'Howard Lucas, Production Manager, Cropwell Bishop' ©Cropwell Bishop

世界3大ブルーチーズのひとつとして、英国が誇る「スティルトン」――。
その風味は、「初老の男だけが1杯のポルト・ワインとスティルトンを味わう楽しみを知っている」と喩えられ、濃厚なコクと刺激的な味が特徴だ。
しかし、その強烈な風味から「臭い、しつこい、気持ち悪い」と敬遠してしまう日本人も少なくないだろう。
今月は、そんな先入観をとりはらう、スティルトンの奥深い世界に迫る。

●サバイバー●取材・執筆・写真/名取由恵・本誌編集部

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「英国にいるからには世界三大ブルーチーズに数えられるスティルトン(Stilton)の製造工場を訪れ、スティルトン・チーズのすべてを徹底取材するべし!」スティルトン好きの編集長から命令が下った。

確かにスティルトンといえば、英国を代表するブルーチーズ(青カビチーズ)で、ゴルゴンゾーラ(Gorgonzola)、ロックフォール(Roquefort)と共に世界三大ブルーチーズとしても有名だ。エリザベス女王の大好物でもあり、毎日欠かさず召し上がっているとか。英国ではクリスマスにスティルトンをポルト・ワインと共に楽しむのが伝統的で、クリスマス前になると店先にずらりとスティルトンが並ぶ。スティルトンをテーマに特集を組むのはきわめて道理にかなっている。

しかし、スティルトンはマーマイトよろしく『Love or Hate(大好きか大嫌いか)』がはっきり分かれる食べ物のひとつでもある。筆者自身、スティルトンに関しては、とにかく臭い、「しばらく風呂に入ってない人の脇の下、あるいは足の匂い」と匹敵するほどの強烈な匂いとクセのある味を持つチーズ、というイメージしか持っておらず、まともに買って食べてみたことがなかった。まして、青カビが生えたものを食すなんてとんでもない、工場取材にいくということは、そこで試食をしなくてはいけないのか……というのが率直なところだった。

初秋のある日、足取りも重く、ノッティンガムシャーにある老舗スティルトン製造工場「コルストン・バセット・デアリー」を訪れた。ところがだ。ここでスティルトンを試食した途端、スティルトンに対して抱いていた先入観は見事に吹っ飛んでしまった。匂いがきついのは否めない。しかし、熟成室に並ぶスティルトンの一片を口に含んだ瞬間、口のなかにクリームのような濃厚な味わいが広がった。

「美味い!」マイルドな塩加減とねっとりとした食感、ぴりっとした刺激と深いコク。これまで想像していたスティルトンの味とは全く違う。その独特の匂いも、この深い味わいを出すにはしごく当然と感じられるのには驚きだった。取材中に熟成期間や材料が微妙に異なるいろいろな種類のスティルトンを試食させてもらったが、驚くほど飽きが来ないし、逆に青カビの食欲を増す刺激がクセになりそうなほどだった。取材後、工場の隣接する直営店で、自分用のスティルトンをしっかり購入したのは言うまでもない。

筆者は帰路、スティルトンに『先入観』を抱いていたことを反省。やはり食わず嫌いではいけない。我々日本人だって、納豆という臭~い発酵食品を食べているではないか!「臭い、ねばねば糸を引く、腐っている」と納豆を嫌う外国人を笑っている場合ではないのだ。

『Love or Hate』、あなたはスティルトンを愛すか、嫌うのか――。まずは、今回のスティルトン特集をご一読いただき、スティルトンを食べて、確かめてみていただきたい。

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英国が誇るチーズ スティルトン

スティルトンは牛乳を原料とし、青カビを加えて熟成させるブルーチーズの一種である。英国を原産地とし、生産量は毎年百万個以上といわれ、そのうちのおよそ10%が日本を含む世界40ヵ国に輸出されている。

円筒状で直径およそ20センチ、高さ25―30センチ、重さ5―8キロ。表皮は茶色から灰色がかった色、という形状だ。乳脂肪分は乾燥成分の48―55%と、チェダーチーズよりも高めで、熟成期間は8週間から15週間、さらに6ヵ月程かけてじっくり熟成させたものもある。7.5キロ分のスティルトンを作るのに、およ16ガロン(約72リットル)もの牛乳が必要とされる。

