気軽にミシュラン



名所めぐりのために移動手段やオープン時間を気にして焦る必要もない。この英国らしいのどかな田舎町をただのんびりと歩く中で、心が和むはず。
  その2ヵ所を訪れれば名所巡りは終了。あとは、テムズ河沿いの散策、食事やアフタヌーン・ティーを満喫しよう。
今回、ランチに取材班が訪れたのは、シェリー・コッテージからも近い、「ハンド&フラワーズ The Hand & Flowers」。一見パブのようだが、ミシュラン一つ星を獲得するレストラン。10ポンドからというお得なセット・ランチ(2または3コース)では、同店の実力の片鱗を垣間見ることができる。テーブルクロスのない木のテーブルなど、温かみのある雰囲気も心地よい。「サンデー・テレグラフ」紙の10点満点中9点という高評価にも納得である。
また、テムズ河を見渡しながら、優雅に食事を堪能したい人は、「コンプリート・アングラー」の2つのレストランへ。1つは、河沿いのテラスでも食事やアフタヌーン・ティーが楽しめる「ボーウォーターズ Bowaters」。そして、もう1つは同ホテルの大改装を経て、2008年にオープンした、チェルシーの有名レストラン「オーバジン Aubergine」の2号店だ(詳細はページ下)。
さらに、マーローの隣町、ビシャムにあるレストラン「ブル・イン The Bull Inn」も、マーローで覚えておきたい店の一つである(次ページ地図で位置参照)。
きらびやかな建築物はなくとも、『テムズ河の宝石』と呼ばれるこの街の景色と美食があれば、心も舌も満たされる休日となるだろう。
ウォルトンはコンプリート・アングラーの中でこんな言葉を残している。
「穏やかなることを学べ Study to be quiet.」
マーローの街を、そして人生を楽しむ1つのキーワードとなるはずである。



 

『フランケンシュタイン』に劣らぬ悲劇?
メアリー・シェリーの生涯



メアリー(上)とパーシー・シェリー(右)
 1814年、ゴシック/ホラー小説『フランケンシュタイン』の作者、メアリーは、無神論者であるメアリーの父、ウィリアム・ゴドウィンを崇める、詩人、パーシー・シェリーと出会い、恋に落ちる。当時パーシーには身重の妻ハリエットがいたが、変人としても知られていたパーシーは、ハリエットに「メアリーを事実上の妻として、共に暮らそう」と提案。もちろん、ハリエットは激怒し、ゴドウィンも節操のないパーシーと大事な娘との結婚に大反対。それでも愛し合う2人は「駆け落ち」という決断に至った。 メアリーとパーシーは、メアリーの妹(血縁関係はない)で、詩人、ジョージ・ゴードン・バイロン卿の愛人だったクレア・クレモントと共に、金に困窮しながらもフランス、スイス、英国を転々とする。そして本文でも述べたように、1816年、バイロン卿を頼って訪れたスイスの別荘で行われた「ディオダティ荘の怪奇談義」から、『フランケンシュタ
イン』の話が生まれた。
メアリーの生涯は悲しい死に満ちている。母親はメアリーを生んだわずか
11日後に死去。「ディオダティ荘の怪奇談義」が行われた年の暮れには、シェリー以外の子どもを身篭り、入水自殺したとみられるハリエットの遺体がロンドンのハイドパークの池で発見される。これによりシェリーとメアリーは正式に結婚に至り、4人の子どもが生まれたが、長女は生後11日後に死去、長男、次女もそれぞれ3歳、1歳の時に病死。さらに、パーシーは1822年、イタリアでヨットが転覆し、無残な溺死体として発見された。享年29。当のメアリーは1851年に53歳で生涯を閉じた。


 

The Hand and Flowers

ミシュランの味を超リーズナブルなセット・ランチで!
ハンド&フラワーズ

目抜き通りから2~3分車を走らせた場所にある、ミシュラン1つ星獲得のレストラン。セット・ランチは£10~ときわめて良心的で、内容についても、味・盛り付け共にこだわりが感じられ好印象。英国らしい、パイ包み系の料理が多い。利用客には地元の人も多く、接客もフレンドリーで、パブのようにカジュアルに活用できる。シェフは今年BBC2の番組「Great British Menu」に出演した1人。宿泊用の部屋も4つあり。

 




The Hand and Flowers
126 West Street
Marlow SL7 2BP
Tel: 01628 482277
www.thehandandflowers.co.uk
 

 

セットメニュー(3コース)£13.50

 

Home-baked Soda Bread
自家製ソーダ・ブレッド
中はふんわりとした食感で、噛むほどに甘みが感じられた。

 

Whitebait 

小魚のフリッター
衣がサクサクした小魚のフリッター。マヨネーズかケチャップをつけてつまむ。

 

Slow Roasted Leg of Pork with Chorizo, Butter Beans and Crackling
インゲン豆とチョリソの煮込み&ロースト・ポーク
小さな鍋に入ったまま、熱々がサーブされる。チョリソの旨みがしみたインゲン豆の煮込みを、皮がカリカリにローストされた豚肉と共に食す。

 

Pork Pie with Piccalilli
ポーク・パイ

「パブめし」の定番のひとつである、ステーキ&エール・パイだが、それを丁寧に作るとこうなる、という見本のような1品だった。わざわざ「ひとつひとつ個別にオーブンで焼いた」とメニューに書いてあるところがポイント。エールの苦味がアクセントになっている大人の料理。

 

Rhubarb Fool

ルバーブのデザート
果肉がたっぷり入ったルバーブのピューレにクリームを混ぜて冷やした「フール」。軽い食感とルバーブの甘酸っぱさが爽やかなデザート。

 

セット・ランチ    月-土
2コース £10
3コース £13.50

 

※スターター、メイン、デザートはそれぞれ、2種類のメニューから選べる。
※ワインは、ボトルで15ポンド前後からあり。20~30ポンド代のものが中心。



 

 

アラカルトメニューから 

 

Sutton Hoo Chicken and Foie Gras "En Croûte" with English Asparagus and Vin Jaune Sauce
チキンとフォアグラのパイ包み

鶏肉と、フォアグラ、ワインベースのソースの組み合わせは、みっちりと濃厚で、サイズは小ぶりだが予想以上にボリュームあり。アスパラガスの緑が目をひいた。

 

Glazed Omelette of Smoked Haddock and Parmesan
タラのオムレツ
とろとろの半熟卵とタラの食感の融合が秀逸。塩加減、火の通し具合も文句なしで、この店の実力を見た1品。小さなフライパンの皿もかわいらしい。

 

Warm Pistachio Sponge Cake with Melon Sorbet and Marzipan
ピスタチオ・ケーキ

鮮やか、かつ繊細な盛り付けに心ひかれたデザート。甘さ控えめのピスタチオのケーキと、さっぱりとしたメロン・シャーベットが好相性。

 

年季の入った家具が、居心地の良い一角を作り出している。レストラン全体に、リラックスした空気が漂う。


 

コンプリート・アングラー

Macdonald Compleat Angler
Marlow, SL7 1RG
Tel: 0844 879 9128
www.macdonaldhotels.co.uk/compleatangler

 

ボーウォーターズ Bowaters  Tel: 01628 405406

テムズ河に面した、白が基調の明るいレストラン。テラスもあるので、河を眺めながら食事を楽しむことができる。アフタヌーン・ティー£20もおすすめ。
 




オーバジン Aubergine at the Compleat Angler  Tel: 01628 405405

チェルシーの有名レストランの2号店。店内全体に紫やオリーブ色の配色が施され、皿の絵柄やドアノブにいたるまで、「ナス」がモチーフとなっている。