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キーワード3: 美酒の条件

シャンパーニュと同じ土壌

ナイティンバーの受賞以降も、他のワイナリーによるスパークリング・ワイン(および一部の白ワイン)が国際的に高い評価を受けたことで、現在新しく植えられるブドウ品種の半数をスパークリング用が占めている。各ワイナリーはスパークリング・ワイン造りに俄然力が入っているといえそうだ。
ところで、英国で優秀なスパークリング・ワインが生み出される理由はどこにあるのだろうか。
その原因を探る前に、シャンパーニュについて触れておく必要があるだろう。日本でシャンパンあるいはシャンペンと呼ばれるシャンパーニュ(英語ではシャンペインと発音)は、フランスのシャンパーニュ地方で、決められたブドウ品種を使い伝統的製法で造られる発泡性のワインを指す。たとえ英国でシャンパーニュとそっくりに造ったとしてもそれはシャンパーニュとは呼べない。フランス北部にある同地方は、年間の平均気温が約10℃ほどと冷涼で、ブドウのしっかりとした酸味を引き出すのに適し、また地下に広がる石灰質の土壌が良質のミネラルを含むことから、最高のブドウが育まれる条件が整っているとされる。
それらの要素が王者としてのシャンパーニュを支えているのだが、土壌からの恩恵を受けるのは同地域だけに限らない。実は、イングランド南部は、英仏海峡を隔ててシャンパーニュ地方と共通する土壌を有している。その事実は、氷河期に英仏海峡ができるまで、イングランドはフランスと陸続きだったことから推測できるだろう。イングランド南部では、シャンパーニュ地方や優良な白ワイン産地として知られるシャブリ地方と同じ石灰質の地層が発見されており、良質なワイン造りのための必須条件を備えているのだ。
また英国産ワインの発展の影には地球温暖化による影響も挙げられている。地球環境にとって良い意味で語られることのない温暖化だが、伝統的に寒冷な気候のせいでワイン造りが難航した英国ワイン業界ではポジティブに捉えられ、以前よりもブドウ栽培に適した環境が整ってきたことが指摘されている。実験的ではあるが、なんとスコットランドでも栽培が行われ、今年、初の瓶詰めが予定されているというニュースも聞かれる。

シャンパーニュの父!?
クリストファー・メレット

はじける泡とエレガントな味わいのシャンパーニュを代表する銘柄ドン・ペリニヨンは、シャンパーニュを開発したことで知られる修道士ドン・ペリニヨンにちなんで名づけられたものだ。
だが、彼が開発するよりも以前に、英国人科学者のクリストファー・メレット(日本では「メレ」と表記されることもある)が瓶内二次発酵によるスパークリング・ワインを造っていたことが、1662年の王立学会の公文書の記録に残っている。
英国でのスパークリング・ワイン造りの歴史は、シャンパーニュよりも案外古かったりするのである。