早起きして、魚市場へ出発!

いざ、買出し実践編!

●一般利用客なら、ビリングズゲートでの買い出しは朝5時から7時までの2時間が勝負。限られた時間の中で買い物を満喫できるよう、魚仕入れのプロ、立石さんにお勧めの店を紹介していただいた。
●立石さんによれば、国際化の進むロンドンとはいえ、市場の世界はまだまだ保守的でごつごつした男の世界。働く人々のプライドも高く、外国人に対しては木を鼻でくくったような対応しかしない店もあるそうだ。
●ここでは、日本人の食文化に理解があってフレンドリー、なおかつ商品の質も確かという業者を、その専門分野も合わせて掲載したい。ただし、あくまでも目安。安さで勝負の店やスタンドを探すのも、もちろんOK。あるいは、店員さんに親切にされすぎて、ここでご紹介した場所以外で買わざるを得なくなるケースもあるかもしれない。そこは柔軟にお考えいただければ、と思う。きっと、様々な出会いやハプニングが、ビリングズゲートでの買い物をより充実させてくれることだろう。

 

①Selsea (Billingsgate) Ltd
セルシー
スタンド B3-B5/B8-B10
www.selsea.com
買うなら…ロブスター

この会社は、「Selsea Billingsgate Ltd」のほかに 「Selsea Fish & Lobster Co Ltd」というロブスターの名を冠した登録名も持っているだけあって、実際に鮮度の良いロブスターを多数取り扱っている。また、カニ、アサリ、ホタテなどの甲殻類が揃っているほか、スズキやカレイ類、シタビラメなどの白身の魚やサバ、イカなども販売。取材時のロブスターの価格は1キロ当たり16ポンドだったが、時期によって値段も当然変わる。1キロ当たり13ポンドから18ポンドくらいが目安とのこと。

②Bards Shellfish
バーズ・シェルフィッシュ

スタンド F12/ 6- 8
www.bardshellfish.co.uk
買うなら…貝類


Simon Chilcottさん。オイスターの殻の開け方を教えてもらった。

「Bards Shellfish」はビリングズゲートで19年の営業実績がある。貝類を取り扱う業者としてはロンドン最大、種類も豊富。店頭ディスプレイでまず目をひくのは、カキ。フレンチ・オイスター、イングリッシュ、スコティッシュ、アイリッシュ、それに、熊本から稚貝が輸出されて欧米に広がったというクマモト・オイスターなど、産地や大きさによって様々な種類が取り揃えられている。フランス料理にしばしば使われるというネイティブ・オイスター=写真右=は高級なカキとされ、値段も他のカキの2倍。ちなみに、カキは1個買いから可能で、取材日の価格は、通常のオイスターが1個50ペンス、ネイティブ・オイスターは1個1ポンドだった。その他には、アサリやムール貝も数種類、マテ貝やホタテ、ウニ、エビ、アワビ、ザルガイcockles、 タマビキ貝winkles、ウェルクwhelks と、貝好きの日本人にはたまらない充実度だ。また、ウニは1キロで大体7~8個分になる(取材日の価格は14ポンド)。ウニ1箱でおよそ3キロ分が入っている。貝以外にも、イクラsalmon roe(1瓶6ポンド)やトビッコ、燻製のタラコsmoked cod roeといった、日本人好みの加工品も販売している。

 

 