スティルトンは、「PDO=Protected Designation of Origin」という欧州連合(EU)で規定された「原産地名称保護制度」によって、生産地が限定されている。この制度は、伝統や地域に根ざした特有の食品などの品質認証のために、1992年に制定されたものだ。

これにより、スティルトンは英中部のダービシャー、レスターシャー、ノッティンガムシャーの3県で生産されたものに限定されており、厳格な規定に従って作られたものにのみ「スティルトン」の呼称が与えられている。そのため、スティルトン発祥の地といわれ、その名前の起源となったスティルトン村は、ケンブリッジシャー(以前はハンティンドンシャー)に属することから、法律上スティルトンを作ることができない、という皮肉な結果になっている。

現在、スティルトンを作ることを認可された製造所はわずか6ヵ所。そのうちの5つが、スティルトン生産の本拠地とされるベルボア谷(レスターシャーとノッティンガムシャーの境界にある)に位置する。スーパーやチーズ専門店でスティルトンを購入すると、そのパッケージや商品の但し書きにはPDOの認証と、6ヵ所の製造所のうちどこで製造されたものか記されているので、確かめてみよう。

●Colston Bassett Dairy コルストン・バセット・デアリー
1913年に共同組合として創業、現在も当時と同じ農場から納品される牛乳を使って、スティルトンを生産している。6つの製造工場のなかで規模は4番目。

●Cropwell Bishop クロップウェル・ビショップ
ノッティンガムシャーとレスターシャーの境に位置する。1847年創業、家族経営でこじんまりとしているが、施設も技術も完全に近代化されている。3番目に大きい。

●Long Clawson Dairy ロング・クローソン・デアリー
1911年創業、英国内で最も歴史があり、成功した共同組合のひとつ。レスターシャーのベルボア谷に位置する。6つのなかで最大規模を誇る。

●Quenby Hall クウェンビー・ホール
18世紀に始まったスティルトン人気は、ここで製造されていたブルーチーズがスティルトン村で販売されるようになったのがきっかけといわれる。2005年から再び当地でスティルトンを製造開始。6つのなかで最も新しい製造所。

●Tuxford & Tebbutt Creamery タックスフォード&ティバット・クリーマリ
ー1780年創業当時はスティルトンチーズとポークパイを製造していたが、1966年からチーズ作り一本に専念するようになった。2番目に規模が大きい。

●Websters ウェブスターズ
レスターシャーの小さな村にある、17世紀のコテージを改造したチーズ製造所。ス ティルトン製造所のなかで最も規模が小さく、従業員も小人数だが、ひとつひとつ 手作りでスティルトンを作り上げている。

スティルトンの定義

●3つの県で生産された、殺菌処理済みの牛乳だけから作られること
●伝統的な円筒形であること
●それ自身の外殻あるいは皮を形成していること
●圧縮されていないこと
●中心から放射状に出る繊細な青いマーブル模様を呈していること
●スティルトンに特有な味の特性を持っていること

おそるべし青カビ!

ブルーチーズとは、牛乳もしくは羊乳から作られるナチュラルチーズの一種。

チーズを熟成させる前に内部に青カビ(ペニシリウム・ロックフォルティ)を繁殖させ、このカビによって熟成が進んでいく。

カビというと食物の表面に発生し食中毒の原因になるようなものを想像してしまうが、ブルーチーズの青カビは悪者ではない。青カビには、ミルクや羊乳に含まれるタンパク質を分解して、旨味成分のアミノ酸を作りだし、熟成を早める効果がある。さらに、乳脂肪分も分解して、独特の香りを生み出すのも青カビの役目。

つまり、おいしいブルーチーズを作るために、青カビはなくてはならない存在なのだ。日本でも古来より日本酒、醤油、味噌など、「コウジカビ」を穀物で培養し繁殖させた麹を用いて醸造を行う発酵食品がある。ちなみに、納豆の発酵に使う納豆菌は細菌の一種であり、カビではない。

