ハリポタ・ファン以外もうならせる特撮技術

 スタジオツアーの後半を体験すべく、中庭を通り抜けて先ほどとは別の建物内へ。ここから先は前半とは一転し、映画の「特殊効果」や「視覚効果」技術の舞台裏を公開するエリアとなる。
ドラゴンやゴブリンの頭部や、巨大グモなどのクリーチャーがずらりと勢ぞろいしている様子は、まさに「圧巻」の一言。剥製かと見紛うほどの完成度に、驚嘆せずにはいられない。ガラスケースの中で静かに目を閉じている屋敷しもべ妖精を見つめていたら、今にも目蓋を上げてこちらに視線を寄こし、話しかけてきそうな錯覚まで覚えてしまった。
ここでは、こうした伝説上あるいは架空の生物や物体を自在に動かす「最新アニマトロニクス技術」の仕組みや撮影の流れなども惜しみなく披露されており、「映画づくり」というクリエイティブな作業の裏側を存分に知ることができる。
さらにこの後、大道具・小道具・衣装のデザイン画や撮影セットの設計図、模型なども登場。あの映像はこんなにも細かい作業を積み重ねて生まれていたのかと、その膨大な仕事量とプロとしての技、何よりも熱意に感銘を受けた。
程度の差こそあれ、我々も同じ「ものづくり」をしている人間として、こうした仕事の一端を見ることはとても興味深い。ハリー・ポッターに全然関心のなさそうな、家族連れの『お父さん』たちが、熱心に見学していたのも印象的だった。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、ツアーのクライマックスも近づいてくる。
まず最初に到着したのが、スタジオ内で一番の人気スポット、ダイアゴン横丁。魔法使いや魔女たちでいつも賑わっているハイストリートだ。魔法の杖の店「オリバンダー」やホグワーツの指定教科書などが買える書店「フローリッシュ&ブロッツ」、ふくろう百貨店などが軒を連ねる。まるで映画の中に迷い込んだような雰囲気に、みんな大興奮! 店内も丁寧につくりこまれており、中に入ることができないのが残念であった。
次に現れたのが、24分の1サイズに縮小されたホグワーツ魔法魔術学校の巨大模型。周囲を一周できるので、様々な角度からホグワーツを眺められる。映画シリーズが進み、新たなシーンが登場するたびにその新施設を次々と追加していったという。各建物の位置関係が一目でわかり、この模型を横に全作品を振り返りたい! と思ったファンは少なくないのでは。
そして長いツアーの最後を締めくくるのは、魔法の杖が収められた箱が天井まで積み重なった部屋だ。各箱には、出演者やこの映画に携わったスタッフ全員の名前が記されている。その数、1万7000個以上。ハリーを演じたダニエル・ラドクリフや原作者のJ・K・ローリングの名前もこの中にあるので、時間に余裕のある人は探してみていただきたい。

 



棚に並べられたゴブリンの頭部(左)と、
天井からつるされた巨大グモのアラゴグ(右)。

 

ロケ地めぐりはいかが?
ハリポタ・ウォーキングツアー

 ハリー・ポッターの世界をもっと堪能したい人は、ロケ地を歩いて巡るウォーキングツアーはいかが?
こうしたツアーを実施している会社はいくつかあるが、編集部のオススメは「London Walks」(www.walks.com)。お子さんの影響ですっかり自分もハリポタ・ファンになってしまったという、ガイドのリチャードさん=写真下=が案内してくれる。

 

 「London Walks」のハリポタ・ウォーキングツアーは2種類あり。
予約不要。大人9ポンド、所要2時間。

① 月曜午後6時半~/日曜午後2時~
バンク駅集合

② 土曜午後2時~
ウェストミンスター駅集合