあると思います。また、他人には違うと言われるかもしれませんが、起業にリスクはあってもデメリットはないと思います。最高のビジネスプランと最大限の情報収集、ネットワーク作りとリスクヘッジをした上で、やりたいことを実現するための手段が起業であれば、やってみるのもいいのではないかと思います」


由美メリックス 氏

Yumi Merricks
yumimerricks.com
起業年月:2016年6月
事業内容:ライフスタイル・コンサルティング

「どういう生き方をしたいのか」

「起業というほどカッコいいことはしていなくて、『9時5時の仕事から抜け出した生き方』を求めた結果なんです」と話すメリックス氏は、英国で離婚後、子育てをしながらフルタイムで経理関係の職に就いていたものの、2014年にストレスでブレークダウンしてしまう。その頃から「自分で何かやりたい」「もっと自分の時間を自由に使える働き方はないか」と考えるようになるが、収入が不安定になることを懸念して別の会社に転職。責任の少ない仕事なら大丈夫かと思ったものの、今度は物足りなさを感じるようになり退職した。以前から自分らしい働き方を模索する中で、哲学コースに通ったり、ライフ・コーチングの資格を取得していたりしたことが発展して、「ワークスタイルを整えたい人たちの手伝いをするようになった」。

現在は起業したい人のためのオンライン・コースも提供中。ワークライフバランスを大切にしたビジネスの方法とマインドセットを考える内容になっているという。

■ 働き方に悩む人への一言

「お金を目当てにしないほうがいいですね。働き方だけでなく、どういう生き方をしたいのかをまずはしっかり自問して『自分らしい生き方』を優先して考えると、アイディアやライフスタイルが見えてくるものです。最終的に自分の人生に責任をもって決断することも大切です」


斎藤大吉 氏

東京すき焼き亭
85 Sloane Ave, Chelsea, London SW3 3DX
www.tokyosukiyakitei.com
起業年月:2012年5月(2015年3月東京すき焼き亭に変更)
事業内容:レストラン事業および飲食業経営コンサルタント

「飲食店を構える人は、忍耐力が必要!」

スペインのアンダルシアで営業していた創作料理店がロンドンへの出店を決めたのが2011年9月。「ロンドンに来て8ヵ月でオープンに漕ぎつけました」と日本人オーナーから運営を任されている斎藤氏は話すが、これは「ありえない速さ」なのだそう。

通常、飲食店用の物件契約をする場合、もともと飲食店が営まれていた物件を契約途中でお金を払って譲渡してもらうケースが多く、「一般的に半年以上はかかるところを、弁護士さんを何度も催促して2ヵ月でやりきった」と斎藤氏。その後も内装、従業員募集などを経てオープンに漕ぎつけた。「店を開くのは想像以上に大変で時間がかかります。耐える能力が必要ですね」。

集客の方法も変わってきて「店側がきれいな写真を使ってアピールしても、人は来てくれない」。シェフもメディアに出て人を呼ぶ必要があると感じ、斎藤氏は「Chef Saito」のブランドを立ち上げ、店ひいては和牛の魅力を伝える活動に取り組む(Youtubeで食番組を配信中。www.youtube.com/c/chefsaito)。

■ 飲食店を開きたい人への一言

「ロンドンの飲食店は家賃の高さとビジネスレートの高さでギブアップするケースが多いので、店を構える際には綿密に計画を立てて、5年先も続けるという決意がなければ、店舗を持たないケータリングから始めた方がいいと思います。競争も激しいですし、デリバルーの参入もあるので、簡単ではない。よほど好きじゃないと難しいかな」