ブルーチーズは、チーズの表面ではなく、中心部から外側に向かって熟成が進んでいき、チーズの内部に繁殖した青カビがマーブル(大理石)模様を描くのが特徴。

チーズをうまく発酵、熟成させるためには一定の塩分濃度を必要とするので比較的塩辛いが、青カビの強力な脂肪分解作用がもたらす、刺激的な風味と濃厚なコク、しっかりとした塩味がブルーチーズの風味になっている。ワインとの愛称もよい。乳脂肪分が高いほど、口当たりが滑らかになる。

ブルーチーズは約60種類あるといわれるが、「世界3大ブルーチーズ」と呼ばれるのは、フランスのロックフォール、イタリアのゴルゴンゾーラ、そして英国のスティルトン。

ゴルゴンゾーラはパスタやリゾットでお馴染みで、原料は牛乳。一番マイルドで、塩味も控えめ、とてもクリーミーな味。甘口のドルチェとぴりっと辛いピカンテがある。

ブルーチーズの王様といわれるロックフォールは羊乳から作られ、洞窟で熟成させる。歴史も古く、およそ2000年も前から作られていたといわれる。コクがあり濃厚。塩味もかなり強く、青カビの風味も強め。

そしてスティルトンは、刺激とコクのある濃厚な味わいが特徴で、ブルーチーズのなかでは水分が少なめでシャープな味とされている。

スティルトンはこうして広まった

英国のチーズ作りの歴史は、数千年にも及ぶといわれる。最初はローマ人によってチーズ作りが始められ、11世紀のノルマン人による征服後は、修道院でチーズが作られるケースも増えたという。

また、中世まで英国の家畜の主流は羊だったため、チーズ作りは羊乳を使って小規模に行われていたが、14世紀に入って、乳牛が主流になってからは、ミルクによるチーズ作りが盛んになり、17世紀までには、英国のあらゆる地域でチーズ作りが行われるようになったという。

スティルトンの歴史は18世紀に遡る。英中部ハンティンドンシャーにあるスティルトン村の旅館「ベル・イン」を経営するクーパー・ソーンヒルという人物が、スティルトンの伝道者といわれる。

1730年のある日、ソーンヒルはレスターシャーの片田舎にあるメルトン・モーブリー近郊の小さな農場を訪問、地元特産のブルーチーズを発見し、たちま虜となり、ベル・インに泊まる旅人相手にブルーチーズを販売することに決めた。ソーンヒルは、ブルーチーズを独占的に販売するための契約を取り付け、やがて荷馬車に積まれたチーズがベル・インに配送されるようになったという。

スティルトン村がロンドンと英北部を結ぶ幹線道路グレート・ノース・ロード沿いにあったため、ベル・インのチーズは急速に英国中に普及していき、スティルトン村の美味しいブルーチーズの噂が広がっていった。このため、このブルーチーズはスティルトンと呼ばれるようになったといわれている。

歴史上スティルトン村でスティルトンが作られたことはないというのが定説だったが、最近それを覆す驚くべき事実が発覚した。他でもない、クーパー・ソーンヒルが、1740年にスティルトン村でスティルトンを作っていたことを記す文献が今年になって発見されたのだ。これにより、スティルトンは正真正銘スティルトン・チーズの発祥地であることが明らかになった。

スティルトンのDos & Don'ts

スティルトンは室温で食べるのがベスト。夏などは腐ってしまうのでは、と心配になってしまうが、本来の風味や歯ごたえを楽しむためには、食卓に出す1~2時間ほど前には冷蔵庫から出し、室温に戻しておくことが大切とのこと。新鮮なうちに食べてしまうのが一番だが、ホール(丸ごと)で購入した場合は、店の人にあらかじめ食べ頃について確認しておくとよい。

外気やカビ、乾燥から守るためには、表面にワックスが塗ってあるベーキング・ペーパー(オーブン・ペーパー)かアルミホイル、またはラップに包む、もしくは密封容器に入れ、0―5℃に保って冷蔵庫で保存する。上手に保存すれば、開封後2週間は美味しく食べることができるという。

また、スティルトンは冷凍保存することも可能。150グラム位の固まりに小分けし、ラップまたはアルミホイルに包んで冷凍すれば3ヵ月程度は保存できる。解凍する際は、食べる24時間前に冷蔵庫に移し、ゆっくり時間をかけて解凍していく。解凍後は1週間以内に食べきり、再冷凍はしないこと。

