狙われているのは…「あなた自身」という財産

 

スリや置き引きといった、あなたの所有物を狙う犯罪も多いが、命を含む、「あなた自身」を狙った犯罪も後を絶たない。性犯罪もそのひとつ。ロンドンのような大都市では、様々な人が集まるため、犯罪実行の機会をうかがう輩の数もそれに比例して増える。ここでは、「君子危うきに近づかず」のルールなど、「常識」に従って行動するしかなさそうだ。

 

 

【ミニキャブという密室で起こる犯罪】

特にクリスマスなどのパーティー・シーズンには、政府も大々的に広報活動を行い、違法な流しのミニキャブ(登録済みのミニキャブは予約乗車のみ)にはくれぐれも乗らないようにと呼びかけを行う。しかし、いったん酔ってしまうと、安全確保のハードルが下がり、いつもなら考えられない危険を冒してしまうことがあるのが実情だ。2009年の数字では、ロンドンでは月に8人の女性が違法なミニキャブ運転手によって、レイプの被害にあっていることが報告されている。

ミニキャブ会社には、ロンドン交通局の認可を受けている会社もあるが、事前予約なしの客を通りで拾うことは禁止されている。「You wanna minicab?」と徐行して近づいてくるミニキャブはすべて違法と心得ること。とは言っても、酔ってしまった後では、こうした注意もまったく効果がないと推察される。正しい判断ができなくなるほどに、外出先で酔わないように、自分で戒めるしかない。

 

【異物を混入された飲み物による犯罪】

インターネット業界では、デート相手、結婚相手をみつけるためのサイトが乱立する昨今だが、何回かのメールの交換のあと、いざ会う段になり、その危険性を考える女性がどの程度いるだろうか。もちろん、より充実した人生のために役立つ出会いであることも多いに違いない。しかし、「デート・レイプ」と呼ばれる犯罪の被害者となる女性が後を絶たないのも事実だ。性善説の逆、すなわち、どの人も悪事を企んでいるという前提のもとに行動することに対し、抵抗を覚える日本人女性は多いだろうが、ロンドンではそれぐらいの心構えでいることが必要といえる。

まず、初めて会う場所は、カフェなど人目の多い場所にすること。次に、カフェにせよ、バーにせよ、トイレに行くために席をはずす時は、飲みかけのドリンクは残さず、飲み干して中座するか、あるいはトイレから戻った後は、その飲みかけには手をつけないよう徹底すること。また、映画やドラマで見かけるような、「あちらのお客様からです」という飲み物のオファーは丁寧に辞退するべき。

 

今回、取材に協力してくれたのは、サヴィルローにある「ウェストエンド・セントラル」署を拠点に犯罪防止関連の職務にあたる、ウィル・デイヴィス氏(Will Davies)=写真。お父さんも警察官で、ルーシー・ブラックマンさん事件の捜査のために、日本に行ったこともあるという。デイヴィス氏の肩書きはズバリ「Crime Prevention Officer」(犯罪防止官)だ。ウェストエンドの一等地にある「ウェストエンド・セントラル」署は、日本領事館の最寄の警察署でもあるため、同領事館に駆け込んできた日本人被害者は、同署に被害届けを提出しに行くことになる。ここで、発行された犯罪レファレンス「番号」が、保険申請時に必要となる。
West End Central Police Station
27 Savile Row, London W1S 2EX Tel: 0300 123 1212
http://cms.met.police.uk/met/boroughs/city_of_westminster/09contact_us/index
最寄り駅は Oxford Circus /365日24時間オープン。