使用人の部屋がオーガニック・カフェに変身

 ケンウッド・ハウスの見逃せない見所から順にご紹介してきたが、このほかにも、時間が許せば見学したいポイントがいくつもある。引き続きご紹介していこう。
まずファースト・フロアから。ここには、サフォーク家およびバークシャー家が、16世紀後半から代々受け継いできた家族肖像画がズラリと並ぶ。このコレクションは第11代サフォーク伯爵夫人が1968年に死去した後、その遺言に従って1974年に寄贈されたものだが、ケンウッド・ハウスの歴史とは直接的に関係がある訳ではない。しかも、今回の改装は主にグラウンド・フロア部分に重点が置かれたということもあり、ファースト・フロアに上がると、部屋の保存状態などに関して階下との奇妙なギャップを感じてしまう。それでも、このサフォーク・コレクションは、なかなか見ごたえがあり、また、靴の銀製バックルのコレクションなど興味深い展示物も置かれている。
再びグラウンド・フロアへ戻り、グリーン・ルームへ。2代目マンスフィールド伯が、18世紀末にケンウッド・ハウスを大きく増築した際、北西部に設けた音楽室が、このグリーン・ルームだ。同伯のもと、北東部の大部分を占める使用人のためのスペースも、この時代に出来上がっている。当時の厨房の様子がそのまま保存された、白と黒のコントラストが印象的な「オールド・キッチン」は、現在イベント用の貸スペースに変身。酒造室と洗濯部屋は現在では「ブリューハウスBrewhouse」という名のカフェ・レストランとなっており、朝食から、ボリュームある日替わりランチまで楽しめる、居心地のよい空間になっている。更に、アンティーク感覚あふれる化粧室をはさんでその並びにはテイク・アウェイ用のオーガニック・カフェ「スチュワード・ルームSteward's Room」がある。これはもっとも母屋にも近く、元はその名の通り執事や家令の部屋だった。
庭園めぐりに時間をあてることも忘れてはならない。ケンウッド・ハウスの敷地はハムステッド・ヒースの約7分の1を占めているが、図書室、朝食の間、温室から眺めることの出来る庭園は、18世紀末の代表的な造園家、ハンフリー・レプトン(Humphry Repton)の手になる。彼は「風景式庭園」という英国ならではのスタイルの創始者で、自然の風景を模し、曲線や起伏を配した「風景画」のような庭園を作り出した。また、屋敷と付属牧場との間には、ヘンリー・ムーアやバーバラ・ヘップワースといった近代英国を代表するアーティストの野外彫刻作品も点在しているので、その目で確かめながら散策してみるのも一興だ。
18ヵ月という改装期間を経て、再びその端麗な姿を公に現したケンウッド・ハウスと、そぞろ歩きからロング・ウォークまで、存分に緑にふれることのできる庭園。ここで過ごせば、英国の歴史の一片がのぞける、充実した休日が過ごせることだろう。

 

 

ケンウッド・ハウス内のカフェは人気が高く、いつ行っても混んでいる。
屋内スペースは広いとはいえず、冬でも屋外テーブルで妥協せざるを得ないことも多いのでご覚悟を。

 

 

名画が並ぶダイニング・ルーム。
© English Heritage

 

現在は、見学にやってきた子供たちの学習の場としても使われている、オランジェリー。

 

TRAVEL INFORMATION 情報は2014年1月20日現在のもの。

ケンウッドKenwood
Hampstead Lane, Hampstead, London NW3 7JR
www.english-heritage.org.uk/daysout/properties/kenwood/

開場時間
2013年11月28日~2014年3月31日
ケンウッド・ハウス…毎日 10:00 - 17:00
カフェ…毎日 9:00 - 16:00
※2014年4月1日以降については、間もなく発表される予定。ウェブサイトにてご確認ください。

入場料
無料

アクセス
地下鉄のアーチウェー駅かゴルダーズ・グリーン駅からバス210番(約20分ごと)にて、どちらの駅からも15分ほど。

周辺の見所
Kenwood House
Brewhouse - Cafe
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The Sham Bridge
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The Dairy