スティルトンの美味しい食べ方

伝統的に、英国人はクリスマスにスティルトンをデザートチーズとして食べる。かつては銀のポットにスティルトンを入れて、クリスマスプディングと一緒に贈るという習慣もあったという。

食べ方としては、ワイン、特にポルトガル産のポルト・ワインと一緒に楽しむのがポピュラーで、クラッカーやビスケットの上にのせてそのまま食べたり、新鮮なぶどうや干しぶどう、ナッツ、セロリなどと合わせて食べたりしても美味しい。

また、細かく砕いてサラダに入れたり、ヨーグルトやレモンジュースを混ぜてサラダドレッシングやディップにしたり、スープに加えたりしても良い。特にセロリ・スープやブロッコリー・スープとの相性は抜群だ。

また、リゾットやパスタ、ピザなどのイタリア料理に使うことで味をより引き立たせる役割を果たしてくれる。

他に、スティルトンの上部をくりぬいて、ティースプーン1~2杯分のポルト・ワインを注ぎ、その部分をくり抜きながら食すという食べ方がインターネットなどで数多く紹介されているが、コルストン・バセット・デアリーのビリー・キヴァン氏曰く、それは「邪道」とのこと。せっかくの風味が消えてしまうと断言している。

逆に彼がお薦めとして教えてくれたのは、焼きたてのバゲットにのせて、ロゼワインと一緒に楽しむというもの。また、ビーフステーキの上にソテーした玉ねぎとスティルトンのスライスをのせて食べるのが最高だとか。ステーキの上でスティルトンが溶け、玉ねぎの甘みと肉の旨みと相まって格別のハーモニーを醸し出すそう。これはぜひ試してみたい!
 さらにスティルトンのレシピを知りたい方は、www.stiltoncheese.comを参考にどうぞ。

工場潜入ルポ

スティルトンを語るには、その製造過程も確かめなくては! ということで、取材班はスティルトンを生産する6ヵ所の工場のうちのひとつ、「コルストン・バセット・デアリー」を訪れることになった。
チーズ製造所の朝はきわめて早い。デアリー・マネージャーを務めるビリー・キヴァン氏から「チーズ作りの様子を見たいのなら、遅くても朝の9時には来て欲しい」という要請を受け、取材班は早朝にロンドンを出発、車でノッティンガムシャーの現地に向かった。

①地元の農場から搾乳された牛乳が到着、有害なバクテリアの繁殖を防ぐためにミルク・タンクで低温殺菌した後、30℃に冷まして、チーズ・バットに移す。

②スターターと呼ばれる培養乳酸菌(カルチャー)と青カビ(ペニシリウム・ロックフォルティ)を牛乳に加え、さらにチーズを固めるためにレンネットと呼ばれる、羊の胃袋から抽出した凝乳酵素を入れてかきまぜる。

③チーズのもととなる固まり(カード)ができる。それをナイフで、まず垂直方向に切り、さらに水平方向に切って、インゲン豆大になるまで切り分ける。

④数時間経過すると、下部にカードが沈み、濁った水分であるホエイ(乳清)と分離する。午後にはカードを手ですくい、カード皿に移す。ホエイは豚の飼料となる。

⑤翌朝、カードの水気を切り、皿に量り分ける。カードに塩を加えて、よくかき混ぜてから、円筒状型に入れる。

⑥カードを入れた型を棚にのせる。容器には小さな穴が開いており、チーズ自体の重みで余分な水分がでるようになっている。5日の間、1日に数回、型をひっくり返して、水分を取り除いていく。

⑦およそ5日後、十分に固くなったチーズを容器から出して、キッチンナイフでチーズの表面を磨き、でこぼこや穴を塞ぐ。チーズはニュー・チーズ室に移され、そこでおよそ3週間を過ごす。表面を乾燥させる間、チーズは毎日ひっくり返される。