③J Bennett (Billingsgate) Ltd
ジェイ・ベネット・ビリングズゲート

ショップ 23-25/スタンド F10/F11/H1
www.jbennetts.co.uk
買うなら…鮮魚。刺身用の魚。特にマグロ、
スズキ、タイ、ヒラメなど

「J Bennett」は英国の魚卸業者の中でも最大手のひとつ。100年以上の歴史があり、ビリングズゲート魚市場でも目立つ存在だ。サケを始め、英国沿岸で獲れる魚から海外産まで、鮮魚が特に充実。魚の供給元やパッケージ、保存方法などについても気を配っており、店の基準を満たさない商品は決して売らないというしっかりしたポリシーを持っている。フレンドリーな対応で日本人のバイヤーとの取引も数多い。案内してくれた立石さんによれば、「素人が英国系の魚業者から刺身用の魚を買うなら、日本人の食べ方を正確に理解している魚屋さんに行くのが大切」だそうで、そういう観点からもこの店は安心だ。「For sushi, please」とお願いすれば、こちらが求めているクオリティをわかってくれる。特に、「スズキ=写真のもので約1キロ、8ポンド=や、タイ、ヒラメならここが良い」とのこと。鮮度のよい刺身用のマグロのサクを買うなら5時過ぎには行くことがお勧めだ(常に買えるとは限らないので、この点、ご了承を…)。

④J Bennett Junior
ジェイ・ベネット・ジュニア

ショップ 9/スタンド D3
ウェブサイト なし
買うなら…燻製

先にご登場いただいた、ドン・タイラーさんの店。店頭には、箱にびっしりと詰められた魚の燻製が並ぶ。タラやサバの燻製は国内の魚コーナーでもよく見かけるが、取材班が試食させていただいたところ、同社の燻製は生臭さもなく、辛過ぎもせず、皮もやわらか、身はふんわり、で白ご飯に合いそうなお味だった。あまり見かけない変わった魚の燻製を挙げるなら、スプラットsprat(ニシン属の小魚でキビナゴに近い)。少なくとも40匹は入っていそうな1キロパックでお値段は9ポンド。燻製により骨まで食べられるほど柔らかくなっているので、カルシウムの補給にもお勧めできそう。ご友人と分けるのも良いかもしれない。

⑤Seahawk Marine Foods (London) Ltd
シーホーク・マリン・フーズ

ショップ 11/12/19/スタンド A3
www.seahawk.co.uk
買うなら…冷凍水産品、冷凍水産加工食品

冷凍物を中心に販売する専門業者。店先には、ガラスの引き戸のついた冷凍冷蔵庫がずらりと並ぶ。冷凍のイカやエビのほか、冷凍エビフライなどの加工食品も取り扱う。冷凍の強みで、遠方からの魚も多く、カリブ海などの南の海から運ばれてきたと思われる、カラフルで少々グロテスクな魚もガラス戸の中に並んでいた。大きなイカゲソのぶつぎり(太いのでタコに見えた…)が1キロ5ポンド。

⑥⑦市場内のカフェ
一通りの買い物が済んで落ち着いたところで、起きた時間が早過ぎて朝食がまだだったと気づき、急にお腹が空いてくる方もおられるだろう。東京の築地も大阪の黒門も、卸市場周辺といえば安くて旨い食堂がつきものだが、ロンドンの魚市場に同レベルを期待するのは酷(コク)というもの。しかし、市場内にある2つのカフェはロンドン市内の店より割安。そして、何より「魚市場のカフェ」という庶民的な雰囲気で、リラックスできる。業者とポーターが主に利用するカフェ(⑥Billingsgate Cafe)と、主に一般客が利用するカフェ(⑦Piggy's Cafe)とに分かれ、それぞれに雰囲気がやや異なるものの、値段はほぼ同じ。入りたい時にすいている方を利用すれば良いだろう。

Billingsgate Cafe…壁一面にモノクロ写真がはられている。ロンドン大火記念塔の下に出る屋台の写真や、おそらくかつての名物業者だったであろう人物の写真など、ビリングズゲートの長い歴史の断片を、英国らしい濃いミルクティ(70ペンス!)か、ビリングズゲート名物のミルクコーヒー(これは1.20ポンド。コーヒーの粉を湯で割らず、ミルクのみで溶かす)を片手に、大ぶりのスコーンにかぶりつきながら眺めれば、気分はイーストエンダ-ズ。このほか、フルイングリッシュ・ブレックファスト(6ポンド)、燻製タラ(haddock)のポーチトエッグ2個+食パン添え(10ポンド)=写真(女性なら2人でシェアしたい量)、キッパー(燻製ニシン)の食パン添え(5ポンド)といったボリュームタップリのメニューもある。