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火山と氷河が生んだ地
イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの「国」から構成されている連合王国、英国。そのうちの1つ、グレート・ブリテン島北部に位置するスコットランドでは、英国からの独立運動が過熱しており、いよいよ来月、独立の是非を問う住民投票が行われるとあって、強い関心が寄せられている『旬の国』である。
スコットランドは、バグパイプやタータンチェック、ハギスといった独特の文化を持つ。その首都エディンバラは重厚で上品な街並みの美しさを誇る一方で、戦いを重ねてきた荒々しい過去の面影も随所に残しており、初めて訪れる人に強烈な印象を与える。英国内において、ロンドンに次いで観光客が多い都市と言われているのも頷けるだろう。
さて、エディンバラの大きな魅力のひとつといえば、他に類を見ない急峻な地形ではないだろうか。
さかのぼること3億4千万年ほど前、エディンバラ一帯は活火山地帯であったという。2度の大規模な火山活動で噴出した溶岩によって一帯は覆われ、硬い岩盤ができあがった。しかし約50万年前に訪れた氷河期時代に、岩盤は高さ数百メートルにわたり氷河で抉られ、今度は深い谷が誕生。こうして高低差がある立体的でダイナミックな景観がつくり出されたのである。エディンバラの西端にある「キャッスル・ロック」や東端の「アーサーズ・シート」「カールトン・ヒル」といった岩山や丘は、氷河によって溶岩が削り取られた後の残丘であり、街のシンボル、エディンバラ城はこのキャッスル・ロックの上に建造されている。