⑧熟成室に移されたチーズは、毎週3回ひっくり返される。スティルトン特有の静脈のような青い模様が表面から内部に向かって形成されていく。

⑨4―6週間経過すると、チーズ本体にステンレスの針で穴が開けられる。チーズ本体に空気が入ることにより、さらに青カビの熟成を進めさせる。

⑩1週間後、再びステンレスの針でチーズに穴を開け、さらに熟成。

⑪およそ3週間後、ひとつひとつのチーズの青カビの模様の具合、匂い、風味をチェック。すべてに合格した製品のみが出荷される。

⑫出荷を待つばかりのチーズたち。

品質にあくまでこだわる
コルストン・バセット・デアリーColston Bassett Diary

前述のとおり、PDOによってスティルトンの製造が認可されている6ヵ所のうちのひとつが、この「コルストン・バセット・デアリー」。ノッティンガムシャーとレスターシャーの境に位置する、コルストン・バセット村にある。

1913年に地元の牛乳製造者や地元住民のグループが共同出資し、共同組合の形でスタート。その形態は現在も変わっていない。当初、搾乳業者として参加していた18社は、今では4社のみとなってしまったが、牛乳そのものの生産量は以前よりも多くなっているという。

 

第二次世界大戦中はチェダーチーズも製造していたが、この時期を除けば、スティルトンの生産に専念しており、現在はブルー・スティルトン、ホワイト・スティルトン、シュロップシャー・ブルーチーズ作りに情熱を傾けている。

製造過程や機械などは近代化しているものの、製造技術そのものは限りなく昔に近い方法に保たれている。牛乳にクリームを混ぜて、スティルトンの脂肪分を調整する業者も中にはあるとのことだが、当社では、乳牛に与える飼料を変えるという昔ながらの方法で脂肪分を調整している。

当社のスティルトンは他社製品と比較して高価ではあるが、ハンドメイドで高いクオリティを保っているのが特徴。グレード分けはせず、一定のクオリティに達しない製品は販売しないというほど、その品質管理は徹底している。

エリザベス女王も隠れたファンという同社のスティルトンは、英国各地のチーズ専門店、高級食料品店で入手できる。主な卸先はニールズ・ヤード・デアリーで、国外への輸出業務もニールズ・ヤード・デアリーが一括して行っているとのこと。

また、近日中には英大手スーパー・チェーン「マークス&スペンサー」の一部店舗での販売がスタートするという。

コルストン・バセットのチーズ製造工場には、隣接して直営店もあり。自分が欲しいだけのスティルトンを量り売りしてくれるので、とても便利。直営店だけあって、ロンドンの小売店と比べると値段も驚くほど安い。現地にわざわざ出かけて買うだけの価値はある。

住所

Colston Bassett Dairy Ltd.
Harby Lane, Colston Bassett,Nottinghamshire NG12 3FN
Tel: 01949 81322
www.colstonbassettdairy.com

直営店営業時間

月ー金 9:00 - 12:30 / 13:30 - 16:00
土 9:00 - 11:30 (休日・祝日) ※工場の一般見学は不可

取材を終えて

 今回、製造工場を訪れたことで、スティルトンのイメージががらりと変わってしまったのは自分でも驚きだった。
 我々のガイドをしてくれたスコットランド出身のキヴァン氏(写真右)は、頑固一徹で真面目な職人気質の人。しかし、スティルトンの話をすると止まらないほど饒舌になり、スティルトン作りへの飽くなき情熱とこだわりが存分に伺われた。
 まるで植物か動物を育てるかのように、およそ3ヵ月間にわたって、ひとつひとつ丁寧に時間をかけて作られるスティルトン。製造に携わる人々全員が、自分の仕事に誇りを持ち、スティルトンへの愛情いっぱいに働いていたのが印象的だった。

美味いスティルトンが買える ロンドンのチーズ専門店

La Fromagerie ラ・フロマージュリー

ロンドン市内に2つの店がある。オーナーのパトリシア・マイケルソンはチーズ好きが高じて1992年にハイベリー店をオープン、2002年にはマリルボン店もオープンした。店内にはチーズが最も美味しい状態で販売できるように熟成室を完備。チーズ・テイスティング・イべントなども定期的に開催している。


【Marylebone店】
2-6 Moxon Street, London W1U 4EW
Tel: 020 7935 0341
最寄り駅 Bond Street / Baker Street
【Highbury店】
30 Highbury Park, London N5 2AA
Tel: 020 7359 7440
最寄り駅 Highbury & Islington / Arsenal / Holloway
www.lafromagerie.co.uk

