ミシュラン・シェフが食を総合プロデュース

 カワース・パークのレストランを受け持つのはミシュラン2つ星のシェフ、ジョン・キャンベル氏。同氏は本誌2009年3月19日号でもご紹介したカントリー・ハウス・ホテル「ヴィンヤード The Vineyard at Stockcross」で、7年間ヘッドシェフとして腕を振るった後、昨年、同ホテルに移籍した。
 キャンベル氏の新たな肩書きは、ヘッドシェフではなく、「料理、食材、飲料統括ダイレクター Director of Cuisine and Food and Beverage」。朝食のクロワッサンから、食後のチョコレートに至るまで、顧客がホテル内で口に運ぶものはすべてキャンベル氏オリジナルレシピとなっている。カジュアル・レストラン「The Barn」で供される、トマトスープ(7・50ポンド)や、フィッシュ&チップス(16ポンド)でさえミシュラン・シェフの『お墨付き』、という徹底ぶりだ。

 


「Love」の文字を模った照明にデザイナーの遊び心が垣間見られる本館内のバー。

 

 「ホテルという大きなビジネスの一員であることに魅力を感じるので、ルームサービスや、朝食メニューを考えるのは苦にならない。またどんなレベルの食事でも、お客様をもてなすことに変わりはないので、挑戦してみたかった」と、キャンベル氏はオープニング時、英メディアの取材に答えている。
 ヴィンヤードで同氏の味に触れていた取材班は、期待を膨らませメイン・ダイニングで8品からなるテイスティング・メニュー(80ポンド)をオーダー。そのどれもで旬の食材を味わえ、味・盛り付けともレベルの高い品々であった。サービススタッフの給仕のタイミングも良く、贅沢な時を過ごすことができた。

 


自然光がたっぷりと差し込むカジュアル・レストラン「The Barn」。
長靴スタイルもウェルカムという気軽な雰囲気の中、
手ごろな価格でミシュラン・シェフのメニューが味わえる。

 

『エコ・ラグジュアリー』実現へ

 ラグジュアリー・ホテルにおける省エネ対策とは、どのようなものなのか。
 中心となるのは、ホテルの地下に設置された「バイオマス・ボイラー biomass boiler」と呼ばれる給湯タンク。ホテル内の暖房設備などへのエネルギー供給を行う、このタンクのエネルギー源は、3年後には敷地内で育つ柳の枝で賄えると説明されている。それまでは近隣で伐採時に出る余剰の木や枝で代用していく予定だ。
 そして本館屋上には、ソーラーパネルが敷きつめられ、太陽エネルギーも効率よく利用できるような設計となっている。他にも、車や飛行機による輸送時に生じる排気ガスを抑えるため、食材はしかり、カーテンやリネン、ベッド、クローゼットにいたるまでホテルで使うものは英国産、その中でもできるだけアスコットに近いところから運んでいるという。

 

 

 こうした取り組みで通常の半分以下にまで、二酸化炭素排出量を抑えられるようになると、カワース・パークでは自信を見せている。
 エコとラグジュアリーという一見相反する概念の共存。両者がいかに邪魔しあうことなく調和していけるかが、ホテルの大いなる挑戦であり、見所といえそうだ。
 インテリアから室内の電化製品まで、すべてがピカピカで、生まれたての輝きを放っている。年月を重ねた落ち着きを味わうのもいいが、未来を感じさせるデザインやそのコンセプトにもカントリー・ハウス・ホテルとして、ありあまる魅力を読み取ることができる。それらをご自身の目で確かめるために、訪れてはいかがだろう。

 


中央左のガラス張りの建物は、「The Barn」。
右手にはファミリー向けの客室が入る別棟「stables」が続いている。