Paxton & Whitfield パクストン&ウィットフィールド

ホテル・リッツ裏手のセント・ジェームズ地区、仕立てシャツ屋などの集まるジャーミン通りにある。創業は1797年と英国最古の歴史を誇るチーズ専門店。1850年にヴィクトリア女王から王室御用達に指定されている。店内には選び抜かれた世界のチーズが所狭しと並んでいる。英国産チーズは大量生産を行わない小規模の生産者からのチーズのみを扱う。伝統的なチーズからニュータイプまでバランスの良い品揃え。料理家のデリア・スミスやナイジェラ・ローソンも買い物に現れるという。

93 Jermyn Street, London SW1Y 6JE
Tel: 020 7930 0259
最寄り駅 Piccadilly Circus
www.cheesemongers.co.uk

Neal's Yard Dairy ニールズ・ヤード・デアリー

英国とアイルランドのチーズのみを扱う。70あまりのチーズ農家から購入したチーズを販売、チーズ農家と密接な関係を築くことをモットーとしており、定期的に産地農家を訪問し、品質チェックを行っている。バラ・マーケット店には熟成室も完備。他にも、ロンドン市内のいくつかのマーケットに出店している。ホテル・リッツ裏手のセント・ジェームズ地区、仕立てシャツ屋などの集まるジャーミン通りにある。創業は1797年と英国最古の歴史を誇るチーズ専門店。

17 Shorts Gardens, London WC2H 9AT
Tel: 020 7240 5700
最寄り駅 Tottenham Court Road / Covent Garden
www.nealsyarddairy.co.uk

Cheeseboard チーズボード

ロンドン南東部グリニッジで、1985年からチーズの販売を続ける店。『スロー・フード・ムーヴメント』にも賛同し、チーズ生産者のサポートにも力を注ぐ。オンライン・ショップも充実している。

26 Royal Hill, London SE10 8RT
Tel: 020 8305 0401
最寄り駅 Greenwich
www.cheese-board.co.uk

Cheeses チーズ

ロンドン北部マズウェル・ヒルにある、こじんまりとしたチーズ専門店。家族経営ということもあって、温かみのあるサービスが受けられる。オンライン・ショップも充実している。

13 Fortis Green Road, London N10 3HP
Tel: 020 8444 9141
最寄り駅 East Finchley

Jeroboams ジェロボームズ

ロンドン最大規模の独立系ワイン販売チェーン。ロンドン各地(ハムステッド、ノッティング・ヒル、ナイツブリッジ、ソーホーなど)に支店がある。チーズ専門店ではないが、チーズの品揃えにはこだわりを持つ。毎月1度、選りすぐりのチーズが自宅に届けられる、会員制『チーズクラブ』も主催している。

50-52 Elizabeth Street, London SW1W 9PB
Tel: 020 7730 8108
最寄り駅  Victoria
www.jeroboams.co.uk

Rippon Cheese Stores リッポン・チーズ・ストアズ

ヴィクトリア駅そばのチーズ専門店。山羊のチーズ、羊のチーズ、欧州各地からのチーズなど、実に500種類のチーズを取り扱う。翌日配達の卸販売も行っている。

26 Upper Tachbrook Street,
London SW1V 1SW
Tel: 020 7931 0628/0668
最寄り駅 Victoria
www.ripponcheese.com

The Cheese Block チーズ・ブロック

テムズ河を超えたロンドン南部では随一の品揃えとの評判が高い店。世界中から集まったチーズ200種を扱う。デリカテッセンもあり。

69 Lordship Lane,
London SE22 8EP
Tel: 020 8299 3636
最寄り駅 East Dulwich

Hamish Johnston ヘイミッシュ・ジョンストン

ロンドン南部のクラッパムにある専門店。150余りのチーズを扱い、知識豊富でフレンドリーなスタッフがいろいろアドバイスしてくれる。他にも、チーズ・ビスケットやオイル、パテ、ジャムなどを扱う。

48 Northcote Road, London SW11 1PA
Tel: 020 7738 0741
最寄り駅 Clapham Junction
www.hamishjohnston.com

週刊ジャーニー No.599(2009年11月5日)掲載